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「小児てんかん」はどんな子どもがなる? 原因&症状&対処法も

けいれんを起こして突然倒れるなど、前ぶれもなく現れる「てんかん」発作。子どもの時期に多い「小児てんかん」もあり、親としては非常に心配です。

では、「小児てんかん」とは、一体どのような病気なのでしょうか? 順天堂医院てんかんセンターのセンター長を務める菅野秀宣(すがの ひでのり)先生に、小児てんかんの基礎知識や対処法について聞きました。

脳の異常活動が起こす「てんかん」


「小児てんかん」とは、どのようなものなのでしょうか?

「『てんかん』とは、脳の神経細胞の一部、もしくは全体が異常に活動してしまうことにより、発作的に生じる神経症状をきたす病気です。手足を突っ張って硬直したり、瞬間的に意識がなくなるなど、症状の出方はさまざまです

「『てんかん』を有し、治療が必要な患者さんの数は人口の約0.5〜1.0%存在するといわれています。また、全体をみわたせばその発症は生後〜3歳までの子どもと高齢者に多く見られますが、てんかん発作ごとに発症しやすい年齢が異なっているので『てんかん発作が多い時期は何歳』とは一概には言えません

「そうした上で、小児期のてんかんを総称して『小児てんかん』と呼んでいます。『小児てんかん』という特別なてんかんが存在するわけではありません」

てんかんは遺伝する病気なのでしょうか?

てんかんは基本的に遺伝しません。その一部においてのみ、発作を起こしやすい素因が家族内で共通することはありますが、その素因を持つからといって必ずしもてんかんになるとは限りません」

てんかんは誰にでも可能性はあるもので、それは大人になってからも同じこと。そう特別なものではないことは覚えておきたいですね。

小児期に多いてんかん発作の症状は?

小児期のてんかん発作ではどのような症状が見られるのでしょう?

「特に多い症状には以下のものがあります」

強直間代(きょうちょくかんだい)発作

突然意識を失ったまま口を食いしばって呼吸が止まり、手足が突っ張った状態で硬直状態が数秒〜数十秒続く『強直発作』。手足を曲げ伸ばしするようなけいれん状態が数秒〜1分ほど続く『間代発作』。この2つが続く発作を『強直間大発作』と言います。おおまかには小学生〜中学生あたりに起きやすい、てんかん発作です」

ミオクロニー発作

全身、もしくは頭や手足などの筋肉の一部がピクっと強く収縮する発作です。瞬間的なもののため、周りの人や本人も自覚していない場合も少なくありませんが、連続しておきる場合は転倒に繋がることもあります。小学校高学年から中学生あたりに見られ、とくに朝方に発症することが多いです。このため、朝ごはんのときに決まって箸や茶碗を落とすといった行動を見落とさないようにしましょう」

欠神(けっしん)発作

数秒から数十秒の間、意識がなくなり動きが止まる発作です。特に小学校高学年あたりによくみられます。けいれんを起こしたり、いきなり倒れたりすることはなく、過呼吸やぜんそくの発作を起こした際や、吹奏楽器の演奏時に出ることが多いです」

「てんかんの発作」というと、けいれんや硬直といったものをイメージしがちですが、実際にはミオクロニー発作や、欠伸発作のような目立ちにくい発作もあり、見逃さないよう注意が必要です」

では、てんかんに間違えられやすい病気にはどのようなものがありますか?

子どもでよく間違えられるのが『熱性けいれん』です。熱に対してまだ未熟な状態である脳の特性によるもので、感染症などで体温が急に上がると発熱によりけいれん発作を起こすことがあります」

「てんかんによるけいれんは何度も繰り返すものですが、熱性けいれんはその名の通り、熱が出た時に限られます。度重なる熱性けいれんは、てんかん症状の現れである場合や今後てんかんに進展することもありますので、そこは留意していただきたいところです」

ほかに間違えられやすいものに睡眠中に突然興奮して起き上がる『夜驚症』があります。こちらも脳の未熟性によるものやストレスなどの精神的な要素が原因として考えられています」

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「なお、てんかんの特徴の一つが、『繰り返し現れること』にあります。意識の喪失やけいれんなどの発作があっても、一回のみの発作では、てんかんとは診断されないことが多いでしょう」


子どものてんかん発作とその対処法は?

てんかん発作によるけいれんが起きた場合、どう対処すればいいでしょうか?

「てんかん発作は1分ほどで治まることがほとんど。そのため、倒れたりした場合などに起きる二次的な問題を防止することが重要になります」

「そのため、けいれんなどの発作が起きたら、まずは安全な場所で寝た姿勢を取らせてください。吐いた場合に吐しゃ物が喉に詰まるのを防ぐため、顔を横向きにして、吐いたものが流れ出るようにしてあげてください

「過去には、舌を噛まないように口に物を入れるといった処置が推奨されていたこともありますが、救助者が噛まれて危ないうえ、発作を起こしている本人にとっても呼吸を妨げられることになるので、現在では行っていません」

適切な姿勢をとらせた後、もし余裕があれば、スマホなどでその時の状況を動画撮影しておくと、後の診断や治療の参考になるとのこと。いずれにしても落ち着いた行動をとることが大切ですね。

「てんかんが収まった後は、まずは行きつけの小児科に相談しましょう。必要があれば、症状に適した専門的な病院を案内してもらえます」

てんかんは治る病気なの?

最後に、てんかんは治る病気なのでしょうか?

医学的に答えると『完治する』とは言えないのですが、投薬治療のみで完全にコントロールされた『寛解(かんかい)』という状態に持っていけることは決して珍しくありません。投薬で寛解できなかった場合にも、外科手術で十分その可能性は残っています」

「また、『てんかん患者は鬱(うつ)や精神疾患を伴っている』と思われている方が多くいますが、実際にはそんなことはありません。現代では必ずしも不治の病のような悲観的なもの、危険な病気と捉える必要はないのです」

日本では一時期、欧米で認められていた治療薬が使えなかったこともあり、治療の難しい病気と思われていたものの、今では改善され治療が望める状態にあるとのこと。医療は進んでいるのに誤解だけを残ったままにしないように、「てんかん」を正しく理解する必要がありますね。

お話を聞いたのは…

  • 菅野 秀宣先生

    順天堂大学医学部准教授。順天堂大学医学部附属順天堂医院てんかんセンターのセンター長を務め、てんかん、てんかん外科の治療および研究を行う。

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ライター紹介

宇都宮 薫

1980年生まれ。フリーランスの編集者・ライターとして活動中。4歳、1歳の娘と同業者の夫との4人家族。過去にバイク雑誌編集部やライター事務所に所属し、出産を機にフリーランスへ転向。独身時代から大の旅好きで、バイクや原付に乗って日本中を巡る。子持ちとなった今は、家族揃ってのおでかけに情熱を燃やしている。

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