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バレエで姿勢がよくなるのは本当?お家でできる簡単エクササイズ

掲載日: 2016年10月27日更新日: 2017年5月16日富永明子

品のよい所作が身についたり、行儀作法を覚えたりと、さまざまなメリットがあるクラシックバレエ。なかでも「姿勢がよくなる」という理由から、子どもの習い事にバレエを選ぶ親も多いと言われています。その理由を、子どもと一緒にお家でできるエクササイズと合わせて、クラシックバレエの先生に教えてもらいました。

筋力、柔軟性、バランス力…バレエで身につく力は「よい姿勢」に不可欠!

「クラシックバレエで姿勢がよくなる」ことは、当たり前のように語られていますが、なぜなのでしょうか? 「ながらバレエ・ストレッチ」の著者で、東京都内で子どもから大人まで多くの生徒を教える、クラシックバレエ講師の四家恵先生にお話を聞きました。バレエを習うと、実際に姿勢がよくなるのでしょうか?

「はい、バレエは姿勢がよくないと踊れないので、習ううちに自然と正しい姿勢を身に着けられます。お子さんの場合はスキップをしたり、回ったりとシンプルな動きを通して、バレエに必要な伸縮の効くしなやかな筋肉を養っていきます。」

バレエを習うことで、身体的には3つのメリット

バレエに必要な筋肉=普段の生活でも必要な筋肉なのでしょうか?

「そうですね。バレエを習うことで、身体的には3つのメリットがあります。1つ目は『筋力がつくこと』、2つ目は『柔軟性が高まること』、3つ目は『バランス力が身につくこと』です。」

「バレエはつま先立ちでの回転やバランス、ジャンプなどのステップを通して、揺れる体をコントロールしながら踊るので、体幹の筋肉、つまり腹筋が強くなります。しかし、がちっと表面の筋肉を固めてしまうと踊れませんから、柔軟性のある内側(コア)の筋肉をしなやかに使って踊ります。」

「そのため、筋力&柔軟性&バランス力の3つをセットにして踊りを学ぶうち、自然とバレエのみならず、普段の生活でも必要な筋肉を備えた『正しい姿勢』が身についていくのです。」

正しい姿勢で座るには、腹筋が必要に

また、四家先生は「肋骨と骨盤の間には、中心を通る縦の骨しかないので、そこを支える筋力をつけることが姿勢にとっては重要です」と、言います。

最近のお子さんで多いのが、まっすぐに椅子に腰かけられない子たち。椅子に深く腰かけて姿勢をまっすぐに保つためには、横の骨がないお腹の部分を腹筋で支える必要があります。」

「でも、筋力が弱いとお腹を自力で支えられないので、お腹がゆるんで腰を丸めて座る、つまり浅く腰かけることになります。これでは、だらしない姿勢に見えてしまい、椅子はもちろん、背もたれのないところで正座することもできなくなってしまいます。バレエを通して腹筋を養えば、正しい姿勢で椅子に腰かけられるようになるでしょう。」

椅子にだらしなく腰かけてゲームをしている子ども…よく見る光景なだけに、我が子がそんな癖をつけないように気をつけたいですよね!


姿勢がよくなることは、怪我をしにくい元気な体作りに役立つ

では、正しい姿勢を身につけることで礼儀正しく、上品に見える以外に、どんなメリットがあるのでしょうか?

「姿勢がよくなると、内臓が正しい位置に収まるので、消化吸収のよい健康な体を手に入れることができます。また、悪い姿勢は骨を圧迫させてしまいますが、正しい姿勢であれば骨がきちんと成長できるので、お子さんの発育によい影響を与えますよ。」

「また、正しい姿勢をキープするために身につくバランス力は小脳が司っており、小脳は7歳ごろまでに完成すると言われています。それまでの間にバレエを習い始めると、バランス力を鍛えやすく、怪我をしにくい体を作ることができます。」

正しい姿勢を維持するには、足裏の重心がポイントに

また、バレエはかかとを上げ、つま先立ちで踊るなどして体を引き上げるため、正しい姿勢をキープしやすいそう。

「バレエは背伸びをしている状態が多いので、正しく覚えれば、全身の土台である足裏の重心を正しく使えるようになります。最近は重心がかかとに乗っている子が多く、これもまた腹筋と背筋の筋力低下につながり、姿勢が崩れやすい原因に。」

「足裏の3点(親指の付け根、小指の付け根、かかとの中心)にバランスよく重心を乗せれば、土踏まずが上がってきちんと足指が床につき、全身が引き上がって正しい筋肉が身について、姿勢をよくすることができます。」

バレエを習うことは姿勢のみならず、健康的に成長できる体を作るためにもよいことなのですね!


