お外あそびももちろん楽しいですが、おうちの中でゆっくり絵本を読んで過ごす時間も大切な親子コミュニケーションのひとつ。しかし、世の中に何万冊と売られている絵本の中からいったいどれを選んでいいのか分からず、ついついキャラクターものやベストセラーの絵本に手を伸ばしがち。そこで、子どもの本の専門家におすすめの絵本と選び方を教えてもらいました。
子どもの本の専門店「メリーゴーランド京都」の店長である鈴木潤さんは、実生活で5歳と1歳の男の子を育てているお母さんでもあり、実体験を踏まえた絵本のセレクト眼は確かなもの。そんな鈴木さんに、年齢別のおすすめ絵本と、併せて選び方も教えていただきました。
それから、親は子どもに『読み始めたら最後まで!』と読み切ることを押し付けてしまいがちですが、「小さいうちは読み聞かせようとしても聞いてくれなかったり、どんどんページをめくってしまう子もいると思いますが、 もしかしたらその子は絵本を読むことよりもお母さんとのやりとりを楽しんでいるのかもしれないので。子どもがやりたいことに親がつき合うという気持ちで楽しんでください」というアドバイスもいただきました。
ちゃんと見てくれなくても、そういう時期なんだと思って、『きれいに見なさい』とか『破っちゃダメとか』と注意するよりは、 逆に破れにくい素材のものを選んだりして。遊びの延長として絵本の楽しさを存分に味わわせてあげる段階だと思います」
読んであげると子どもは『次は何がくるのかな!?』って期待をしてくれるので、読むほうも楽しいです。『シンプルな内容だけど、これでいいんだ!』っていう感じですね」
この絵本も ストーリーを追うよりは、めくる楽しさ、画面の変化を楽しむものですね」
とはいっても、本格的な物語というわけではなく、 音やリズム、画面のインパクトなどをまだまだ重視したほうがいいですし、そこにもうちょっと物語がついてきてもいいかなという感じのものを選ぶといいと思います」
読んだ後にお散歩に行って丸いものを探してみるなど、生活の一部になってくると楽しくて、どんどん発展していくんです。子供の興味や行動範囲が広がれば絵本もそれにくっついていくという、また違った楽しみ方があります。写真もきれいですし、新しい発見があると思います」
内容は、子どもが最初にクレヨンを持ったときにグルグルグチャグチャと描くようなことをゾウがやったりするものすごくダイナミックなお話なので、 親近感が湧きますし、『もっとやりたい!』というゾウの気持ちを子どもは自分に近い存在として感じるのだと思います」
子どもはお話の世界に入る快感をわかってくるんでしょうね。そんなとき、 親は『あ、この子もう聞けるんだ』っていう瞬間を見逃さず、いろんなお話を読んであげてほしいです。相変わらず今まで読んでいた小さい子向けの本も『読んで』と持ってくると思うんですけど、そうじゃないものも楽しめるようになっていると思うので、様子を見て選んであげたらいいなと思います。好みも出てくると思いますし、一緒におもしろい絵本を探せると思います」
結局、この男の人はバスに乗らないで自分で歩く選択をして、『え、何にも起こらない!?』『バスに乗らなかった!』みたいな終わり方なんですけど(笑)、子どもはけっこう好きなんです。 大人が読むと哲学的な感じがしたりと、けっこう深いんですね。子どもは子どもなりの楽しみ方、大人は大人なりの楽しみ方ができると思います」
お母さんは、満月まで待てば体が育って、人間でいったら4〜5歳くらいまで成長するのを知っているので、それまでは危ないからダメっていうことなんです。『ちょっと待ってて』は、子どもはお母さんからすごく言われている言葉だと思うですけど、その言葉には意味があって、『待つことによって素敵な変化が待っている』ということが分かるんです」
大人はどうしても『最初からページを追って読んでいかないと』という先入観に縛られがちですが、子どもにとって絵本はあくまでもあそびの延長。絵本をコミュニケーションツールのひとつとして捉えて、自分たちだけのオリジナルの読み方を編み出してもいいかもしれませんね。
子どもひとりひとりのペースと気持ちに向き合って、親子で一緒に絵本の世界を楽しんでいきましょう!

