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症状が見られるのは100人に1人!「水腎症」とは?

2016年4月26日高柳涼子

子どもには珍しくない疾患といえる「水腎症」。胎児や新生児でも発症する場合があるそうですが、意外と知られていないようです。子どもの腎臓病に詳しい昭和大学藤が丘病院の池田裕一先生に、病気の基礎知識や注意点を教えていただきました。

尿の通りが悪くなって起こる水腎症

まず、水腎症とはどんな病気なのでしょうか。

水腎症とは腎臓で作られた尿が膀胱へと流れる途中でせき止められて、腎臓や尿路(尿の通り道)が拡張した状態をいいます。拡張の程度はさまざまで、腎臓が尿でパンパンに膨らんで見える場合もありますし、正常に比べてわずかに拡張しているだけで病気とはいえない程度の軽いものまであります。症状が重くなると、最終的に腎不全を引き起こす恐れがあります

拡張の状態はエコー検査で見えやすいため、胎児や新生児の時の検査で指摘されて知る場合も多いようです。

どれくらいの数の子どもが発症するのでしょうか。

「一時的に尿路が拡張して見える胎児は100人に1人程度で、そのうち明らかに水腎症と診断されるのが600人〜800人に1人程度です。かなり多い数字ですが、水腎症だからといって必ずしも腎臓が悪いというわけではないということ。これはみなさんに知っておいてほしいですね」


水腎症の原因は?

子どもの水腎症は先天性のものが多いとのことですが、何が原因となっているのでしょうか。

「子どもの水腎症の多くは、尿管と腎盂(腎臓と尿管の接続部)とのつなぎ目の部分が閉塞することで発生します。その原因として、以下のようなことが考えられます」

  • 腎臓や尿管の構造に異常がある
  • 尿管の筋肉の発達が不足している
  • 腎臓の位置が下がっているせいで腎臓と尿管のつなