ダイエットや、筋肉を大きくする目的で飲む人が多いプロテイン。「大人が飲むもの」というイメージが強いですが、最近は「ジュニアプロテイン」という子供向け商品も数多く登場しています。
大人用と何が違うのか、どんな効果が期待できるのかなど、ジュニアプロテインの基礎知識について、栄養サポート企業・アストリションの盛岡良行さんに聞きました。
子供用は「カルシウム」「ビタミン」が豊富

そもそも、プロテインとはどんな食品なのでしょうか。
「プロテインは直訳すると『たんぱく質』。日本では、乳製品や大豆由来のたんぱく質を主成分とした栄養補助食品のことを指す場合がほとんどです」
「良質なたんぱく質は肉や魚、卵などにも含まれますが、プロテインの場合は、加工のしやすさの観点から、主に乳製品や大豆から取ったたんぱく質が使われています」
では、子供向けのジュニアプロテインは、大人向けと何が違うのでしょうか。
「大人用に比べて、たんぱく質がやや少ない代わりに、カルシウムやビタミンが多く入っているのが特徴です。一般的なプロテイン製品でも、ビタミンやミネラルを含むものはありますが、カルシウムが入っているものはほとんどないので、そこは大きな違いといえます」
子供用ではなぜカルシウムを豊富にしているのでしょうか。
「大人用のプロテインは、筋肉を大きくするための栄養補助が主な目的ですが、子供用は『成長期に必要な栄養素を補助すること』が主な目的です。製品として、そもそもの目的が違うのです」
具体的な効果やメリットは? 身長に影響する?

子供の成長に必要な栄養素をサポートするジュニアプロテイン。具体的には、どういった成長サポートが期待できるのでしょうか。
「期待できることは、主に骨の材料となる栄養素の補給です。身長は、骨の両端にある軟骨(骨端線)が伸びることで高くなりますが、この軟骨はコラーゲンでできています。コラーゲンはたんぱく質の一種なので、たんぱく質は『骨を伸ばす』ために必要な栄養素といえます」
「一方で、カルシウムには骨を固める役割があります。たんぱく質で伸びた軟骨にカルシウムが吸着して固くなるということを繰り返して、しっかりとした骨ができ、伸びていきます」
「さらに、カルシウムの吸収を良くするビタミンDも豊富に含まれているので、効率的に骨の成長をサポートします」
子供の骨の成長に必要な要素をまとめて摂取できるのが、ジュニアプロテインの良さなのですね。身長が伸びることにも良い影響があるのでしょうか。
「ホルモン剤のような医薬品ではないので、例えば本来170cmまでしか伸びない身長を180cmまで伸ばすといった効果はありません。身長が伸びる時期、つまり成長期の栄養補給と考えてもらえればと思います」
牛乳との違いは?
では、同じくたんぱく質とカルシウムが多く含まれる牛乳との違いはなんでしょうか。
「ジュニアプロテインはあくまで栄養補助食品です。絶対に飲んだ方が良いというものではありません。それでも、乳製品・大豆由来どちらの製品の場合も、脂肪分がとても少ないというメリットがあります」
「余計なカロリーを取らなくて済むので、体重を気にしていたり、肥満傾向の子供などには、牛乳の代わりに飲ませても良いと思います」
牛乳は動物性たんぱく質に加えて、動物性脂肪も豊富。毎日たくさん飲んでいて、体重増加が気になるのであれば、ジュニアプロテインへの切り替えを検討しても良いようです。
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では、ジュニアプロテインは何歳ごろから飲ませていいのでしょうか。
「たんぱく質やカルシウムからできている食品なので、基本的には牛乳や豆乳が飲める年齢になれば、摂取しても大丈夫です。最近は、偏食やアレルギーなどで栄養バランスが気になる子に飲ませている親もいます」
「とはいえ、小学生になるまでは、できるだけ食事でしっかり栄養を取る習慣をつけてほしいので、早くても小学生になってからで良いと思います」
「ちなみに、医薬品ではないので、メーカーの推奨年齢は特にありません。ただ、スポーツをしている子は、筋肉疲労を回復させるためにも、運動をしていない子供よりも多くのたんぱく質が必要になります。そういう意味で、スポーツで激しい運動をするようになってきたタイミングで飲ませ始めてもいいですね」
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ジュニアプロテインから大人用に切り替えるのはいつ頃が適切なのでしょうか。
「成長にカルシウムが1番必要なのは中学生の時期なので、中学生まではジュニアプロテインで良いと思います。高校生になって、ウエイトトレーニングで筋肉に負荷をかけることが増えてきたら、たんぱく質が豊富な大人用に切り替えてもいいでしょう」
骨の成長から、筋肉増強などに目的が変わってきたタイミングが、大人用に切り替える一つの目安なのですね。
選び方のポイントは「アレルギーや体質に合わせること」

たくさんの種類があるジュニアプロテイン。選ぶ際のポイントを教えてください。
「大豆由来と乳製品由来の2種類があるので、アレルギーや体質に合わせて選びましょう」
「さらに、パッケージに書かれている栄養成分もチェックしましょう。気をつけてほしい点は、『栄養成分○種類配合』などの表記です。栄養素の種類は書いているけれど、含有量は記載していない…という商品もあります」
「どれくらいの量のカルシウムやビタミンが入っているかについて、きちんと表記されている商品が安心です。その上で、取らせたい栄養素の含有量を比較して商品を選んでもらえればと思います」
栄養成分の種類だけではなく、含有量にも注目することが大事なのですね。
「また、継続して飲み続けるために味の好みも大切なポイントです。ココア味やヨーグルト味など、いろいろな風味があるので、子供の口に合うものを探してあげるといいでしょう」
どんなに栄養価が高くても、おいしくなければ続けられないもの。いろいろと試しながら、子供が無理なく続けられる味を見つけてあげれば良いのですね。