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案ずるより産むが易し。「2人目の壁」を乗り越えよう!

掲載日: 2016年4月27日更新日: 2017年5月16日青柳直子

最近よく聞く「2人目の壁」という言葉。「本当は2人以上の子どもが欲しいにも関わらず、必要となる生活費や教育費に関連した家計の見通しや、 仕事等の環境、年齢等を考慮し、第2子以後の出産をためらうこと」なんだそう。一般財団法人1more Baby応援団 専務理事の秋山開さんに、この壁をどう乗り越えるべきかを聞きました。

75%の夫婦が「2人目の壁」が存在すると回答

1more Baby応援団は「理想の数だけ子どもを産み育てられる社会を実現したい」という想いのもと、2013年より毎年4月に「夫婦の出産意識調査」を実施しています。

「調査の結果、実際の出産予定とは別に『持ちたい理想の子どもの合計人数』は、全体のうち、48.0%が『2人』、28.2%が『3人』で、『2人以上を理想としている』人の合計は79.6%でした。この割合は年々増加傾向にあります。」

Q. あなたは何人の子どもを持ちたいと考えていますか? 実際の予定ではなく“理想の”合計人数を教えてください。

「また、『2人目の壁』の考え方について説明したうえで、『2人目の壁は存在すると思うか』についてたずねたところ、『存在する』は全体の75.0%。上記の『持ちたい理想の子どもの合計人数』とは相反する結果でした。」

Q:あなたご自身のご家庭を考えた時に、『2人目の壁』は実際に存在すると思いますか。(n=2961)


「2人目の壁」の要因第1位は「経済的な理由」

これほど多くの人が「2人目の壁」を感じる原因は何なのでしょうか?

「調査の結果では、『2人目の壁』を感じる要因の第1位は、3年連続で『経済的な理由』です。現在の家計が厳しいという方だけでなく、子どもの学費や老後など、将来の見通しに対する経済的な不安も大きな要因だと思います。」

第2位の要因は、ママの置かれている状況によって大きく違いが出ているのだそう。

「まず専業主婦のママについては、『心理的な理由』が第2位です。やはり初めて子育てをする環境では、時間と体力面だけでなく、育児ストレスなどが大きな要因になっているのでしょう。それに対して働くママの場合は『仕事上の理由』が第2位で、仕事と子育ての両立がまだまだ難しい社会環境が影響していると思われます。」

さらに仕事と子育ての両立については「制度だけの問題ではない」と秋山さんは続けます。「私たちが行った調査の中でも、『第一子を産んだ後に、再度産休を取りづらい』といった声が多く上がりました。上司や同僚の目が気になる人が多く存在し、会社全体の風土を変えていく必要があるようです。また、回答全体でみると『年齢的な理由』が3位となり、晩婚化が進む中、2度目の産休を取得することを躊躇しているうちに、年齢的な理由で第二子の出産をあきらめている人も多くいると考えられます。」

先輩ママに聞く「2人目の壁」を乗り越える方法

それでは、こうした要因を取り除くにはどうすればいいのでしょうか。

秋山さんたちは2015年10月に1,045人の子どもを持つ男女に対し意識調査を行い、また実際に2人目の壁を乗り越えた全国の13の家庭を訪問し、インタビューしたそうです。その結果、まず重要なのが「パパの協力」だと秋山さんは言います。

「厚生労働省が行った『第9回21世紀成年者縦断調査(平成22年)』でも、男性が家事・育児に参加する時間が長いほど、第2子以降の出生割合が高いという結果が出ています。」

では実際、「2人目の壁」を乗り越えたママたちはどのようにしてパパの家事・育児参加をうながしているのでしょうか?