自宅で簡単にできる、バレエ・エクササイズ4選!

今回は、四家先生が子どものクラスでもよく行っているという、自宅でもできるバレエ・エクササイズを教えてもらいました!

重心を整える「足指ストレッチ」

やり方:床に体育座りをして、その前にタオルを敷く。タオルの上に足(はだし)を乗せる。足の指でタオルをつかみ、土踏まずを上げながら、タオルを少しずつ手前へ引き寄せていく。このとき、かかとが浮かないように注意。

正しい姿勢を身につけるためには、まずは重心のバランスを整えるところから。足裏の筋力がないと、かかと重心になって姿勢が崩れてしまいます。しっかりと足指の付け根、土踏まずを使いながら、タオルを引き寄せてください。また、手と一緒に足指もグーパーさせたり、足指じゃんけんをしたりするのも効果的ですよ。」

腹筋&背筋の筋力アップに「お尻歩きエクササイズ」

やり方:床にお尻をついて足を伸ばして長座をしたら、左右のお尻を交互に持ち上げて前へ進み、さらに後ろに戻る。上半身ができるだけ揺れないように、腹筋と背筋で体を支え、上半身を引き上げる意識で行う。

「中心軸がないと前後に進むのも困難なので、上半身の真ん中に一本の線が通っていて、その線に上から吊られているイメージで体を引き上げて行いましょう。まっすぐの姿勢をキープして行わないと、腹筋と背筋が正しく鍛えられないので、お子さんの姿勢が丸まらないように注意してください。」

腹筋&背筋を伸ばす「猫ちゃんのストレッチ」

やり方:膝をついて四つんばいになり、背中を丸めたり反らしたりする。いずれも腹筋を使って曲げ伸ばしするのがポイント。背中を丸めたポーズは「怒った猫ちゃん」、あごを上げて背中を反らすポーズは「甘えた猫ちゃん」と呼ぶと、子どもも楽しみやすい。

「膝が床について痛い場合は、床にタオルを敷いてあげてください。また、スペースがないときは正座をして行ってもOK! 正座をして背中を丸めたり反らしたりするだけでも、効果的です。このとき、お尻が左右に揺れても大丈夫。真ん中の安定する位置に、きちんと戻すように意識しましょう。」

総合的に鍛える「背伸びでウォーキング・エクササイズ」

やり方:土踏まずを上げて背伸びをしたら、つま先立ちのままでウォーキングする。かかとをできるだけ高く上げ、揺れないように腹筋と背筋で姿勢を正し、体を上へ上へと引き上げるイメージで歩き続ける。疲れたら休んで、膝の屈伸を行う。

足裏、腹筋、背筋すべてをバランスよく鍛えられるエクササイズです。体をぐんと上へ突き上げているイメージで歩かないと、筋力が弱いうちはぐらぐらしたり、かかとが落ちてしまったりします。お散歩のときに、背伸び歩きしてみると続けやすいと思いますよ。」

バレエは小さい頃から習うのがベスト!健康面のメリットも多い

ほかにも、でんぐり返しをして背中の柔軟性を上げたり、しゃがんだままで尻もちをつかないように歩くことで腹筋と背筋、足首の周りやふくらはぎの筋肉を鍛えたりと、日常生活を通して簡単に鍛えられることは多いようです。

「バレエスタジオでも、小さなお子さんを教えるクラスではまずベースとなる正しい姿勢を教えるものです。いきなりステップの練習をするのではなく、小さいときこそ姿勢をきちんと直してくれる先生に教われば、バレエが上手になるうえ、健康面のメリットもたくさん! よい姿勢で元気にすくすく育ってもらえたらと思います。」

どの筋肉をどう動かすかを子どもに教えるには、大人も一緒におこなったほうがわかりやすいもの。ぜひ家族みんなで、お家でバレエ・エクササイズをしてみてくださいね!

お話を聞いたのは…

  • 四家恵

    クラシックバレエ講師。小林紀子バレエ・シアターを経て、英国に渡りダンサーとして活躍。帰国後はKバレエカンパニーにてバレエミストレスとなり、多くのプロダンサーを指導し、スクール校長も務める。現在は多くの教室で、バレエ初心者からプロまで幅広く教え、フロアバーやピラティス、教授法などの特別講座も持つ。バレエのレッスン向け雑誌や書籍にて、監修も務めている。

ライター紹介

富永明子

編集者・ライター。出版社勤務を経て、フリーランスに。食・健康・美容分野での編集・執筆が多く、料理研究家やフードコーディネーターと一緒にレシピ本を作ったり、専門家に取材して美容の記事を書いたりしています。趣味はクラシックバレエで、踊ることも観ることも大好き。バレエの専門書を作ることもあります。

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