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いろんな意味や由来がある「おせち」って、おもしろい!

掲載日: 2015年12月28日更新日: 2017年12月22日飯田友美

お正月といえば「おせち」。どうしてお正月におせちを食べるのか、それぞれの料理(食材)にはどんな意味があるのか、などのさまざまな疑問を、日本に伝わる文化や行事をテーマに書籍を多数執筆されている文筆家、広田千悦子さんに伺いました。

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どうしてお正月に「おせち」を食べるの?

そもそも、お正月に「おせち」を食べるのはなぜなのでしょうか。

今は『おせち』といえばお正月に食べるものですが、その昔は五節句やお彼岸、冬至など、季節の変わり目に食べていました。この『おせち』を食べる意味ですが、神様に食べものをお供えして、健康などを祈るものだったと言われています。」

なるほど、季節の変わり目に食べるものだから「おせち(御節)」なのですね。中でも、一年で最も大きな節目となるお正月に食べる習慣が残ったとのことです。

「他にも、新年に神様をお迎えするにあたり、台所であわただしく動き回るのは失礼だからという意味や、いつも忙しく台所に立つ女の人が休めるように保存食のようなものとして食べていた、など諸説あります。」

昔は今と違い、年末年始に食材を調達するのも難しかったことから、保存食としての意味合いもあったのかもしれませんね。いずれにせよ「おせち」は、形あるものとして昔から今に伝わる風習のひとつといえるでしょう。


知って楽しい、おせち料理の意味や由来

お正月の食卓を彩るおせち料理のそれぞれの具材には、いろいろな意味や由来があります。日本には古来より言霊(ことだま)信仰があり、言語(音)そのものが意味を持つと信じられていたことから、語呂合わせなどもそこに通じるものがあります。

ここで代表的なおせちの具材と、その具材が食べられている理由をご紹介しましょう。

<鯛>
四季を通じて味が落ちないことや、形がよく縁起がいいことなどから。また、「めでたい」という語呂合わせ

<海老>
腰が曲がるまで長生きできるように、という長寿への願いが込められている。そして赤い色はめでたいということから

<栗きんとん>
黄金の色がめでたいから。今のような「栗きんとん」になったのは明治以降。昔は、栗の粉で作った金色の団子を使ったすいとんのようなものだった

<たたきごぼう>
ごぼうは根が地中深くはる植物であることから、家の基礎(土台)がしっかりするという意味。また、身体によい食べものということから

<数の子>
たくさんの卵が子孫繁栄を意味する。昔は三つ葉味噌で和えたり、山椒をまぜたりしていた

<黒豆>
まめで健康に過ごせて、まめに働けるように(無病息災)、という語呂合わせ。今は甘いものだが、昭和の初めには、トイレが遠くなるという理由でお坊さんが座禅のときに食べていたことから「座禅豆」といわれ、硬めにゆでてしょうゆや塩などで味付けしていた

<田作り>
カタクチイワシを干して細かく刻み灰に混ぜて肥料にしたところ、稲が豊作になったことから、豊作を祈るという意味。五万米(ごまめ)ともいう

<結び昆布>
昔は「ひろめ」と呼んでいて、お披露目や広がるという意味があった。親しい、睦まじいなどの意味のある睦び(むつび)昆布が変化して、結び昆布になったという説も。また、語呂合わせで「よろこんぶ」など


現代のおせちは、新しいものと古来のものが楽しいコラボレーションを繰り広げていると広田さん。明治くらいまでは煮物が中心だったというおせちですが、現在はさまざまな調理法でとても華やかなものになっていますよね。おせちは、由来や意味なども上手く受け継ぎながら、進化しているようです。


北陸・東北では、「おせち」は大晦日に食べる!?

一般的におせちはお正月に食べるものですが、地域によって大晦日に食べるところもあるそうです。北陸や東北地方では、家庭やその地域によってもさまざまですが、大晦日の晩御飯がおせちなんですって。

昔は日付の変わる感覚が今と違い、日没が新しい一日の始まりでした。そこで大晦日の晩が新年となるため、大晦日の晩におせちを食べる習慣がまだ残っているのです。しかし、今となってはこの地域の方でも、どうして大晦日に食べるのかという理由まではご存じない方が多いかもしれません。」

このほか地域ごとの違いとして、おせちの最も代表的な料理をさす“祝い肴3種”は、東では「田作り、数の子、黒豆」、西では「たたきごぼう、数の子、黒豆」だそう。おせちに入れる具材はその家々によっても違うので、出身地ごとに聞いてみるとおもしろいかもしれませんね。

ちょっとした工夫でいつもの「おせち」が華やかに!

お子さんがいるご家庭では、なかなかおせち作りの時間を捻出するのが難しいもの。そこで、市販品のおせちを並べた場合でも、ちょっとした工夫で華やかになる、とっても簡単な方法を広田さんに教えていただきました。

お正月らしい植物を重箱や器に飾り付けるだけで、いつもとはちょっと違ったおせちになりますよ。南天は見た目にも華やかで、おすすめです。また、『神を待つ』という意味がある松を結んで添えるのもいいですね。しめなわ飾りや鏡餅に使う、裏白(うらじろ)などもお正月らしさを演出できます。そのほか、つばきやさかきなど、常緑の植物をあしらってもいいでしょう。」

市販品にこうした飾りを加えるだけであれば、忙しいお母さんにも簡単に用意できますよね! 見た目も華やかになりますし、それぞれの植物の意味をお子さんと話し合うのも楽しいのではないでしょうか。


一年の中で一番大きな行事ともいえるお正月。「おせち」にも意味があり、素材や料理の語呂合わせやそこに込められた想いなど楽しい話題が満載です。昔から伝わり今も残る風習をきっかけに、親子の会話を深めてみては? 昔の人の想いに心を寄せて、立ち止まり、考える時間が持てたらステキですね。

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お話を聞いたのは…

  • 広田千悦子さん

    文筆家。日本の文化・歳時記研究家。うつわ・ことば・絵の作家。新聞や雑誌などでコラムと挿絵を連載中。企業アドバイザー。メディアなどに多数出演。著書は『くらしを楽しむ七十二候』(アースエンターテイメント)、『ほんとうの和の話』(文藝春秋社)、『口福だより』(小学館)、『美味しい! 日本のくらしと七十二候』(新潮社)、『七十二候で楽しむ日本の暮らし:角川ソフィア文庫』(角川学芸出版)など多数。『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)はロングセラー。

  • 広田千悦子さんのホームページ

ライター紹介

飯田友美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライターに。好きなものは猫とパンダ、趣味はライブに行くこと、お芝居を観ること。杉並区在住。2児の母。

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