早ければ小学校3年から4年生くらいで始まる「生理(初潮)」。子供にいつ、どのように伝えればいいのか、悩む親も多いのではないでしょうか。親子とも安心して初潮を迎えられるように、伝え方や対処法を知っておきたいですよね。
そこで今回は、帝京短期大学生活科学科の学科長 宍戸洲美先生に、「子供の生理」について伝え方や対処法を聞きました。30年近くに及ぶ養護教諭の経験からくる基礎知識です。ぜひ参考にしてください。
子供の生理は何歳から?

まずは、生理がいつ頃から始まるのか教えてください。
「早い子は小学校3年生頃に初潮を迎えます。小学校では4年生のときに体の発育・発達についての授業があり、初経や精通について学習します。胸が膨らむなど体の変化が出てくるのもこの頃で、小学校6年生になると50%くらいの子が初潮を迎えます」
昔に比べると、全体的に初潮を迎える時期が早くなっていると聞きました。
「50年前に比べると2年くらい早まっています。身長が伸びるスピードなど、体の成長のピーク時が初潮を迎えるひとつの目安で、現在はそれが小学校5年生くらいのようです」
初潮を迎える時期にはどのくらい個人差があるのでしょうか。
「小学校3年生の子もいれば、高校1年生の子もいます。初潮を迎える時期はとても幅広いです。早発月経や無月経など何かの疾患に付随する場合を除き、初潮の時期が早い、または遅いなどの心配をする必要はありません」
「また、初潮を迎える時期については、親の影響を受けることがあるとも言われています。親が早く初潮を迎えていた場合、その子供も早い傾向にあるようです。いずれにしろ、子供がいつ初潮を迎えたとしても、『よかったね』と声をかけてあげることが大切です。親は慌てずに、ゆったり構えて待ちましょう」
子供が不安がらないように、初潮の時期には個人差があることをしっかりと伝えておきたいですね。また、親が生理について「もうきたの?」「まだないの?」といった発言をすると、子供にとって大きなプレッシャーになってしまいます。
子供にとって、大きな変化なので、どんなタイミングでも、一緒に体の成長を喜んであげることが大切ですね。
親は子供にどう伝えればいい?

「生理」について、親は子供にいつ、どのように伝えればいいのでしょうか。
「これは性教育と繋がります。生理が始まるころに伝えるのではなく、できるだけ小さな頃から準備しておきたいですね。まずは、プライベートゾーンを清潔にするというところから教えてあげるといいでしょう」
「子供が体の仕組みや性について質問してきたら、しっかり受け止め、隠さず正しく伝えることも大切です」
小さな子供はいろいろなことに興味があるので、思わぬ質問が飛んでくることもありますよね。
「幼児期の質問には、嘘などをつかずに本当のことを教えてあげてください。子供の疑問は案外単純なもので、例えば『どこから生まれたの?』という質問は、『お母さんから生まれたのよ』という答えがほしい場合も。大人が答えに困るようなことを聞いているわけではありません」
伝えにくいと感じたときに、いい方法はあるのでしょうか。
「伝えにくい、難しいと感じたときには、絵本を使うのがおすすめです。図書館などにも性に関する絵本がたくさん置いてあるのでぜひ活用してください。体の仕組みや性についての知識を幼児期から少しずつ学んでいれば、生理についても説明しやすくなります」
「またお母さん自身の生理痛がひどいからと言って、生理は痛い・つらいなどのマイナスイメージを植えつけるのは避けましょう。出血はするけれど怖いものではないこと、赤ちゃんを産むための大切な準備だということをしっかり教えてあげてください」
子供ができるだけ小さな頃から、体の仕組みや性について触れ、普段から意識をせずに話ができる環境にしておくとよさそうですね。
親子での準備&事前の対処法

初潮を迎える前に、親子で準備しておくと良いことはありますか?
「胸が膨らんでくるなど体の変化が見られたら、下着を一緒に買いに行くといいですね。そのタイミングで、生理用のショーツやナプキンなど、生理用品を一緒に準備しておきましょう」
「また、そろそろ初潮を迎えるかもしれないと感じたら、前もって学校の養護教諭に相談しておくといいでしょう。子供が予想よりも早く初潮を迎えて戸惑った場合も養護教諭に相談してみてください」
「もし学校で突然生理になって困ったときは、すぐに保健室にいくようにあらかじめ伝えておいてください。いざというときの対応を子供がわかっているだけで安心です」
いざというときに慌てないためにも、タイミングを見て少しずつ準備をしておくようにしましょう。
子供ならではのトラブルも?

初潮を迎えたあとは、初めての経験に戸惑う子供も多いと思います。「生理トラブル」にはどんなものがあるのでしょうか。
「子供の場合、トイレに行くたびにナプキンを取り替えることはわかっていても、学校では意外とトイレに行かないもの。ついついそのままにして、下着や洋服を汚してしまうことがあります。生理中はこまめにトイレに行き、ナプキンを取り替えるように伝えておきましょう」
また、学校にナプキンを持っていくときにも注意が必要だそう。
「ナプキンを筆箱の中に入れていた子がいて、それをうっかり落としてしまいからかわれたということがありました。学校では、ポーチなどに入れて持ち運ぶよう教えてあげてください」
生理が始まったばかりのときは、毎月規則正しく生理がくるわけではないですよね。
「生理が近づくと、おりものの色が変わります。子供の下着の汚れなどを確認して気がついたら、『そろそろ生理がくるかもしれないね』など声をかけてあげましょう」
「次にいつ生理がくるかわからないので、旅行などに出かけるときは準備をしていくと安心です。学校では準備していないときに生理になってしまったら、慌てずに保健室へ行くよう伝えておいてください」
初潮は早くて小学校3年生くらいですが、できれば幼少期から体や性について少しずつ教えてあげられるといいですね。親子とも安心して初潮を迎えられるように、事前にしっかりと準備しておきましょう。