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睡眠の質が子どもの脳に影響!?理想の就寝時間と睡眠時間って?

早寝早起きというけれど、何時までに寝て何時間寝るのがベスト? 子どもが朝すっきり起きるために親ができることは? 気になる子どもの睡眠にまつわる疑問を、睡眠を研究テーマにされている富山大学人間発達科学部長の神川康子教授にお聞きしました。

30年で40分も減少!年々減っている子どもの睡眠時間

まず、理想的な就寝時間と睡眠時間を、神川先生に伺いました。

子どもに必要な1日の睡眠時間とは?

下記の表は、全米睡眠財団(National Sleep Foundation in USA)が発表した、年齢別に必要な睡眠時間です。

【必要と考えられている人間の年齢別の睡眠時間】

(National Sleep Foundation in USA)

13歳までの学童期でも9時間以上の睡眠が必要です。「え?そんなに?」と思われた方も多いのではないでしょうか。

「文部科学省の『データから見る日本の教育』では、小学生の睡眠時間は、1970年の平均が9時間23分であったのに比べ、2000年では8時間43分。30年間で40分も短くなっています。日本の子どもの睡眠時間は先進国の中でもかなり低い水準です」と神川先生。

日本では、成長に必要とされる9時間の睡眠が取れていない小学生がかなり多いようです。


睡眠不足が子どもの集中力と記憶力の低下に影響

また、睡眠時間が短いことに加えて、就寝時間が遅いことも問題です。0歳〜4歳で10時以降に就寝する子が欧米ではおおよそ15〜20%台なのに対して、日本では47%なのだそう。

就寝時間が遅くなる理由として、日本人の勤勉さがあげられるのだそうです。

「勤勉な日本人は残業や深夜労働を美徳とする価値観を持っています。これが子どもたちの睡眠にも大きな影響を及ぼしていると考えられます。例えば、勉強するなら夜更かししてもよい、というような考え方です。」

しかし睡眠不足の影響を最も受けるのは、脳の前頭連合野と頭頂連合野、つまり集中や記憶、感情のコントロールを司る部分です。ある研究では、健康な子ども39名の協力を得て、1週間、睡眠時間を6.5時間にした結果、成績低下、注意力維持困難など明らかな変化がみられたそうです。」

寝る時間帯も重要!子どもにとって理想的な就寝時刻は?

1週間程度の寝不足ならすぐに元に戻りますが、寝不足が常態化すると取り返しがつかなくなる可能性もあるそう。神川先生は「就寝時間とテスト平均点」に関する2006年の調査結果を教えてくれました。

「テストの平均点が95点以上だった子どもの割合について、調査対象の全277人中、9時前に寝る子ども(27人)は41%、9時台(92人)が28%、10時台(117人)が22%、11時台(36人)が14%と、就寝時間が遅くなるにつれどんどんと少なくなっていき、12時以降(5人)では、ついに0%になります。」

なるほど、眠さをこらえて夜遅くまで勉強するのは逆効果ということなんですね。

「子どもの睡眠は睡眠時間の長さだけでなく、早寝による有効な時間帯の確保が必要です。同じ10時間眠るにしても夜9時から翌朝7時の10時間と、夜中0時から翌朝10時までの10時間ではまったく睡眠の質が異なります。よく言われるように夜10時から夜中の2時までは眠りのゴールデンタイム。深い眠りが集中し、成長ホルモンが多く分泌する時間帯です。」

以上のお話を総合すると、就寝時刻は夜9時までに、睡眠時間は9時間以上というのがひとつの目安となりそうです。

「急には無理でも、できるだけ早く寝る日を多くしていき、日によって1時間以上就寝時刻をずらさないように保護者の方が心がけるようにしてください。睡眠習慣は基本的な生活習慣です。基本的生活習慣は小さい頃から繰り返すことによって、神経回路に組み込まれ確立されます。つまり考えずとも自然に体が動くという状態になるんです。」

早寝早起きが大事だと知っていても、なかなか実践できないものです。実践するためにはまず、親の心がけが大切ということですね。


眠りの質を上げてスッキリ目覚るための秘訣は早寝!