絵本の楽しみ方は十人十色。自分達なりの愉しみ方で。
今回は、0歳〜1歳、2歳〜3歳、4歳〜6歳と、年齢で区切りましたが、「子どもが100人いたら100通りなので、そんなに年齢にとらわれることはないと思います」と鈴木さんは言います。それから、親は子どもに『読み始めたら最後まで!』と読み切ることを押し付けてしまいがちですが、「小さいうちは読み聞かせようとしても聞いてくれなかったり、どんどんページをめくってしまう子もいると思いますが、 もしかしたらその子は絵本を読むことよりもお母さんとのやりとりを楽しんでいるのかもしれないので。子どもがやりたいことに親がつき合うという気持ちで楽しんでください」というアドバイスもいただきました。
0歳〜1歳:紙の質感や触り心地、めくることを楽しめるものを
「この年齢の子供は、絵本を楽しむというよりは、 絵本を触ったりめくったりすることを親も一緒になって楽しむといいと思います。ページをめくって絵が変わるだけでもその年齢の子どもにとっては驚きですから。ちゃんと見てくれなくても、そういう時期なんだと思って、『きれいに見なさい』とか『破っちゃダメとか』と注意するよりは、 逆に破れにくい素材のものを選んだりして。遊びの延長として絵本の楽しさを存分に味わわせてあげる段階だと思います」
0歳〜1歳児にオススメの本その1
「すごくシンプルな絵本です。ストーリーというよりは、どんどんいろいろな形が出てきて、その言葉を音読するんです。 めくるたびに驚きが隠されているので、ページをめくってその変化を楽しむような本ですね。読んであげると子どもは『次は何がくるのかな!?』って期待をしてくれるので、読むほうも楽しいです。『シンプルな内容だけど、これでいいんだ!』っていう感じですね」
0歳〜1歳児にオススメの本その2
「これは写真の絵本で、写真を撮っているのが動物写真家の岩合光昭なんですね。ページをめくるたびにパンダが1匹から10匹にどんどん増えていって、パンダのものすごく愛くるしい表情が載っているので、読まなくても見ているだけで楽しいし、大人が読んでもおもしろいと思います。この絵本も ストーリーを追うよりは、めくる楽しさ、画面の変化を楽しむものですね」
2歳〜3歳児:音、リズム、インパクトを重視しつつ、ストーリー性も加味
「0歳〜1歳児向けと選び方はそれほど変わらないのですが。この年齢になってくると、子どもによってはストーリー性が出てきても楽しめるようになっていると思います。とはいっても、本格的な物語というわけではなく、 音やリズム、画面のインパクトなどをまだまだ重視したほうがいいですし、そこにもうちょっと物語がついてきてもいいかなという感じのものを選ぶといいと思います」
2歳〜3歳児にオススメの本その1
「写真絵本で、シャボン玉や水玉、スイカ、お月様など、身近なものから普段めったに目にすることができないものまで、とにかく世の中にある丸いものがたくさん出てくるんですね。後ろのページには科学的なお話も載っています。読んだ後にお散歩に行って丸いものを探してみるなど、生活の一部になってくると楽しくて、どんどん発展していくんです。子供の興味や行動範囲が広がれば絵本もそれにくっついていくという、また違った楽しみ方があります。写真もきれいですし、新しい発見があると思います」
2歳〜3歳児にオススメの本その2
「ゾウが持つサイズのクレヨンのお話なので、本が大きいです! 子どもにとって膝の上に乗らないこのサイズの画面はものすごく大きく感じると思います。内容は、子どもが最初にクレヨンを持ったときにグルグルグチャグチャと描くようなことをゾウがやったりするものすごくダイナミックなお話なので、 親近感が湧きますし、『もっとやりたい!』というゾウの気持ちを子どもは自分に近い存在として感じるのだと思います」
4歳〜6歳児:物語を理解できる年齢に、子どもの好みも尊重して
「4歳ともなると、 今まで絵本を読み聞かせてもぜんぜん聞いてくれなかった子どもが突然聞いてくれるようになったり、境目になる年齢だと思います。今までだったらパッと開いたときにインパクトのあるおもしろい絵本が好きな子だったのに『あれ、こんなストーリーの絵本でも読んだら聞いてくれるんだ』と成長を感じられるようになると思います。子どもはお話の世界に入る快感をわかってくるんでしょうね。そんなとき、 親は『あ、この子もう聞けるんだ』っていう瞬間を見逃さず、いろんなお話を読んであげてほしいです。相変わらず今まで読んでいた小さい子向けの本も『読んで』と持ってくると思うんですけど、そうじゃないものも楽しめるようになっていると思うので、様子を見て選んであげたらいいなと思います。好みも出てくると思いますし、一緒におもしろい絵本を探せると思います」
4歳〜6歳児にオススメの本その1
「バス停でバスを待っている男の人の前を、トラックや馬に乗った人、パレードなどがどんどん通り過ぎて行くんですけど、男の人はずーっとバスを待っているだけなんです。結局、この男の人はバスに乗らないで自分で歩く選択をして、『え、何にも起こらない!?』『バスに乗らなかった!』みたいな終わり方なんですけど(笑)、子どもはけっこう好きなんです。 大人が読むと哲学的な感じがしたりと、けっこう深いんですね。子どもは子どもなりの楽しみ方、大人は大人なりの楽しみ方ができると思います」
4歳〜6歳児にオススメの本その2
「小さなあらいぐまの坊やがお母さんに『夜が見たい』と言うけど、お母さんはただただ『満月の夜まで待ちなさい』と答えるだけなんですね。そういうやりとりをしているうちに坊やはどんどん成長していく、その過程が絵と親子の会話から感じ取れるんです。お母さんは、満月まで待てば体が育って、人間でいったら4〜5歳くらいまで成長するのを知っているので、それまでは危ないからダメっていうことなんです。『ちょっと待ってて』は、子どもはお母さんからすごく言われている言葉だと思うですけど、その言葉には意味があって、『待つことによって素敵な変化が待っている』ということが分かるんです」
大人はどうしても『最初からページを追って読んでいかないと』という先入観に縛られがちですが、子どもにとって絵本はあくまでもあそびの延長。絵本をコミュニケーションツールのひとつとして捉えて、自分たちだけのオリジナルの読み方を編み出してもいいかもしれませんね。
子どもひとりひとりのペースと気持ちに向き合って、親子で一緒に絵本の世界を楽しんでいきましょう!