マネーのプロが解説する、「お金と子育て」の話。第6回は「子育て中の保険」。保障も金額もバラエティ豊かな保険の数々、子どもがいる家庭では何を選び、どのように加入するのがベターでしょうか? ファイナンシャル・プランナー、豊田眞弓さんに伺いました。
キーワードは「まさか」子育て家庭が入っておきたい保険
生命保険、医療保険、傷害保険に火災保険に学資保険…と、実にたくさんの種類がある保険商品。子育て真っ最中の家庭にとって、一番最初に入っておきたい保険とは何でしょうか。
「いろいろな考え方があるので、一概には言えません。でも、私個人の意見を言えば、親の生命保険加入は必須だと思います。パパ・ママの死亡というのは、家庭に起こる“まさか”のなかで、一番ダメージが大きいものだと思うからです」
まだまだ若い、子育て世代の親たち。亡くなるような事態が起こる確率は低いものの「起こってしまったら深刻な事態になると予想できるものには保険をかける。それが、安心で確実な選択だと思います」と豊田さんは強調します。
「親の医療保険も必要性は高いでしょう。大きな病気になったら医療費がかかるのはもちろん、長期間働けなくなったときの家計への影響も大きいからです。また、個人賠償責任保険も、ぜひ入っておくべき。こちらは、子どもが思いがけないものを壊した、傷つけた、といった“まさか”への備えです」
なるほど。子育て家庭ならではの“まさか”を見据えて、保険を考える必要があるのですね。
家計に占める保険料の割合は?
保険に入れば、当然ですが、毎月必ず支払いが発生します。必要な出費とはいえ、ともすると家計の負担が大きくなってしまうことも…。
「そうですね。保険は大切ですが、教育費や老後費用など、ほかにも計画的に準備したいお金があります。保険にばかり気を取られていてはいけません」
では、家庭の収入に対して、保険に支払う金額の割合はどれくらいが適正なのでしょうか?
「あえて基準を出すとすれば、貯蓄と保険で20%くらいでしょう。それくらいまでに抑えないと、それ以外の生活費がかなりきつくなってしまうと思います。保険も貯蓄の部分と掛け捨ての部分に分けて考えましょう。保障が増えるほど、貯蓄もできなくなってしまうので、バランスをとることが大事です」
「保険は入ったら入りっぱなしの方も多いのですが、必要な保障額は子どもの年齢などによって変わるもの。大事なのは常に見直しをして、そのときそのときの家計とのバランスを取ることです。今の自分にどれだけの保障が必要かを考えて、過剰にならないように注意してほしいと思います」
負担が大きい生命保険 保障金額の理想はどのくらい?
子育て家庭では、いったいどのくらいの保障額が必要なのでしょうか?
「葬儀費用と、パートナーと子どもたちのその後の生活をサポートできる額を保険で用意する、と考えましょう。教育費分も備えておきたいものですね。住宅ローンは通常、団体信用生命保険(以下「団信」)に加入しているため、その分は相殺されて家が残ります。もしも団信に入っていなかった場合は、住宅ローンの残額を支払えるように保障額を用意しておく必要があります」
「子ども二人、マイホームの住宅ローンあり(団信加入)、公立中心で大学進学希望」の家庭というケースで、必要額の目安を教えてもらいました。
▼専業主婦(主夫)家庭の場合
「専業主婦(主夫)家庭の場合、大黒柱が倒れると生活が一変するので、それを考えて保障金額は高めにしたいところです。主に家計を担う方に3000万円程度、配偶者に500〜1000万円くらいが一応の目安でしょう」
▼共働き家庭の場合
一方、夫婦双方がフルタイムで働く家庭の場合は、「夫婦それぞれに2000万円ずつの保障でも大丈夫ではないでしょうか」ということ。
「ただし、共働きの場合、ふたりで住宅ローンを担っているケースがあります。その場合は、一方が亡くなっても残る分を補てんすることを考えて、その分を上乗せできれば理想的ですね」
働き手が一人か、二人かということはもちろん、マイホームの有無(団信加入の有無)によっても変わる、保険金額。状況に応じて考えることが大切なようです。
保険とは、あくまでも『万一のときに必要となるお金をカバーする』もの。無駄が出ないよう、時々は見直して、賢く「安心」を手にしたいものです。