子どもの習い事として人気の「クラシックバレエ」。かわいいレオタードや衣裳を身に着け、美しい音楽にのせて踊るバレエに憧れるお子さんも多いでしょう。今回は、Kバレエスクール吉祥寺校の主任教師・山口愛先生に、子どものころからバレエを習うメリットやレッスン内容について、詳しく教えてもらいました!
筋力、柔軟性が身につく以外にも、メリットがいっぱい!
クラシックバレエは軽やかで優雅に踊るイメージが強いですが、実際にはバレエに必要な筋力や柔軟性、体力がないとできないものですよね。
「バレエは体の内側にある筋肉をのびやかに使い、豊かな表現力で音楽に合わせて踊る芸術です。独特な体の使い方をするので、子どものころからレッスンを積み重ねて、長い時間をかけてバレエに必要な筋肉をつけていきます。優雅に見えますが、とても体力を必要とするので、バレエを習ううちに体が強くなったお子さんも多いです。また、筋肉をのばすストレッチもおこなうので、柔軟性を養うこともできますよ。」
こうした身体的なメリットとあわせて精神的なメリットも多く「“習って悪いところはない”と思いますよ」と山口先生は言います。バレエを習うことで、子どもの成長に与えるメリットを挙げていただいたところ、こんなにたくさんあるそう!
身体的メリット
- 柔軟性
- しなやかな筋肉
- バランス感覚
精神的メリット
- 集中力、忍耐力
- コミュニケーション力
- 応用力、対応力
- マナー、ご挨拶
- 主体性
芸術的メリット
- 音楽性
- リズム感
- 表現力
- 想像力
「普段のレッスンでは、日々同じことを繰り返して、体を作っていきます。そのため、集中力や忍耐力が鍛えられ、強い精神力を養えます。また、発表会の前は幅広い年代の生徒と触れ合うので、集団生活におけるマナーやコミュニケーション力も身につきやすいです。私たち教師陣も、お行儀やご挨拶など、礼儀作法を含めしっかりと教えています。」
ほかにも、失敗を繰り返すうちに学べる「応用力、対応力」や、自分らしい踊りを工夫するための「表現力」「主体性」、そしてレッスンを通して豊かな「音楽性」を養うことができるそうです。
バレエを始めるのに適した年齢はあるの?
ほとんどのバレエスクールでは、年齢ごとにクラスが分かれ、クラスが上がるにつれてレッスン内容の難易度も上がっていくのが一般的です。
「よく親御さんから『何歳からバレエを習わせたらいいですか?』と聞かれるのですが、年齢よりも子ども自身がバレエを好きなことが大切だと思います。早めに始めたほうが体の使い方をスムーズに習得しやすいのは確かですが、教師の言葉がある程度理解できる年齢(3歳または4歳以降)であったほうがいいとは思います。」
では逆に、小学校に上がってからバレエを始めるのは遅すぎますか?
「小学生になってからバレエを始めても遅くはありません。たとえば10歳から習い始めても、未経験でもしばらくは同年代のクラスで学んでみて、そのままついていける子も多いですよ。ついていくのが難しければ、教師の判断でクラスを移行することもあります。いずれにせよ必要なのは、本人の意欲! バレエが好きな気持ちがあれば、子どもの成長は未知数なので、あとからでも追いつけます。」
本人のやる気さえあれば、始めるのが遅くても楽しんで努力できますよね!
どんなお稽古をしているの? 実際のレッスンを見学!
バレエスクールのレッスンは、どのようなことを習うのでしょうか? 今回は、山口先生が教える4歳〜6歳を対象とした「Jr.Associateクラス」を見学させてもらいました!
レッスンは45分間で、先生とピアニストへのご挨拶から始まります。きちんと返事ができなかったり、気持ちのこもっていない適当な挨拶をしたりすると、「ただ叫ぶだけの挨拶と、心から伝える挨拶は違いますよ」と指摘し、何度でもやり直し!
床に座ったら、柔軟性を高めるストレッチ。腰から股関節、内もも、足首、足裏までをリズムに合わせて丁寧に伸ばしていきます。その間も先生は「この腕はなんの形に似ていると思う? お花だとしたら、なんのお花ですか?」「鉛筆の先、とがったものと丸いもの、どちらが美しいかな? みんなの足先はどちらを目指したい?」などと声をかけ、生徒自身に考え、発言させるようにします。先生の楽しい質問に、生徒たちも積極的に大きな声で答えていました。
ストレッチを終えたら、フロアに立ってトレーニング開始。片足で立つ訓練をしたり、白鳥やぞうさん、うさぎさん、お馬さんの真似をしたりしながら、バレエに必要な筋力を養っていきます。ピアノの音も振付に合わせて関連した曲に変わり、自然と豊かな音楽性を身につけていけそうです。レッスンが終わりに近づくと、動きはどんどんダイナミックになり、最後はひとりずつ音に合わせて大きくスキップ!
山口先生の明るくユーモラスな口調に対し、生徒もリラックスしてレッスンに臨んでいましたが、お友達を押した生徒を見た先生はレッスンを中断し、「なぜ押したのか」「なぜ手を出してはいけないか」「口でどう伝えたらいいか」を、厳しくも丁寧に注意していたのが印象的でした。
話を聞いていない子がいたら「いま、先生はなにを言いましたか?」と尋ね、よそ見している生徒がいたら「先生が話しているときは、ちゃんと先生の目を見てほしい」と伝えます。子どもたちも先生が本気で話しているのだと理解して真剣な顔つきに変わり、ぐんと集中度が上がったのを感じられます。
「厳しく言うときもあるのですが、バレエには自分の意思がとても大切。押しつけるだけでなく、生徒の内側を引き出して、自主性を高めるような指導を心がけています」と山口先生。身体面はもちろん、精神面での成長という点も体感した45分間でした!
心身ともに、子どもの成長にたくさんのメリットがあるバレエ。興味のあるご家庭は、お近くの教室で一度ぜひ見学をしてみてはいかがでしょうか。
取材協力
Kバレエスクール
英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍し、Kバレエカンパニー芸術監督でもあるダンサー、熊川哲也さんが子どもたちの育成のために設立。本校である小石川校のほか、恵比寿校、吉祥寺校、横浜校、福岡校、大宮校があり、満4歳から19歳までの生徒たちがバレエを学んでいる(2016年5月現在)。※小石川校のみオーディション制
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