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「熱性けいれん」の原因&症状&対処法 てんかんとの違いも紹介

小さな子供が熱を出した時に起きることがある「熱性けいれん」。意識がなくなったり、白目をむいたりするので、親としては非常に焦ってしまうことが多いです。そこで今回は、熱性けいれんに詳しい名古屋大学の夏目淳教授に、原因や症状、対処法について、お話を聞きました。

「熱性けいれん」って何? 親子で遺伝することも…

そもそも「熱性けいれん」とは、どのようなものなのでしょうか?

『熱性けいれん』とは、髄膜炎などけいれん発作を起こす原因の病気があるものを除く、生後6カ月〜5歳ごろまでの突発性発疹やインフルエンザなどの感染症による38度以上の発熱に伴って起きるけいれん発作のこと言います。年齢が高くなると自然と起きなくなることから、まだ発達していない乳幼児期の脳の未熟性がひとつの要因と考えられています」

「なお、日本人は欧米人よりも熱性けいれんの頻度が高い傾向があります。さらに、熱性けいれんの経験がある親から生まれた子供に起きやすい傾向があるようです。詳しくはまだわかっていませんが、遺伝的な素因も関係すると言われています」

親が子供の頃に熱性けいれんを経験している場合、より注意して子供の様子を見守る必要があるのですね。

熱性けいれんの主な症状は?

では、熱性けいれんの症状について教えてください。

「発熱時に『顔色が悪くなる』、『意識がなくなり、呼びかけに応答しない』、『眼球が上にいき白目になる』、『体に力が入り、ガクガクとした動きをみせる』といった症状が見られます」

体に力が入り、ガクガクとした動きがまさに『けいれん』ですが、これは全身に限らず、体の片側だけの場合など、部分的に起こる場合もあります。熱性けいれんの発作症状の多くは5分以内におさまります。また、一度なったからといって、また起こるとは限りません

けいれんがおさまった後は、早くに意識が戻る場合もありますが、眠ったようになることも多くあるのだそう。いずれにしてもけいれん自体はすぐにおさまるので落ち着いて対処したいですね。


まずは落ち着くことが大事! 対処法&ほかの病気との見分け方

子供が熱性けいれんになった場合の対処法を教えてください。

まず、倒れたり、物にぶつかってケガをしないように、安全な場所に寝かせましょう。また、けいれんによって嘔吐することもありますので、その際、吐いたもので喉がつまらないよう、顔や体を横向きにしてあげてください。また、『舌をかまないように』と口に物を入れる人もいるようですが、これは呼吸ができなくなる可能性があるのでやってはいけません」

「けいれん発作を起こすと保護者は驚いてしまいますが、慌てないことがなにより大事です。可能であれば、発作が始まった時刻や続いた時間、手足のがくがくは左右両方か片方か、目はどちらを向いていたかなど、けいれん発作中の様子を覚えておくと、後の診断の際に役立ちます。余裕があれば、動画も有効な手段です」

似ている病気や緊急を要するケースとの違いは?

もし、けいれんが止まらなかった場合はどうすればよいのでしょうか?

「もし、けいれんが5分以上続くようであれば、『けいれん重積状態』ですので、急いで病院に搬送する必要がでてきます。ほかにも、『熱性けいれん』と間違えないようにしなくてはならない病気として、髄膜炎や脳炎、急性脳症があります。意識や応答が悪い状態が長く続く場合に注意が必要で、その場合も早急に救急外来などを受診する必要があります」

似た症状を見せる病気と間違えないように、子供がけいれんしたら落ち着いてその様子をよく見ておく必要があるのですね。

けいれんの発作がみられる「てんかん」との違い

同様に「けいれん」の発作がみられる「てんかん」とは何が違うのでしょうか?

てんかんは、発熱などのきっかけがなくても発作が起きます。そのため、あらかじめ発作の予測できないので、予防には薬を定期的に、毎日飲む必要があります」

「なお、幼少期に熱性けいれんがあり、後にてんかん症状が見られるようになる患者さんもいます。一方で、熱性けいれんの患者さんの脳波に、てんかんにみられるような発作波がみられることもありますが、必ずしもてんかんになるとは限りません」

「熱性けいれん」と「てんかん」は異なるもの。ただし、その関係についてはまだ不明な点もあるそうです。


熱性けいれんの予防は可能?

親にとっては非常に怖い症状ですが、熱性けいれんは予防できるものでしょうか?

熱性けいれんを繰り返して起こしている子供では、発熱時に発作予防の坐薬を使う場合があります。熱性けいれんは熱の上がり際に起こるため、37.5度以上の熱が出ていることに気が付いたら坐薬を入れて、8時間後に2回目の坐薬を入れる2回法が日本ではよく用いられています

「一方、熱を下げる解熱薬は熱性けいれんの予防にはならないと報告されています。そのため、解熱薬は熱性けいれんの予防ではなく、あくまで熱を下げて本人を楽にしてあげるなどの目的で使うべきものです。いずれにしても、医師の指導と処方を受けていただくのが良いかと思います」

取材を通して先生が強調されていたことは、「子供のけいれん発作を目の当たりにしても、親がパニックにならないでいることの重要性」でした。熱性けいれんは、5分以上続く「けいれん重積状態」にならない限り、平癒への経過も良好で、特別な治療も必要としないそうです。

これらのことを念頭におき、いざというときも冷静な対処を心がけたいものですね。

お話を聞いたのは…

  • 夏目 淳教授

    医学博士。名古屋大学小児科、障害児(者)医療学寄附講座教授。カナダ・マギール大学モントリオール神経研究所研究員を経て、2015年から現職。日本小児神経学会の熱性けいれん診療ガイドライン策定ワーキンググループの委員長として熱性けいれん診療ガイドライン2015を作成している。

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ライター紹介

宇都宮 薫

編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、単行本(ビジネス書・実用書)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは、出産、育児、健康、おでかけ、芸能、グルメなど。まち歩きとバイクが好き。

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