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「お彼岸」って何?今さら聞けないお墓参りのマナー

掲載日: 2015年9月2日更新日: 2017年5月16日佐藤葉月
もうすぐお彼岸。お彼岸にはお墓参りに行くというのは知っているけれど、「なぜお墓参りに行くの?」「そもそも、お彼岸ってどういうもの?」と聞かれたら答えられない人は少なくないのでは。そこで、東京の青山にある実相寺の住職・鵜飼碩宗さんにお彼岸の意味やお墓参りのマナーなどについて話を聞きました。

お彼岸ってどんなもの?

「お彼岸には、春彼岸秋彼岸があります」と鵜飼住職。
春彼岸とは、春分の日を中日とした前後7日間のこと。秋彼岸とは、同じく秋分の日を中日とした前後7日間の期間を指します。2015年の秋彼岸は、彼岸入りが9月20日、中日である秋分の日が9月23日、彼岸明けは9月26日です。

彼岸というのは、言葉の通り、岸の向こう側。故人が暮らす悟りの世界のことを言います。それに対して、此岸(しがん)という言葉あります。これは岸のこちら側という意味で、迷いや煩悩に満ちた、我々が生きている世界のことです。」

彼岸=悟りの世界は、迷いや悩みから解放された極楽浄土のこと。昔から極楽浄土は西の彼方にあると考えられていたそうです。

そして、昼と夜の長さがほぼ同じである春分の日と秋分の日は、太陽が沈む西の彼方(極楽浄土)と、此岸が最も通じやすくなると言われ、この日を中日とした前後7日の期間、極楽浄土に思いを凝らして仏事を行う習慣が生まれたのだとか。

お彼岸にはどんな仏事を行うの?

お彼岸に行う仏事は、大きく分けて2つあるそうです。

1つは先祖の冥福を祈ってお墓参りをすること。お墓参りはお彼岸の中日、すなわち春分の日と秋分の日に行うのがベストですが、難しければお彼岸の期間のうちいつでも良いそうです。

そしてもう1つは、来るべき日に自分がきちんと彼岸(=極楽浄土)へ行けるように「六波羅蜜」という6つの修行を行うこと

「六波羅蜜」とは?

では、この「六波羅蜜」とはどういうものなのでしょうか?
修行と言うと難しいことに聞こえるかもしれませんが、普段の行いを見つめ直すことだと考えれば良いとか。お彼岸の期間は、この6つのことに気を付けて過ごすと良いそうです。
  1. 布施(ふせ)…人に対して良いことをする
  2. 持戒(じかい)…「五戒」を守る (※五戒とは、(1)生きものを殺さない(2)ぬすみをしない(3)よこしまな異性関係を結ばない(4)うそをつかない(5)酒におぼれない)
  3. 忍辱(にんにく)…苦難に耐えること
  4. 精進(しょうじん)…努力をすること
  5. 禅定(ぜんじょう)…心を静かに落ち着かせること
  6. 知恵(ちえ)…幅広く知識を得て物事をさまざまな角度から見ること

以上の6つのことをすれば、私たちは彼岸へ行きやすくなると考えられているんだとか。季節の変わり目に、日ごろの行いを見直すきっかけにすると良いかもしれませんね。

また、彼岸は、お盆のように仏壇を飾ったり、特別な供え物をする必要はないとのことです。

お墓参りの持ち物とマナーって?

では、お墓参りに行く際の基本的なマナーとは? まず、何を持って行けば良いのでしょうか?

お墓参りの持ち物

主な持ち物はこのようなもの。
  • お供えの花
  • 線香
  • お供え物(お菓子やお茶、お水など。地方によってはお米を供える場合も)
  • お水
  • お墓の掃除用具(雑巾やほうきなど)草むしり用の軍手

マナーについては、「お墓参りに行く時間帯には特に決まりはないですが、あまり暗くならないうちに済ませましょう。服装なども法事ではないので決まりはありません。あまり派手すぎない格好であれば何でも良いです」とのことです。

基本的なお墓参りの手順

  1. まずは、お墓を掃除します。雑巾で墓石を拭いたり、周囲に生えた草をむしるなど、きれいにしましょう。
  2. お供え物を供えます。菓子や飲み物など故人が好きだったものを持って行くと良いでしょう。墓地によっては、カラスに荒らされたりすることもあるので食べ物を置いたまま帰ってはいけないところも。その場合は、いったんその場でお供えをして、持ち帰りましょう。
  3. お線香を供えます。線香はその煙によってお供え物が故人に届くと考えられているそう。だから、お供え物をして線香を焚いたら、供物は持ち帰っても大丈夫なのです。
  4. 墓前に手を合わせます。ここでいろいろとお願いごとをしてしまう人がいますが、お墓参りではお願いごとはせず、先祖へ近況報告をしましょう。報告できないようなことはしないという、自分への戒めにもなるとのことです。

また、万が一、お彼岸にお墓参りができなかった際は、別のタイミングに訪れても良いそう。「命日、月命日、お盆、正月、その他就職や入学の報告など、それぞれの節目の時を選んで手を合わせに行きましょう。大切なのは気持ちです。」

お墓参りに子どもを連れて行く時に気を付けることは?

「お墓参りだからと言って、特に気を付けることはありません」と鵜飼住職。
普段のお出かけ同様、常識の範囲内で、大声を出さないなど周りの人に迷惑をかけないような振る舞いをすれば良いそうです。

また、住職いわく「迷惑になるからと言って、お墓参りに連れて行かないという選択はなるべくしないで」とのこと。

お墓参りは、死は特別なことではないということ、そして先祖があってこそ自分たちがいるのだということを子どもに教える良い機会になります。
子どもと一緒にお墓参りに行き、お墓参りにはどんな意味があるのか、先祖はどんな人なのかなど、親子で会話をしてみてくださいね。
「お彼岸にお供えする花は何が良い?」など、お彼岸についてもっと知りたい方はこちら

お話を聞いたのは…

  • 鵜飼碩宗さん

    実相寺の住職。実相寺は東京都港区北青山にある、臨済宗 円覚寺派の寺院。創建は寛永11年(1634年)三代将軍家光公の時代。2011年12月、本堂の老朽化に伴い改築がなされ、新本堂が竣工、納骨堂も合わせて開設された。

  • 実相寺

ライター紹介

佐藤葉月

宮城県生まれ。タウン誌の記者、ブライダル雑誌の編集者を経てフリーランスに。東京オリンピックを含め、子どもたちに夢を与えるスポーツ関連の記事を書くことが目標。月に1回はライブを見に行く音楽好き。海外一人旅にはまり、アジア圏制覇を目論んでいる。

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