よく風邪をひくとねぎを首に巻く人がいるけど、これって本当…?昔から伝わる民間療法って、何だか都市伝説っぽいし本当に効果があるのか疑問…そう思っている方も多いのでは。そこで今回は、有名ないくつかの民間療法に栄養面でどんなメリットがあるのかと、風邪のときに食べたいおすすめ食材について、松岡まこと先生にズバリ聞いてみました。
「ねぎを首に巻く」民間療法で風邪の症状が和らぐ!
子供のころ風邪をひくと、何でかわからないけれどおばあちゃんにねぎを首に巻かれた、という経験をした人も少なからずいるのではないでしょうか。実は、これにはれっきとした理由があるそう。
「ねぎは熱っぽい時におすすめの食材。首に巻くと、匂い成分が鼻から体内に入り鼻づまりやのどの痛みを緩和してくれます。また、一般的に加熱したねぎをタオルなどに包んで使用するため、首に流れている太い血管を温め、ひいては全身を温めてくれます」と松岡先生。
首に巻くというと、皮膚を通して体内に何らかの成分が入りこむイメージをしがちですが、鼻から吸い込むというのが本当のところのようです。
子供には「首に巻く」より「食べる」がおすすめ
このようにねぎを首に巻くとつらい症状が一時的に緩和されますが、間接的に鼻から成分を吸い込むよりも直接食べた方が、当然ながらより効果的。
また、大方は寝ている時に巻くことになるため、首が絞まって窒息してしまう事故を防ぐためにも、子供の首にねぎを巻くのは控え、食べ物から成分を摂取するようにしましょう。
子供におすすめ ねぎレシピ【ねぎスープ】
ねぎやにんにくは硫化アリルという、ウイルスに対する殺菌力があり、ビタミンB1とともにはたらいて代謝を高めてくれる成分が含まれています。じゃがいもと合わせることで独特の臭みがやわらぎ、ねぎが苦手な子供でも食べやすくなります。
【材料】4人分
- じゃがいも:大1個
- 長ねぎ(白い部分):1本半(150g)
- にんにく:ひとかけ(6g)
- だし:500cc
- 塩:小さじ1(お好みで)
【作り方】
- じゃがいもは皮をむいて8等分に、長ねぎは2cmの長さに切る。にんにくは薄くスライスする。
- 鍋にだし、じゃがいも、長ねぎ、にんにくを入れて中火にかけ、沸騰したら弱火で15分煮る。
- 「2」の粗熱がとれたらミキサーに入れ、なめらかになるまでミキサーにかける。
- 鍋に移して温めて、塩で味を整えたら出来上がり。
ネギ以外に風邪のときに食べたい食材は?
松岡先生いわく「中国では風邪をひいたとき、『医者に行く前に薬屋へ、薬屋の前に八百屋へ行け』と言われるほど、摂取する食物が大切だと考えられています。風邪をひいたかなと感じたら、体を温めたり、粘膜を保護するような食べ物をとりましょう。特にビタミンCやビタミンB1を含む食品がおすすめです」とのこと。
そこで、ねぎの他に民間療法として比較的有名なものについても食材の栄養面から解説、子供用のおすすめレシピも教えていただきました。
体を温めるもの:しょうが湯、卵酒。子ども用には味の調整を

「しょうがには、体を温めるショウガオールやジンゲロールが含まれ、冷え症や風邪の改善に処方される漢方の成分と共通しています」と松岡先生が指摘する通り、しょうが湯を風邪の時に飲むと良いのは本当のようです。同じく、卵酒も体を温めるという意味で効果的なようですが、アルコール分を含むため薬との併用は避けましょう。
「子供に飲ませる時は、しょうが湯は辛味が強いので、りんごを合わせてジャムにしたものを湯に溶かせば、子供も飲みやすくなります。卵酒はアルコールをしっかり飛ばし、牛乳を加えてミルクセーキ風にしてもいいですよ。」
子供におすすめ しょうがレシピ【しょうが&りんごのジャム】
【材料】
- しょうが:50g
- りんご:1個
- 水:100cc
- 砂糖:大さじ2
- レモン汁:大さじ1
【作り方】
- りんごは、皮をむいて8等分にする。しょうがはすりおろす。
- 厚手の鍋に「1」と水を入れて蓋をして、弱火で煮る。
- りんごが柔らかくなったら、砂糖とレモン汁を加え、木べらでつぶしながらトロリとするまで弱火で煮詰めたら出来上がり。
- スプーン1杯のジャムを湯に溶かして飲む。
子供におすすめ 卵酒レシピ【ミルクセーキ風卵酒】
【材料】4杯分
- 卵:1個
- 牛乳:500cc
- 日本酒:150cc(なしでミルクセーキにしてもOK!)
