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成長痛、身長が伸びない…子どもの成長期に気になる悩みを解決!

掲載日: 2016年8月29日更新日: 2017年5月16日平野 友紀子

子どもの身長が伸びることは、親にとっても成長を肌で感じてうれしいことですが、成長痛や「運動をし過ぎると背が伸びないって本当?」など、成長期ならではのお悩みも…。そこで、整形外科医の飛田健治先生にお話を伺いました。

お悩みその1:思春期に多い「成長痛」原因&対処法は?

身長がぐんと伸びる時期によくあるトラブルといえば「成長痛」。日中は元気よく遊んでいるのに、就寝中などにひざやふくらはぎ、太もも、足首などが急激に痛くなるというもの。歩けないほどの痛みを訴えるものの数十分で痛みが治まることと、痛む場所が日によって変わることなどが特徴です。

しかし、じつは成長痛に関して医学的にはっきりとした定義はないそう。痛がる部位が腫れたり熱を持っているわけでもなく、思い当たるような原因がない場合に「成長痛」とされることが多いようです。

成長痛の原因は?

そもそも成長痛はなぜ起きるのでしょうか?

成長痛の原因は、筋肉と骨のバランスが崩れること」と飛田先生。

「女の子は10歳位、男の子は11歳位から、骨が成長してぐんと伸びます。その際、骨の成長に筋肉の成長が追いつきません。骨は伸びるのに筋肉は伸びないため、体が硬くなり、骨が圧迫されて痛くなるという症状が起きます。そのため、成長痛は思春期に多く、骨の成長が終わればいつの間にかなくなります。」

こうした成長過程で現れるもののほかに、精神的な不安から3歳頃でも成長痛を感じるという説もありますが、飛田先生いわく「体が柔らかい幼児に成長痛が発生するとは考えられない」とのこと。成長痛は医学的な定義がないため、諸説があるようです。


成長痛の対処法

それでは、成長痛が起きたときにどのように対処すれば良いのでしょう。

骨の成長に合わせて、筋肉を伸ばしてあげなければいけません。筋肉は自然と伸びるわけではないので、痛い場所に合せてストレッチすることが重要です。」

そこで、飛田先生に聞いたおすすめのストレッチ方法を紹介します。

  • 太もも … 伸ばしたい側の足を持ち、膝をしっかりと曲げるようにして、太ももの前をしっかりと伸ばす
  • ふくらはぎ …伸ばしたい側の足を1歩後ろに引き、膝を伸ばし、ゆっくりかかとを床につけてふくらはぎを後ろに伸ばす
  • かかと … 伸ばしたい側の足を1歩後ろに引き、前方の足に体重をかけるようにしてアキレス腱を伸ばす

また、成長痛を感じたときに、そのまま放っておくと、体が硬くなってしまうのだとか。

「最近は体が硬い子どもが増えていて、前屈をしたときに床に手がつかない子どもも多いです。体は大きくなるのに筋肉は伸びないので、そのまま放ったらかしにしておくと、どんどん体が硬くなっていきます。そうすると、将来ケガをしやすい体になってしまいます。」

体が硬いと足首のねんざや太ももの肉離れ、腰痛を引き起こすスポーツ性腰痛症やすべり症など、ケガが起こりやすくなります。毎日少しずつでも良いのでストレッチを続けましょう。

成長痛に隠れた骨の病気に注意!

成長痛は日中は問題なく過ごせることが多く、痛みも時間が経つと治まるため、病院を受診しないで大丈夫だと思っている方も多いようですが、「成長痛だと思っていたら、骨の病気が隠れていることがあるので注意が必要」と飛田先生。

類骨骨腫(るいこつこつしゅ)という病気があります。痛い箇所の骨が部分的にふくらみ、その中心に穴があくのが特徴です。夜になると骨がすごく痛くなることがあるけれど、朝になるとケロッと治ってしまいます。成長痛との違いは、痛む箇所がいつも一緒だということ。ただし、違いが分かりにくいため、必ず自己判断をせず、一度は病院に行った方が良いでしょう。」

子どもが成長痛と思しき痛みを訴えたら、まずは整形外科にかかるのが重要。骨の状態をX線などで確認でき、成長痛であればストレッチなどの指導をしてくれるところが多いそう。

成長痛はいずれ治るからと安易に考えるのではなく、病院で相談し、ストレッチをするなど、きちんと対処をしたいですね。


お悩みその2:運動をし過ぎると背が伸びないって本当?

周りの子に比べて身長の伸びが遅いと、親としては気になるところ。よく「運動をし過ぎると筋肉がついて背が伸びない」と言われることがありますが、これは本当なのでしょうか?

運動しすぎて身長が伸びないというのは、まったくの嘘」と飛田先生。

骨と筋肉は成長するタイミングが異なり、骨の成長が終わったあとに、筋肉の成長が始まります。骨の方が先に成長するので、筋肉がついて身長が伸びないということはありません。むしろ逆で、背が伸びる=骨が成長しているときはどんなに運動をしてもそんなに筋肉はつきません。」

「野球界で活躍しているダルビッシュ有選手や田中将大選手、大谷翔平選手など、高校時代は棒のように細く、プロ野球に入ってから筋肉がぐんと付きました。それは、高校生のときはどんなに栄養を摂り、鍛えても、骨にばかり栄養がいくので筋肉がつかなかったから。骨の成長が終わる年齢を過ぎ、ようやく筋肉に栄養がいくようになったのです。」

骨の成長には成長ホルモンの働きが大きく影響しますが、運動は成長ホルモンを分泌させる効果があるため、身長の伸びにつながるのだとか。身長が伸びないかも?と心配することなく、子どもの好きな運動をさせてあげたいですね。


ここで紹介した以外にも、「同年代の友達に比べてうちの子は身長が低いかも?」など、身長に関するお悩みはつきないものですが、心配なことがあれば、専門医に早めに相談して、疑問をクリアにするように心がけましょう。

お話を聞いたのは…

  • 飛田健治さん

    とびた整形外科クリニック院長。1999年東京医科大学卒業。日本でも有数の外傷病院を遍歴し、整形外科医として数千例におよぶ骨延長・変形矯正や難治骨折の治療を行う。うち、東大病院では小児先天性骨系統疾患や低身長を来す小児疾患の診療を行い、小児科と整形外科、ふたつの領域を横断する医療を展開。現職では小児の身長相談や治療をはじめ、数少ない身長の専門医として、日本の医療の重責を担っている。

  • とびた整形外科クリニック
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ライター紹介

平野 友紀子

ライター/エディター。温泉ソムリエの資格を持つ、大の旅好き、温泉好き。結婚をきっかけに、オーガニックアドバイザーを取得。0歳と2歳の年子育児をしながら、旅、ライフスタイル、オーガニック、女性の生き方、子育てをテーマに活動中。

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