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「七五三」のお参りは神社?お寺?千歳飴の意味は?

掲載日: 2015年10月1日更新日: 2017年5月16日飯田友美

11月15日は「七五三」ですが、七五三の由来やお祝いの意味などをご存知ですか?「お参りに行くのは神社?お寺?」という方もいるのでは? そこで、日本に伝わる文化や行事をテーマに書籍を多数執筆されている文筆家、広田千悦子さんに七五三についての疑問点を解説してもらいました。

七五三の由来とお祝いの意味って?

そもそも「七五三」はいつ頃から、どのように始まった行事なのでしょうか。

江戸時代、中国の元服の影響を受けて始まったようです。男女3歳の『髪置き(かみおき)』、男5歳の『袴着(はかまぎ)』、女7歳の『帯解き(おびとき)』の儀式と、古くから日本の全国各地にあった7歳のお祝いが一緒になったものと言われています。『七つまでは神の子』といって、地方ごとにさまざまな習わしがあり、子どもが7歳を迎えると盛大にお祝いしていたようです。」

なるほど、祝う年齢や性別にはこのような由来があったのですね。

こうして江戸時代に始まった七五三ですが、定着したのは戦後とのこと。七五三の儀式が広まった背景には、当時は病気などでまだまだ子どもの生存率が低かったことがあるようです。

「昔、子どもは早くに亡くなることも多かったことから、七五三の儀式には命がここまで無事にあったことのお祝いと神様へ感謝する意味がこめられています。また、人生儀礼のひとつとして、社会から認めてもらうと同時に、本人への自覚を促す儀式でもあったようです。」

七五三は子どもの成長を家族みんなでお祝いする行事だと言えますね。現代では、地域によっては5歳で男女とも祝うところもあり、風習は全国でさまざまのようです。


どうして11月15日にお祝いするの?

ではなぜ11月15日に七五三のお祝いをすることになったのでしょうか。

「七五三の儀式が始まった江戸時代、徳川綱吉の子・徳松の髪置きのお祝いが行われた日だったこと、陰陽道で『鬼宿(きしゅく)の日』といって何事をするにもよい日とされていたことなどから、この日になったと言われています。また、霜月(陰暦で11月)の15日に祭りが多かったということも影響しているようです。」

15日といえば、満月のころですよね。電気などなかったその昔には、夜に月明かりがあるということで、お祝いや行事を行うにはちょうどよかったようです。

七五三のお参りをするのは神社?お寺?

ところで七五三のお参りは神社に行くのかお寺に行くのか、皆さんはすぐに答えられますか?

「地域によってはお寺にお参りするところもあるようですが、氏神様(土地の神様)に感謝・お祈りをするという意味で、神社に行くのが一般的です。昔は生涯を同じ土地で暮らす人が多かったことから、産まれた土地の神様である『産土神(うぶすがみ)』にお参りをしていました。」

土地の神様に、成長した子どもの姿を見せて、これからも守ってもらえるようお参りに行くのですね。ご自分の住んでいる地域の氏神様を調べて、七五三のお参りは神社に行くのがよいでしょう。

「今は必ず11月15日というわけではなく、それぞれのご家庭の予定に合わせてお参りに行かれる方々が多いですね。お祝い事ですので、過ぎてからというよりは先にとのことで、10月頃からお参りされる方が多いようです。」

近年は写真館で写真を撮って終わり、というご家庭も増えているようですが、行事の意味を今一度思い出して、これまでの子どもの成長をその土地の神様に報告し、これからも元気にすくすくと育つようにと願いを込めてお参りできるといいですね。


「千歳飴」に込められた意味

七五三につきものの「千歳飴」。晴れ着姿の子どもの手には、長い袋に入った千歳飴が握られていますが、なぜあんなに長いのでしょう。

『千歳飴』は縁起物で、長い飴には長寿を祈るという意味があります。長くて粘りが強い飴には、粘り強くいつもでも健やかに育ってほしいという願いが込められているんです。色は、縁起物のひとつということで紅白が多いようです。」

「なお、千歳飴は江戸時代、浅草の浅草寺で売られていたものが始まりだとする説があります。『千年飴』という名で売り出したら評判がよく、その後『千歳飴』という名になったようです。」

江戸の昔から、子どもの成長を祝って作られた飴。今も脈々と受け継がれている千歳飴には、親が子を思う気持ち、無事に育ってほしいという思いが込められているのですね。


おうちで千歳飴を作っちゃおう!

縁起物の千歳飴、買うだけでなく家庭でも作ることができるそう! そこで今回は、広田さんにおうちで簡単に作れる千歳飴のレシピを教えていただきました。

手作り千歳飴のレシピ

【材料】

  • 水あめ……100グラム
  • スキムミルク……80グラム
  • 練乳……大さじ1
  • 粉砂糖……少々
  • 食紅……少々

<br>【作り方】

  1. 鍋に水あめを入れ、火にかけてとかす。
  2. とけたらスキムミルクと練乳を入れる(※紅色の飴は、スキムミルクに食紅を混ぜる)。
  3. クッキングシートの上に「2」を出し、冷ます。
  4. 冷めたら粉砂糖をまぶし、形をつくる。

以上で、とっても簡単、手作り千歳飴の出来上がりです。

おうちで千歳飴ができるなんて、ちょっと楽しいですよね! 由来などを話しながら、お子さんと一緒に作ってみるのもいいかもしれません。

「七五三」の由来や、お参りする場所、「千歳飴」に込められた思いなど、昔ながらの行事にはそれぞれ意味があるのですね。その起源や由来を知ると、お祝い事や行事はより楽しいものになるのではないでしょうか。七五三を迎えるお子さんには、ぜひ行事に込められた思いを伝えてあげてくださいね。

お話を聞いたのは…

  • 広田千悦子さん

    文筆家。日本の文化・歳時記研究家。うつわ・ことば・絵の作家。新聞や雑誌などでコラムと挿絵を連載中。企業アドバイザー。メディアなどに多数出演。著書は『くらしを楽しむ七十二候』(アースエンターテイメント)、『ほんとうの和の話』(文藝春秋社)、『口福だより』(小学館)、『美味しい! 日本のくらしと七十二候』(新潮社)、『七十二候で楽しむ日本の暮らし:角川ソフィア文庫』(角川学芸出版)など多数。『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)はロングセラー。

  • 広田千悦子さんのホームページ

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ライター紹介

飯田友美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライターに。好きなものは猫とパンダ、趣味はライブに行くこと、お芝居を観ること。杉並区在住。2児の母。

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