睡眠時間がいかに子どもにとって大切かということはよく分かりました。では、眠りの質を高め、朝スッキリ起きるため、寝る前の時間や昼間のすごし方などで、なにか工夫できることはあるのでしょうか。

朝スッキリ起きるためには、睡眠と覚醒のリズムが大切

「先ほども言いましたが、質の高い眠りを得るための一番の秘訣は早寝です。夜10時から2時までに深い眠り=ノンレム睡眠を取り、朝方にかけて夢を見やすいレム睡眠の時間が増えていき覚醒する、というのが自然な睡眠と覚醒のリズムです。自然なリズムに従うことが朝、起床時の気分を改善します。」

寝る前にスマホなどの液晶画面を長時間見ないようにする

さらに、朝スッキリ起きるための就寝前の生活行動として、ぜひ気をつけて欲しいことがあると神川先生。

「それはゲーム、テレビ、スマホ、パソコンなどです。液晶画面を長時間見つめる=光をたくさん浴びると脳が夜を昼と勘違いし、寝つきを悪化させ、睡眠の質を落とし、しいては朝起きられなくなります。これらを合計3時間以上使うことは学習時間の減少につながり、成績低下につながる可能性があります。テレビやゲームをしていた1時間を家庭学習30分、睡眠時間30分に振り分けてみるというのはいかがでしょうか。」

ほかにも下記のような工夫が眠りの質をより高めてくれ、朝の目覚めをよくしてくれるそうです。今日から実践できそうなことばかりなので、ぜひやってみて下さい。

すぐに実践できる、良質な睡眠を促す生活習慣

  • 昼間に汗ばむ程度の運動を外ですること。運動と自然光を浴びることは眠りの大切な条件です。
  • 入浴はシャワーだででなく湯船に浸かること。湯船に浸かることで疲労を回復し心身をリラックスさせます。
  • 就寝前1時間はリラックスタイムを持つこと。絵本を読み聞かせたり、その日の出来事を話したりする親子の時間に。
  • 親は寝る直前に子どもを叱ったり、小言を言わないこと。「腹が立って眠れない」のは子どもも同じです。
  • 次の日起きるのが楽しみになるような話をし、やさしくお休みの声をかけること。次の日の予定やご飯のメニューなど子どもが喜ぶようなことを話すとよいでしょう。
  • 寝室は徐々に暗くすること…起床時は逆に照明を徐々に明るくすると、朝の気分が改善します。
  • 布団を乾燥させて清潔な環境をつくること
  • 子どもが寝るときは静かな環境を確保すること

子どもの朝の寝起き改善には、まずは睡眠の質を見直すこと、そして親の睡眠に対する意識改革が不可欠なんですね。できることからひとつずつ取り入れ、「寝る子は育つ」を実践しましょう!

お話を聞いたのは…

  • 神川康子先生

    富山大学人間発達科学部教授兼学部長。専門分野は睡眠学、睡眠環境学、家庭管理学、家族関係学、住居学。一般社団法人日本睡眠改善協議会JOBS 評議員、富山県子育て支援・少子化対策県民会議委員、親を学び伝える学習推進委員会会長 など多くの顔を持ち、子育て支援や睡眠環境改善を社会に広く啓蒙する活動を行う。無料のインターネット講座「とやま親学び講座」では、「親が学べば子どもも変わる」「睡眠習慣と学力及び健康」の2つの講座を担当。

  • とやま親学び講座
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ライター紹介

青柳直子

ライター暦16年。神戸生まれ・育ち・在住のアラフォー世代。芸能・インタビュー、舞台・コンサートレポをメインに、子育て関連、街取材まで“守備範囲を広く”がモットー。小学1年生の長男、1歳の長女、ヨーゼフ(ハイジの犬)似の夫+猫2匹と、毎日てんやわんやな暮らしぶり。娘が歩けるようになったのを機に、家族キャンプ再デビューを計画中。

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