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「不思議の国のアリス症候群」とは? 原因・症状・対処法も紹介

世界中で愛される児童文学『不思議の国のアリス』。実はこの作品と同じ名前のついた病気があるのをご存知でしょうか。子どもにも多いという『不思議の国のアリス症候群』について、国際医療福祉大学視機能療法学科の原直人先生に話を聞きました。

ものの見え方がおかしい!?

「不思議の国のアリス症候群」は、インパクトのある名称ですが、どんな病気なのでしょうか。

脳の障害や異常にともなって起きる『変視』や『錯視』と呼ばれる見え方の異常が主な症状です。大人も発症する病気です

<具体的な症状の一例>

  • ものが大きく/小さく見える
  • 自分の身体の大きさが変わる=周囲が大きく見えたり小さく見えたりする
  • 自分の身体が変形したように見える
  • 相対的な大きさが実際のものと異なって見える
  • 風船玉のような物体が視界いっぱいに現れる
  • スマートフォン画面が歪んで見える
  • 視界がモザイク状になる …など

症状には多様性があり、ほかにもさまざまなものがあるとのこと。

「まるで『不思議の国のアリス』の一場面のような症状から、この病名がつきました。作者のルイス・キャロルも片頭痛だったといわれており、作中の描写も想像ではなく実体験そのままだと言われています」

これらの視覚異常が、片頭痛とセットとなって現れることが多い点も特徴です。

「片頭痛の前兆として、キラキラ、ギザギザした光が現れる『閃輝暗点(せんきあんてん)』という視覚異常が出る人もいます。ルイス・キャロルも片頭痛持ちでしたし、同じく片頭痛持ちだった作家の芥川龍之介も『歯車』という作品の中でこの症状と思われる描写をしています」

片頭痛は大人だけでなく、子どもにもあるのでしょうか。

「はい、あります。ただし、子どもの場合は必ず頭が痛くなるわけではないので注意が必要です。周期的に嘔吐する『周期性嘔吐』や腹部に漫然とした腹痛が現れる『腹部片頭痛』と呼ばれる症状も、小児片頭痛の特徴として知られています

「また、症状が出やすい子は、乗り物酔いがひどい、音や光に敏感など、物事に敏感な傾向がありますね。親御さんが子どものころに同じ症状を経験していることが多いのも、この病気の特徴です」


「不思議の国のアリス症候群」の原因は? 診断の流れは?

どのような原因で起こるのでしょうか?

脳の中で空間認知や運動を司っている『第五次視覚野』の異常が原因と考えられています。子どもの場合は、小児片頭痛によるケースが多いのですが、熱性けいれんや高熱、脳炎のあとに起きることも。1〜2カ月経ってから症状が現れる場合もあります。新学期など環境の変化などによる不安やストレスが影響することもあります

脳の異常と聞くととても不安になりますが、診断や治療はどのような流れで行われるのでしょうか。

「片頭痛による『不思議の国のアリス症候群』は命に関わる病気ではなく、問診を中心に診断します。手術などを用いた治療ではなく、病気を理解して受け入れ、病気とつき合っていくことが大切です」

「ただし、似たような視覚異常が現れる病気や障害として『てんかん』『広汎性発達障害』『統合失調症』『身体症状症』などがあります。これらをもともと患っていて、その視覚異常症状として『不思議の国のアリス症候群』を呈することもあります」

「これらを片頭痛による『不思議の国のアリス症候群』と誤って診断すると必要な治療が受けられません。必要に応じてMRI(核磁気共鳴画像法)や脳波の検査などを受け、片頭痛以外の病気による『不思議の国のアリス症候群』ではないことを確認する必要があります」

何科を受診したらいい? 病気と診断されたら?

受診の際は何科に行くべきでしょうか。

この病気の専門である神経内科や脳神経外科、神経眼科の医師には知られている病気ですが、一般的に認知度は低い病気です。そのため、視覚症状だからといって一般眼科に行くと診断がつかない場合もあります。小児片頭痛の場合は、小児神経科です。やはり必要に応じて「頭痛専門医」に紹介してもらいましょう

では、「不思議の国のアリス症候群」と診断された場合、どのような治療を行うのでしょうか。

「小児片頭痛であれば片頭痛そのものを防止することが大切です。『不思議の国のアリス症候群』は命に関わる病気ではないため、病気を理解して受け入れ、病気とつき合っていくことがまずは大切です」

「その上で、日常生活に気を配ることが主な治療法となります。具体的には規則正しく生活する、しっかり睡眠を取る、ストレスを避けることなどを心がけましょう」

子どもが症状を訴えたときは、どのように接したらよいのでしょうか。

『おかしいんじゃないの?』『気のせいでしょ』といった否定的な言葉や投げやりな対応はしないようにしましょう

「親に話さない子どもも多く、私も何度か診察をして、親しくなってから症状を話してもらえるケースもあります。診察の途中で『お母さんも子どものころあったんだよ』などという展開になることもあります。親は話をよく聞き、視覚異常以外の体調の変化についてもよくみることが大切です」

原先生によると、小児片頭痛からくる症状であるとわかっただけでも不安が和らぎ、症状が落ち着くこともあるそう。まずは適切な対応で、子どもを受け止めてあげたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 原直人先生

    北里大学医学部卒業後、ジョンズ・ホプキンス大学医学部神経内科学留学、神奈川歯科大学眼科教授などを経て、現在は国際医療福祉保健医療学部視機能療法学科教授。斜視や弱視、片頭痛をはじめとする神経眼科学を専門とし、同大学の病院でも診察にあたっている。

  • Medical Note
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ライター紹介

高柳涼子

雑誌編集部勤務を経てフリーランスに。ライティングと校正を中心に、ときどき編集もやる3児の母です。これまでに関わった分野は、求人、進学、ウェディング、アート、手芸、田舎暮らし、食育、仏教、料理など。

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