保育園に入園するために源泉徴収票を取り寄せたり、児童手当のために所得証明が必要だったり、子供に関わる手続きは親の証明書手配が必要なことが多いですよね。2015年10月から番号通知が始まる「マイナンバー」で、これらの手続きがちょっと楽になるかもしれません。マイナンバー制度で変わる暮らしについて、1級ファイナンシャルプランナーの柳澤美由紀さんにお話を伺いました。
マイナンバー制度の正式名称は「社会保障・税番号制度」。国民一人一人に12桁のマイナンバー(個人番号)が配布される制度です。
マイナンバーは子どもや赤ちゃんにも配布されるんでしょうか?
「マイナンバーは住民票がある国民全員に配布されるので、赤ちゃんにもマイナンバーが通知されます。通知されたマイナンバーは原則として生涯変わりません。2015年10月に住民票に登録されている住所にマイナンバーが記載された『通知カード』が送付され、実際に運用が開始されるのは2016年1月です。」
4人家族なら、4人分のマイナンバーが通知されるんですね。そもそも、どうしてマイナンバーが生まれたのでしょう?
「日本では各行政機関で健康保険被保険者番号、基礎年金番号など、様々な番号が個別につけられています。これらを結びつける手段は今までありませんでした。マイナンバーがそれぞれの番号と紐付けば、マイナンバー1つで複数の行政機関の手続きができるようになります。ただ、マイナンバーはあくまで結びつけを行うだけであって、各行政機関の番号が無くなるわけではありません。」
マイナンバーが言わば「共通語」になって、これまでバラバラだった手続き同士をつなげるイメージなんですね。
また、希望者にはICチップが入った「個人番号カード」が交付されます。免許証のように身分証明として使えるカードで、将来は図書館の利用証や印鑑証明書などに代わって、自治体のサービスを1つのカードで利用できるようになるとか。それぞれの機関にまたがる情報を便利に使えるようになるというわけです。
マイナンバーの登場によって、行政機関での手続きが簡略化できるということですが、子どもがいる家庭ではどんな変化があるのでしょう?
「保育園の入所手続きや児童手当などの申請も、マイナンバーがあれば書類を揃える手間が大幅に軽減されます。」
「例えば、児童手当の手続きは6月ですが、これまでは同年1月時点と6月時点で住所が異なる場合、1月に住んでいた自治体から所得証明を取り寄せる必要がありました。しかし、今後マイナンバー制度がスタートすれば、現住所の自治体から以前住んでいた自治体へ、マイナンバーを使って所得額を問い合わせてもらえます。申請する側は現住所の自治体にのみ行けばよいので、申請の手間が大幅に省けることになります。」
また、国や地方自治体だけでなく、民間企業もマイナンバーを使うようになります。
「民間企業が個人に代わってマイナンバーを使った手続きを行う場合もあります。例えば、保険会社に保険金等を請求するときにマイナンバーを使います。個人年金の年金受け取りを開始するときも、今は役所で生存証明書を入手しなければいけませんが、マイナンバー導入後はそれが不要になりますよ。そのほか、身近なところでは、勤め先での年末調整にもマイナンバーを利用するようになります。」
パパママにとってはこうした「手続きが楽になる」というメリットに加え、「無駄な外出を避けられる」という利点もあるのだとか。
