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「りんご病」は大人と子供で全然違う! 症状・予防・治療法も!

掲載日: 2019年8月16日更新日: 2019年8月16日岡本有紗

頬が赤くなることで知られる「りんご病(伝染性紅斑)」。子供に多い病気のイメージですが、実際は大人も感染します。さらに、症状が子供と違うのが大きな特徴で、対応にも注意が必要です。

そこで今回は、りんご病の大人と子供の症状の違いや、防ぎ方などについて、藤沢市民病院臨床検査科・感染症内科医の清水博之さんに伺いました。

りんご病はどのような病気?

そもそも「りんご病」はどのような病気なのでしょうか。

りんご病は、正式には伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)といい、パルボウイルスB19というウイルスによって起こる感染症です。りんご病という通称は、感染から10日間〜3週間たった頃に、患者の頬がりんごのように赤くなるところからつけられました」

頬の赤みが出る1週間ほど前に、微熱や咳、鼻水など風邪に似た症状がみられます。その後、特徴的な頬の赤みと、それに続く手足の網状の紅斑(皮膚の発赤)が出ることによって、りんご病であることがわかります

特徴的な症状が出るまでは、風邪と見分けがつきにくいのですね。りんご病になりやすい季節などはあるのでしょうか?

「基本的に年中発生しますが、傾向としては、春から夏にかけて流行しやすいようです。また、4〜6年周期で大きな流行がくると言われています。近年では2001年、2007年、2011年、2015年に大きな流行があり、そして2018年5月頃から再び大きな流行となっています

毎年ではなく、数年ごとに周期があるのはなぜでしょうか?

「はっきりした理由はまだ分かっていませんが、気温や湿度などの気候条件が大きな因子かと思います。ですが、これだけで流行を説明することはできないのが現状です」


りんご病は大人もかかる感染症

りんご病は、実際に子供に多い病気なのでしょうか。

「確かに、りんご病にかかるのは4〜5歳の幼稚園・保育園児から小学校低学年くらいの子供が多いです。ですが、大人はかからないのかというと、決してそうではありません

大人の感染が少ないのはなぜでしょうか?

「りんご病は、一度感染すると原因ウイルスに対する抗体が作られるため、基本的に二度かかることはありません。単純に、子供のうちにりんご病にかかっている方が多いのかもしれません」

つまり、子供のころにりんご病になっていれば、大人になってかかることはないということですね。逆に、かかっていない場合は、子供を看病するうちに、感染することもあるので注意が必要ですね。

大人がりんご病に感染した場合の症状は?

りんご病は、子供と大人で症状が異なると言われていますが、どう違うのでしょうか。

りんご病は、子供と大人で症状が違います。大人の場合は、代表的な症状ともいえる頬の赤みはほとんど見られません。そのかわり、関節の痛みや手足のむくみ、頭痛などの症状がでることがあります

関節の症状はとくに特徴的で、大人では60%の患者さんに症状があります。ひどいときには歩けなくなるほど痛むことも。ですが、子供で関節の痛みがあるのは10%もいないとされています

「また、大人でひどい症状が出る人がいる一方で、症状がまったく出ない『不顕性感染』も多く、人によってそれぞれ異なります

子供と大人もそうですが、人によっても違いがあるようですね。


りんご病で注意が必要な人&体調は?

頬に赤みがでない大人のりんご病は、自分でどうやって症状を判断するのでしょうか。

りんご病は、基本的には何もしなくても自然に治る病気です。治療も熱がつらければ解熱剤、関節の痛みが強ければ鎮痛剤という対症療法が中心です。ですので、仮に、りんご病だと気づかなかったとしても、基本は大丈夫といえます」

症状がつらくなければ、特別な治療は必要ないということですね。

ただし、油断は禁物です。注意すべき基礎疾患などがある方は体調の変化に気をつけ、風邪症状を含め、りんご病を思わせる症状が出た場合には病院に行くことをおすすめします。その一例を紹介します」

(1)溶血性疾患(遺伝性球状赤血球症、鎌状赤血球症、サラセミアなど)がある方

パルボウイルスB19は赤血球に感染するため、りんご病にかかった人は、一時的に軽い貧血になります。普通の人は本人が気づかない程度の貧血で済むことが多いですが、溶血性疾患をお持ちの方はもともと赤血球の寿命が短いため、りんご病にかかると重い貧血になることがあります。

(2)薬剤によって免疫が低下している方

ステロイドや免疫抑制剤など、免疫が低下する薬剤を使用している方は、パルボウイルスB19を排除することがなかなかできず、貧血が長引いてしまうことがあります。

(3)妊娠している方

りんご病に感染した妊婦さんの20%で、ウイルスが胎盤を通って赤ちゃんに感染しています。感染した赤ちゃんの20%は重症の貧血になり、胎児水腫とよばれる全身がむくんだ状態になり、流産してしまうことも。不顕性感染の場合、妊婦さん本人に症状がなくても赤ちゃんへの感染は起こり得るので、注意が必要です。

りんご病の感染経路&予防

では、りんご病の感染を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。

今のところ、りんご病にはワクチンや治療薬がありません。また、りんご病のウイルスが感染力を持っているのは、まだ頬が赤くなる前の、風邪症状しかない時期です。つまり、りんご病なのか特定できない段階で人から人へうつってしまうので、いつ誰から感染するか予想できません。したがって、日頃からの感染対策が大切になります

感染対策はどのようなものでしょうか?

「りんご病の感染経路は、咳やくしゃみのしぶきによる飛沫感染をはじめ、鼻水に直接触れることによって起こる接触感染など、普通の風邪と同じです。ですから、風邪症状がある方もそうでない方も、外から帰ってきたら手を洗う、うがいをするといった対策が有効です。できれば外出中も、携帯用のアルコールジェルなどでこまめに手や指を消毒するといいでしょう。また、人混みに行くときはマスクを着けることも効果的です」

明確な対策はないですが、風邪の予防と同じなので、普段から意識して注意して生活することが大事ですね。

お話を聞いたのは…

  • 清水博之さん

    平成16年京都府立医科大学医学部卒業。京都市立病院で初期研修ののち、京都市立病院小児科で勤務。その後藤沢市民病院こども診療センターで一般小児科診療の経験を積み、平成23年より東京医科大学病院で、平成26年度より横浜市大センター病院で感染症内科医として、成人感染症診療と感染制御に携わる。平成30年より藤沢市民病院臨床検査科で臨床検査医および感染症内科医として勤務。専門は小児感染症、感染症内科、臨床検査医学。

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ライター紹介

岡本有紗

2児と猫3匹を育てるライター。メディカル系専門の広告制作会社でライティングと編集業務を経験後、出産を機にフリーに。得意分野はやはりメディカル系だが、いろいろな分野を経験し幅を広げたいというのが現在の目標。趣味はあえてチープな手段で行く一人旅(休止中)、特技はハモリと絶対音感。

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