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子供の腕・肘が動かない 肘内障・捻挫・骨折の症状&原因を紹介

2018年10月18日飯田友美

子どもが自分で歩けるようになり行動範囲が広がると、思わぬケガが増えますよね。そんな中でわりと多いのが腕のケガ。ちょっとしたことで動かせなくなるケースもあり、はっきりした原因がわかりづらいときもあります。

そこで今回は、「とびた整形外科・内科クリニック」院長の飛田健治さんに、子どもの腕や肘周りのケガについて聞きました。うまく症状を伝えることができない子どものためにも、どんなケガがあるのか知っておくと安心です。

腕のケガの主な原因は2つ! 「引っ張る」と「転ぶ」

子どもの腕のケガの原因には、どんなものがあるのでしょうか。

「腕のケガの原因は主に、『引っ張る』『転ぶ』の2つです」

引っ張ったときに起こるケガの約9割は、肘が脱臼してしまう肘内障(ちゅうないしょう)。一方で、転んだり、高いところから落ちたりして手や腕をついてしまったときのケガは、捻挫や打撲、骨折です

「肘内障」とは?

「肘が抜ける」という言い方もする肘内障ですが、なぜ脱臼と呼ばないのでしょうか。

「内障とは、ぼんやりしているといった意味合いがあります。英語では『nursemaid’s elbow』ともいい、子守をしているときに原因もわからず急に痛がって泣き出すということから、確定診断する前には『肘内障』という言葉を使っています」

では肘内障は、どういった行動で起こるのでしょうか。

子どもが腕の力を抜いている状態で、腕を強く引っ張ると起こります。子どもの肘の靭帯や骨はまだ発達の途中ですから、脱臼しやすいのです

また、親が見ていないところで子どもが何かにぶら下がったときに肘内障になることもありますね。この場合、子ども自身はどこが痛いのかよくわからず、肘ではなく手首あたりが痛いと言うこともあります

肘内障になると、腕がだらりと下がったままになり、自分では動かせなくなります。肘が曲がらなくなる違和感から泣き出したり、腕のどこかが痛いと訴えたりする子どもが多いそうです。

親は不安になりますが、病院に行けばすぐに元に戻せるので心配はないそうです。他の原因もあるため、自己判断で親が何とかしようとするのは危険なので避けることをおすすめします。

転んだことで起こる「捻挫」「打撲」「骨折」

転んで手や腕をついたときは、捻挫や打撲がほとんどだと思いますが、骨折や脱臼をしている場合は見てわかるものでしょうか。

「親がケガをした瞬間を見ていない場合、ぶら下がっていたのか、転んだのか、それともどこかにぶつけたのかなど、原因もはっきりしないですよね。捻挫や打撲で済むことも多いですが、かなり痛がる場合は、肘内障かもしれないし、骨折しているかもしれない。それを見極めるためにも、早めに病院を受診するのが安心です」

ちなみに、腕が腫れあがっている、おかしな方向に曲がっているなど、見るからに異常がある場合はもちろんですが、子どもの様子が少しでもおかしいと感じたら、すぐに整形外科を受診するのがいいとのことです。

肘内障はクセになるって本当?

一度でも肘内障を経験すると、癖になって何度も繰り返すと聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか。

「確かに、無理な引っ張り方を何度も続けると抜けやすくなりますし、再発の可能性も多少は高くなります」

「ですが、肘内障は小さな子どもだけに起こるもので、成長とともに肘が抜けることはなくなりますので安心してください」

小学校低学年くらいになれば、肘の靭帯や骨が成長するので抜けることはなくなるそうです。とはいえ、思いっきり引っ張るなど無理な負担をかけないよう気をつけてください。


腕周りのケガの症状や治療方法は?

子どもに起きやすい腕周りのケガは、大きくわけると以下の通りです。それぞれの原因や症状などを紹介します。

肘内障

原因:子どもが力を抜いている状態のときに、腕を強く引っ張る
なりやすい年齢:生後〜小学校低学年くらい
主な症状:だらりと腕が下がり動かさなくなる
治療法:(病院での)整復
処置後の注意点:特になし

捻挫・打撲

原因:転んで手をつく、ぶつけるなど
なりやすい年齢:自分で歩けるようになってから
主な症状:痛みを訴える
治療法:アイシング・固定など
処置後の注意点:特になし

骨折

原因:転んだときや高いところから落ちたときに、手や腕をついてしまう
なりやすい年齢:自分で歩けるようになってから
主な症状:腫れる、曲がる
治療法:固定治療、ギプス治療、手術など
処置後の注意点:医療機関からの注意を守って生活する

腕のケガは見た目ではわからないものが多いので、自己判断はせず、すみやかに専門医を受診しましょう。

子どもの腕や肘周りのケガは完治させないと怖い!

子どものころの腕周りのケガは、しっかりと治療しないと障害が残ることもあるそうです。

「大人の骨と子どもの骨では、カルシウムやリン、亜鉛などといったミネラルの成分が違います。わかりやすく例えると、大人の骨は瀬戸物で子どもの骨はプラスチックといった感じでしょうか」

プラスチックのような子どもの骨は、折れずに曲がることがあります。曲がっただけでも骨折ですから、適切な治療が必要です。専門機関でないと見落とされてしまう場合がありますので、適切な病院で診察してもらうことをおすすめします」

そして、子どもの骨は大人の骨と違って成長が早いとのこと。

骨折に気づかずに放置してしまうと、子どもの骨は曲がったままで、あっという間に成長してしまいます。少しでもおかしいなと思ったら、すぐに整形外科を受診してください

曲がったまま成長してしまうと、手術が必要だそうです。ひどい場合は、その場で即手術ということも。そうならないためにも、いつもと違うところがあればすぐ病院へ行きましょう。

「また、肘まわりのケガの治療が適切に行われていないと、肘のところから内側に曲がってしまう『内反肘』や、反対に外側に曲がる『外反肘』などの障害が残る場合があるので注意が必要です」

「幼少期に肘の変形を残すと、見た目以外にも、水をすくって顔が洗えないなどの日常生活に不自由が生じますし、経年的に肘の軟骨を痛め変形性肘関節症を併発するリスクが高くなります」

子どもの腕のケガには複雑なものが多く、発見が難しい症状もあるそうです。ですが、成長が早い子どもの骨は、早期発見と適切な治療を行うことが大切です。痛がっていないから、腫れていないから、普通に動かしているから、「大丈夫だろう」という判断は禁物とのことです。

肘内障や捻挫だったとしても、それ以外のケガをしている場合もあります。早めの受診でしっかりと治療しておきたいものです。いざという時のために、日頃から専門医を探しておくと安心ですね。

お話を聞いたのは…

  • 飛田健治さん

    とびた整形外科クリニック院長。1999年東京医科大学卒業。日本でも有数の外傷病院を遍歴し、整形外科医として数千例におよぶ骨延長・変形矯正や難治骨折の治療を行う。うち、東大病院では小児先天性骨系統疾患や低身長を来す小児疾患の診療を行い、小児科と整形外科、ふたつの領域を横断する医療を展開。現職では小児の身長相談や治療をはじめ、数少ない身長の専門医として、日本の医療の重責を担っている。

  • とびた整形外科クリニック
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ライター紹介

飯田友美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライターに。好きなものは猫とパンダ、趣味はライブに行くこと、お芝居を観ること。杉並区在住。2児の母。

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