「2017年1月には『マイナポータル』の運用が始まります。これはマイナンバーを使ってどんな申請がされたのか、履歴をネット上で確認できるシステムです。行政からの自分に関するお知らせを受け取ることもできます。請求漏れや不正な手続きなどの確認が家からできるようになれば、問い合わせなどで無駄な外出をしなくて済むようになります。」
子供を連れて問い合わせや履歴確認のためだけに窓口をいくつも回るのはツラいですものね…。個人の手続きも行政の作業も、マイナンバーによって軽減されると言えそうです。
「戸籍の手続きやパスポート申請、自動車の登録などの手続きでの利用が検討されています。また、医療分野で利用されるようになれば、通院や投薬の履歴から効率的な治療ができると考えられています。ただ、病歴などはプライバシーにも関わる部分なので、どこまで対応するかは十分に協議がされるようです。」
こうした手続きは、申請に様々な書類手配が必要だったり、各機関での情報共有がなく煩わしさを感じることもありましたが、今後様々な情報がマイナンバーによって紐付けられることで、私たちの暮らしもより快適になるといいですね。
2015年5月には日本年金機構から個人情報が流出したニュースもありました。マイナンバーも大事な個人情報です。セキュリティ対策はどうなっているのでしょうか。
「各行政機関の情報がマイナンバーによって一カ所に集められるわけではありません。年金の情報は年金事務所、税の情報は税務署というように、情報は分散して管理されています。行政機関同士のやりとりの際も、マイナンバーを取り扱う担当が間に入るなど、極力マイナンバーに触れる人が少なくなるようになっています。」
情報を一カ所で管理するわけではないので、マイナンバーが漏れる=全ての個人情報が漏れる、というわけではありません。
また、「特定個人情報保護委員会」という第三者機関が、マイナンバーが適切に管理されているか監視・監督を行います。不正にマイナンバーを使用した場合の処罰など、罰則も強化されています。セキュリティの取り組みもきちんとされているんですね。
行政機関からの情報漏洩のリスクより、むしろ個人が気をつけないといけないのは「詐欺」や「なりすまし」だとか。
「こうした新しい制度が始まると、悪用する犯罪が必ず出てきます。電話でマイナンバーを尋ねたり、保険や税金と関係ない手続きでマイナンバーを求められたりしたら、絶対に教えないようにしましょう。怪しいと思ったらマイナンバー制度のコールセンター(0570-20-0178)に問合せてください。マイナンバーは原則として生涯変わりませんが、不正に使われた場合は変更することも可能です。」
自分のマイナンバーだけでなく、子供のマイナンバーも気をつけて管理しないといけませんね。いよいよ2015年10月から番号通知が始まりますが、マイナンバーはむやみに他人に教えないようにし、個人番号カードは大切に保管するようにしましょう。
「マイナンバー制度」って何?

マイナンバーは子どもや赤ちゃんにも配布されるんでしょうか?
「マイナンバーは住民票がある国民全員に配布されるので、赤ちゃんにもマイナンバーが通知されます。通知されたマイナンバーは原則として生涯変わりません。2015年10月に住民票に登録されている住所にマイナンバーが記載された『通知カード』が送付され、実際に運用が開始されるのは2016年1月です。」
4人家族なら、4人分のマイナンバーが通知されるんですね。そもそも、どうしてマイナンバーが生まれたのでしょう?
