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読書感想文の書き方のコツと親ができるサポートは?

掲載日: 2015年8月19日更新日: 2015年8月19日野々山 幸
ついついやり残してしまう夏休みの宿題のひとつに「読書感想文」があります。なかなか手をつけない子どもにイライラしてしまったり、手伝おうにも何をしていいのかわからない、という方が多いのでは? そこで、読書感想文の書き方のコツと、親ができるサポートについて、『読書感想文の達人—あらゆる作文のヒント』著者で、松桜塾塾長の松末留美さんに教えていただきました。

短くても「深いテーマ」がある本を選ぼう

先日「【夏休みの宿題事情】小学生が苦戦している宿題第1位は?」の記事でご紹介したとおり、子どもが最も苦戦している夏休みの宿題第1位は「作文・読書感想文」(41%)なんだとか。

特に低学年のうちは、作文自体を書く経験が少ないので難しく感じてしまいがちですが、松末さんによれば、ちょっとした親のサポートでぐんと書きやすくなり、充実した内容の読書感想文を仕上げることができるそうです。

読書感想文を書くために、まず行うのが本選びです。本を選ぶ上で大切なこと、気をつけることはありますか?

「読書感想文は、『読書を通じて自分の思いを書く作文』です。共感するにしても、納得できないにしても、読後に何かを感じて、それを話し合える内容の本が理想的です。」

「ライトノベルのような本は、ストーリー展開が楽しく、読みやすさはあるかもしれませんが、物語のテーマを読み取りにくいものもあります。芥川龍之介や有島武郎、宮沢賢治などの児童文学の短編などは、短くても深いテーマがあることが多いので、私の講座でもよく用いています。」

名作と言われる作品は、やはり読書感想文にも適しているようです。選んだ本を読む際には、こんなポイントも。

タイトルと、帯、裏表紙などに書かれている本のあらすじなどをよく読んで、把握しておくと読みやすいでしょう。また、作者やその本が書かれた背景などについても調べておくと、感想を考える際に役立つのでおすすめです。」

読書感想文を書く際には、下調べも必要。親も一緒に調べて読み進められるといいですね。

あらすじではなく『自分ならどう思うか』を書く

本を選んで読み、いよいよ読書感想文を書き始めても、なかなか思うようには進まないもの…。読書感想文で、子どもがつまずきやすいポイントを教えて下さい。

「最も多いのは、その本のあらすじを書いて、ただ『おもしろかった』と加えるケースです。字数をかせごうとして、本の内容を書き写してしまうこともあります。子どもは内容を復唱するだけで、自分の意見や気持ちまで考えられていないことが多いです。」

「例えば、主人公の少年が、飼い犬を亡くして悲しんでいる場面の感想を求めると、『悲しかった』、その理由を『犬が死んだから』と言うことがあります。これでは、感想文ではなくただの本の解説です。『自分の犬も死んだらと思うと悲しくなった』、『大切なものがいなくなるのは辛いことだ』といったところまで考えが及ぶと、ようやく感想文となります。常に『自分(友達、親など身近な人)だったらどうか』と考えるようにしましょう。」

また、書き慣れない子どもは、文章を構成する上でこんな失敗に陥ってしまうこともあります。

「長い文章を書く習慣がないと、正しくわかりやすい文章を書くことに苦労する場合もあります。多くは一文を長くしすぎることが原因です。できるだけ、文章を短く区切って書いてみるといいでしょう。」

子どもと「本について語り合う」ことが大切!

読書感想文を書く上での基本をふまえて、親ができる手助けはあるのでしょうか? ついつい口うるさく言ってしまい、うまくサポートできないことが多いのですが…。

まずは、本について子どもと語り合いましょう。一人だと自分のものの見方に偏りがちですが、話すと考えが深まります。読後、本のテーマに通じるような共通の経験を話したり、『作者は何を伝えたかったのかな』、『タイトルにはどんな意味があるんだろうね?』などの問いかけも有効です。」

親も一緒に本を読んで、考えることが大切なんですね。

以下は、松末さんに伺った学年別のサポートのポイントです。高学年になるにつれ、子ども自信が本の内容を深く考察できるように、サポートの仕方を変えていくのが子どもの成長を促すコツです。

小学校低学年(1年生、2年生)の読書感想文のサポート法

「本を読むところから親が関わるといいでしょう。一緒に読む、あるいは音読して聞かせて感想を語り合います。この年齢ではまだ読解力に心配があるので、本の内容を理解できているかどうかを確認することが親の主な役割となります。」

小学校中学年(3年生、4年生)の読書感想文のサポート法

「課題図書として、子どもにとって未知の世界のものが選ばれることも多いので、解説してあげましょう。例えば、戦争を題材とした本の場合、大人が当然感じる『戦争はしてはいけない』という思いが、戦争そのものを知らない子どもには理解できない、ということがあります。子どもが連想しやすいよう話してあげることがポイントです。」

小学校高学年(5年生、6年生)の読書感想文のサポート法

「選ぶ本が難解になってくるので、親との話し合いはより有意義になります。『あなたなら本の主人公と同じことをする?』と問いかけたり、親自身の感想を率直に伝えることも、違う視点からものも見るいい機会になります。実際に感想文の中に『母はこう言っていた。でも僕はそうは思わない。なぜなら~』といった内容が入っても、深い考察が見えてよいですね」

親ができるのは、子どもだけでは考えが至らない部分を補ったり、思いを深める手伝いをすること。難しいですが、親の働きによって、子どもの読書感想文の仕上がりもぐっと変わることは間違いなさそうです。残り短い夏休み、ぜひ親子で一緒に頑張ってみましょう!

お話を聞いたのは…

  • 松桜塾塾長 松末留美さん

    松桜塾塾長。大手進学塾、予備校にて20年の国語の指導経験を持つ。現在は子どもの基礎学力向上のために、読売新聞・親子新聞教室、小学校での教員向けセミナー、各種講演、文化センターでの指導も行う。

  • 松桜塾

ライター紹介

野々山 幸

1979年生まれ。ライター。芸能インタビューから美容・健康、恋愛、結婚、育児に至るまで、“女性が興味のあること”をテーマに書き続けて早15年。2歳の女の子と0歳の男の子の母でもあり、毎朝5時起床で目まぐるしい日々を送る。今最も知りたいことは、「帰宅して15分で作れる子どもごはんのレシピ」。

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