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下痢や嘔吐を繰り返すノロウイルス。家庭でできる対策は?

掲載日: 2016年2月5日更新日: 2016年11月29日宇都宮 薫

毎年冬に流行するノロウイルス。下痢や嘔吐が続くので、小さな子どもがかかるとお世話をする親もとても大変な思いをします。もしもかかってしまったらどのように対処すればいいのでしょうか?ノロウイルスの予防法や家庭でできる対策を北浜こどもクリニックの北浜直先生に教えてもらいました。

食中毒?人から感染?ノロウイルスはどうやってうつる?

そもそもノロウイルスとは、どういう病気なのでしょうか? どこから感染し、どんな症状を引き起こすのですか?

ノロウイルスは、感染すると24〜48時間の潜伏期間を経て発症する感染性胃腸炎です。下痢、嘔吐、腹痛や、37℃〜38℃の軽度な発熱などの症状があります。1日に何度も下痢や嘔吐を繰り返すので、小さな子どもにとっては負担が大きく、見守る親としても辛いですよね。大人は1日〜2日で自然に治ることが多いですが、免疫力の低下した子どもは1週間くらい症状が長引くこともあります。」

ノロウイルスは牡蠣などの貝類に含まれていることがあり、汚染された食物を食べることによって感染する食中毒。ただ、食べ物からの感染だけでなく、人から人への感染力も強いのが特徴なんだそう。

冬に流行をおこすのは、食中毒による感染よりも、飛沫感染や接触感染がメインです。ノロは感染力が強く、ほんの数個のウイルスが口に入っただけでも発症してしまいます。とくに保育園や幼稚園で感染者が出た場合、その子どもの便や嘔吐物にもウイルスが含まれているので、処理には細心の注意が必要です。ウィルスが付いた手でおもちゃやタオルなどを触ることによって感染が広まります。」


下痢や嘔吐による脱水症状に気をつけて

ノロウイルスにかかったら、どうやって治療するのでしょうか?

ノロウイルスにはワクチンも特効薬もありません。特別な治療法はないので、症状に応じて対処療法しながら、ウイルスが体から排出されるのを待つしかありません。子どもの場合は嘔吐し続けると体力を消耗するので、吐き気止めの座薬を処方する場合が多いですね。」

子どもの場合、下痢や嘔吐による脱水症状がもっとも心配なんだそう。

「脱水症状は急激に進行することがあるので、よく様子を見てあげてください。泣いても涙が出なかったり、ぐったりしているようであれば、すぐに病院へ。オムツをしてる子であれば、水分が取れずにおしっこが8時間くらい出ていなければ、脱水症状を起こしている可能性があります。」

また、家庭で看病する際には、便や嘔吐物の処理にも注意が必要だと言います。


消毒はハイター(塩素系消毒剤)を薄めて使用

ノロウイルスは乾燥すると空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、患者が吐き出した物や便は、乾燥しないうちに速やかに処理する必要があります。

便や嘔吐物はペーパータオル等で拭き取り、ビニール袋に密閉して捨ててください。床は汚れをふき取ったあとに塩素系消毒剤(200ppm以上:ハイターなどの家庭用漂白剤を希釈)で消毒しましょう。手袋やマスクをつけて適切に処理してください。」

ウィルスが付着した絨毯などが乾いても、そこからウィルスが空気中に舞うことがあるそうです。汚れた衣類はいきなり洗濯機に入れず、まずはバケツなどで塩素系消毒剤に浸すようにしましょう。処理した後はウィルスが屋外に出て行くよう、十分に喚気を行うことが大切です。

塩素系漂白剤での消毒液の作り方

キッチンハイターなどの塩素系漂白剤は、0.1%濃度に薄め、それにペーパータオルなどを浸して付着した床などを拭き取ってから、水拭きするといいそうです。また、漂白できない衣類は、85℃以上の熱湯に1分間浸してから洗濯しましょう。

なお、これは吐きだしたもの(吐しゃ物)や便などが付着した床や衣類などの消毒法です。皮膚や直接人体に触れる食器類など、口に入る可能性がある物の消毒には使用しないでください。


こまめな手洗いうがいでノロウイルスを予防しよう

ノロウイルス感染を予防するにはどうしたらいいでしょうか?

予防に最も大事なのは、こまめな手洗いとうがいです。石鹸をよく泡立てて、爪の中まで意識してよく洗いましょう。ウイルスは湿り気に弱いので、うがいやマスクで口の中を潤しておくのも効果的ですよ。」

改めておさらい!風邪予防に効果的な手洗い・うがいの方法

手洗いとうがいはノロウイルス以外でも、感染症予防の基本ですね。では、兄弟姉妹がいる場合、うつし合わないようにできる対策はありますか?

「ウイルスは乾燥した空気中に舞って広がるので、同じ室内にいる兄弟姉妹の感染を防ぐのは難しいかもしれません。ただ、部屋の湿度を上げることでウイルスが飛散しにくくなるので、乾燥しやすい冬場はとくに加湿器を使用するのがおすすめです。」

こまめな手洗いうがいと部屋の加湿で、あと少しの流行シーズンを乗り切りたいですね!

お話を聞いたのは…

  • 北浜 直 先生

    北浜こどもクリニック院長。「地域に密着したママの駆け込み寺」を目指し、「どんな些細な相談でもウェルカム」という理念で多くの患者を受け入れている。

  • 「北浜こどもクリニック」ホームページ

ライター紹介

宇都宮 薫

編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、単行本(ビジネス書・実用書)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは、出産、育児、健康、おでかけ、芸能、グルメなど。まち歩きとバイクが好き。

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