- 砂糖:大さじ2
【作り方】
- 卵をよくかき混ぜる。
- 牛乳を鍋に入れ、砂糖と「1」を加え、卵が固まらない様よくかき混ぜながら強火にかける。
- 沸騰したら日本酒を加えて、アルコール分がしっかり飛んだら出来上がり。
粘膜を保護するもの:喉痛には「はちみつレモン」「はちみつ大根」
風邪のひき始めや喉が痛くなった時は、応急処置としてスプーン1杯のはちみつを喉にいきわたるようになめると、症状がやわらぐといいます。ただし1歳未満の乳児については、はちみつでボツリヌス症を発症する恐れがあるため、使用しないでください。
また、レモンや大根は風邪予防に効果的なビタミンCが豊富で「特に大根には消化を助けるだけでなく、イソチオシアネートという殺菌成分が含まれ、はちみつと一緒にとることで荒れたのどの粘膜を保護し、痛みを緩和してくれます」とのことです。
子供におすすめ はちみつレシピ【はちみつ大根】
【材料】
- 大根 150g
- レモン 1個
- はちみつ 250g
【作り方】
- 大根は薄い輪切りにする。レモンは皮をむいて薄い輪切りにする。
- すべての材料を保存容器に入れて、混ぜ合わせる。
- 冷蔵庫で一晩漬けたら出来上がり。
「風邪をひきにくくしてくれる食べ物」を知っておこう
風邪をひいてしまう前に、風邪をひきにくい丈夫な体を作ってくれる食べ物が何かを把握しておくことが大切です。栄養価が高い食べ物はとかく子供に嫌われがちですが、松岡先生が子供も食べやすい調理法を教えてくれたので、以下を参考にぜひ積極的に食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
そのほか風邪予防におすすめのレシピ
【にんじんジュース】
人参に豊富なβカロテンは粘膜の形成に欠かせないビタミン。不足すると鼻やのどの粘膜が乾燥し、ウイルスに感染しやすくなります。子供に飲ませるとなると人参だけではクセがあるので、りんごと合わせてミキサーでジュースにすると◎。
【かぼちゃの甘辛煮】
冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかないといわれるように、かぼちゃには、風邪の予防に最適なβカロテン、ビタミンCが多く含まれています。かぼちゃは弱火でじっくり加熱すると甘みが増すので、子供の大好きな甘辛な味付けでことこと煮込むと良いでしょう。
【れんこんスープ】
れんこんに含まれるビタミンCは熱に強く、寒い時期に風邪をひきにくくする効果が期待できます。そのままだと固くて子供受けが悪いので、形をなくしたスープがおすすめ。すりおろしたれんこんに、みじん切りにしたねぎと生姜のしぼり汁、だしを混ぜ合わせ、中火にかけ沸騰して4分〜5分煮ます。体の芯から温めてくれる上、とろみ成分のムチンは胃腸を保護してくれる作用もあります。
ここでご紹介したように、先人の知恵が結集した民間療法は、栄養面でよく考えられているものが多いようです。急に発症することが多い子供の風邪には、家にあるもので応急処置できるのはとてもありがたいこと。とはいえ、風邪をすぐに治すような劇的な効果はないので、高熱が続いたりせきが長引くなどひどい風邪の場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
この冬は現代医学と民間療法の双方を上手に使って、風邪に備えてみてはいかがでしょうか。