「日本では各行政機関で健康保険被保険者番号、基礎年金番号など、様々な番号が個別につけられています。これらを結びつける手段は今までありませんでした。マイナンバーがそれぞれの番号と紐付けば、マイナンバー1つで複数の行政機関の手続きができるようになります。ただ、マイナンバーはあくまで結びつけを行うだけであって、各行政機関の番号が無くなるわけではありません。」
マイナンバーが言わば「共通語」になって、これまでバラバラだった手続き同士をつなげるイメージなんですね。
また、希望者にはICチップが入った「個人番号カード」が交付されます。免許証のように身分証明として使えるカードで、将来は図書館の利用証や印鑑証明書などに代わって、自治体のサービスを1つのカードで利用できるようになるとか。それぞれの機関にまたがる情報を便利に使えるようになるというわけです。
マイナンバーで変わる手続き

「保育園の入所手続きや児童手当などの申請も、マイナンバーがあれば書類を揃える手間が大幅に軽減されます。」
「例えば、児童手当の手続きは6月ですが、これまでは同年1月時点と6月時点で住所が異なる場合、1月に住んでいた自治体から所得証明を取り寄せる必要がありました。しかし、今後マイナンバー制度がスタートすれば、現住所の自治体から以前住んでいた自治体へ、マイナンバーを使って所得額を問い合わせてもらえます。申請する側は現住所の自治体にのみ行けばよいので、申請の手間が大幅に省けることになります。」
また、国や地方自治体だけでなく、民間企業もマイナンバーを使うようになります。
「民間企業が個人に代わってマイナンバーを使った手続きを行う場合もあります。例えば、保険会社に保険金等を請求するときにマイナンバーを使います。個人年金の年金受け取りを開始するときも、今は役所で生存証明書を入手しなければいけませんが、マイナンバー導入後はそれが不要になりますよ。そのほか、身近なところでは、勤め先での年末調整にもマイナンバーを利用するようになります。」
パパママにとってはこうした「手続きが楽になる」というメリットに加え、「無駄な外出を避けられる」という利点もあるのだとか。
「2017年1月には『マイナポータル』の運用が始まります。これはマイナンバーを使ってどんな申請がされたのか、履歴をネット上で確認できるシステムです。行政からの自分に関するお知らせを受け取ることもできます。請求漏れや不正な手続きなどの確認が家からできるようになれば、問い合わせなどで無駄な外出をしなくて済むようになります。」
子供を連れて問い合わせや履歴確認のためだけに窓口をいくつも回るのはツラいですものね…。個人の手続きも行政の作業も、マイナンバーによって軽減されると言えそうです。
まずは3分野で利用開始。将来的には様々な分野へ拡大
マイナンバー制度は2016年1月の運用開始時点では社会保障・税・災害対策の分野に限定して使われますが、将来的にはそれ以外の分野でも幅広く使うことが検討されているのだとか。「戸籍の手続きやパスポート申請、自動車の登録などの手続きでの利用が検討されています。また、医療分野で利用されるようになれば、通院や投薬の履歴から効率的な治療ができると考えられています。ただ、病歴などはプライバシーにも関わる部分なので、どこまで対応するかは十分に協議がされるようです。」
こうした手続きは、申請に様々な書類手配が必要だったり、各機関での情報共有がなく煩わしさを感じることもありましたが、今後様々な情報がマイナンバーによって紐付けられることで、私たちの暮らしもより快適になるといいですね。
マイナンバーのセキュリティ対策は?

「各行政機関の情報がマイナンバーによって一カ所に集められるわけではありません。年金の情報は年金事務所、税の情報は税務署というように、情報は分散して管理されています。行政機関同士のやりとりの際も、マイナンバーを取り扱う担当が間に入るなど、極力マイナンバーに触れる人が少なくなるようになっています。」
情報を一カ所で管理するわけではないので、マイナンバーが漏れる=全ての個人情報が漏れる、というわけではありません。
また、「特定個人情報保護委員会」という第三者機関が、マイナンバーが適切に管理されているか監視・監督を行います。不正にマイナンバーを使用した場合の処罰など、罰則も強化されています。セキュリティの取り組みもきちんとされているんですね。
行政機関からの情報漏洩のリスクより、むしろ個人が気をつけないといけないのは「詐欺」や「なりすまし」だとか。
「こうした新しい制度が始まると、悪用する犯罪が必ず出てきます。電話でマイナンバーを尋ねたり、保険や税金と関係ない手続きでマイナンバーを求められたりしたら、絶対に教えないようにしましょう。怪しいと思ったらマイナンバー制度のコールセンター(0570-20-0178)に問合せてください。マイナンバーは原則として生涯変わりませんが、不正に使われた場合は変更することも可能です。」
自分のマイナンバーだけでなく、子供のマイナンバーも気をつけて管理しないといけませんね。いよいよ2015年10月から番号通知が始まりますが、マイナンバーはむやみに他人に教えないようにし、個人番号カードは大切に保管するようにしましょう。