「あるママは『とにかく些細なことでも手伝ってくれたら大げさなくらいほめて、感謝の気持ちを伝えるようにしました。そしたら、みるみるうちにヤル気になって素直に手伝ってくれるようになりました』と言っていました。『ほめる・感謝を伝える』ことは、パパのモチベーションをあげる効果的な方法のようです。」

「また、とくに共働きの家庭では、夜泣きを利用してパパの意識を変えるという方も多くみられました。あるママは、『別々に寝ると、子育ては女がするもの、みたいになっちゃうんですよね。男は仕事のために寝る、みたいな』とおっしゃっていましたが、夫婦一緒に寝て、子どもの夜泣きに一緒に対応した結果、パパがオムツ替えなどに積極的に取り組むようになったそうです。」

また、パパ以外にも子育てをサポートをしてくれる人は多いに越したことはありません。父の日や母の日、結婚記念日にお祝いするなどの気配りをして、両家両親の協力を得やすい環境を作るのも大切ですね。

経済的な問題は支出と収入のバランスを見直すことで解決!

2人目の壁の最大要因である「経済的な問題」を解決するのに有効な手立てはあるのでしょうか。

「多くの方がおっしゃっていたのは『生活の断捨離』を積極的に行うことです。複数の保険会社で内容を見直したり、子どもの教育や習い事にかけるお金も家計に無理のない範囲で調整しているようです。」

「また、収入を増やすため、ネイルサロンを個人で始めた方や、学習塾を自分で開いた方など、出産・子育てをネクストチャレンジのきっかけに転換されている方もいます。」

経済的な問題も家庭によってさまざまですが、無駄な出費を抑えたり、収入を増やす工夫で乗り切っている方が多いようです。こうした対策と同時に、2人目の誕生後には学資保険で計画的に教育費を貯えたり、万が一に備えて生命保険に入ったり、リスクマネジメントをするのも大切なことです。


『2人目の壁』を乗り越えた人は幸福感がアップ!

では、実際に悩みながらも2人目の壁を乗り越えて出産された家庭は、幸せなのでしょうか?

「私たちが行った調査結果では、『とても満足している』と回答された方が71.2%、『やや満足している』と回答された方が26.4%と、合計97.6%の方々が『満足している』と回答しています。」

「その理由(複数回答可)はというと、『家族が多くなったので、にぎやかで楽しくなった』(80.7%)、『子ども同士で遊べるようになった』(73.2%)、『子ども同士で成長した』(63.6%)が上位に上がっています。」

「別の質問で『2人目出産のキッカケ』についても調査してみましたが、『第一子を考えて」(43.7%)が1位となっており、子どものことを考えて2人目の壁を乗り越えた結果、兄弟が楽しく遊んでいる姿を見て幸せを感じているという人が多いのではないでしょうか。」

「また、満足した理由について『子どもが将来支えあえるようになった』(34.8%)という方々もいらっしゃり、子どもの将来を考え、2人目の壁を乗り越えたという方々もいるようです。」

案ずるより産むが易し。2人目の壁を乗り越えた先輩ママたちの経験談に勇気をもらって、あなたも2人目にチャレンジしてみませんか?

お話を聞いたのは…

  • 秋山 開さん

    一般財団法人1more Baby応援団 専務理事で、プライベートでは2人の男の子の父親。「2人目の壁」を乗り越えるための啓蒙活動を推進する傍ら、調査、執筆、セミナー等を積極的に行う。本を通じて子育て等について話合いながら交流する「ワンモアベイビー読書会」などを開催。
    2016年4月28日には、2人目の壁を乗り越えるためのヒントやアイデアが満載の「なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか? ~ママ・パパ1045人に聞いた本当のコト~」/一般財団法人 1more Baby応援団 (著)を発行

  • ワンモアベイビー読書会

ライター紹介

青柳直子

ライター暦16年。神戸生まれ・育ち・在住のアラフォー世代。芸能・インタビュー、舞台・コンサートレポをメインに、子育て関連、街取材まで“守備範囲を広く”がモットー。小学1年生の長男、1歳の長女、ヨーゼフ(ハイジの犬)似の夫+猫2匹と、毎日てんやわんやな暮らしぶり。娘が歩けるようになったのを機に、家族キャンプ再デビューを計画中。

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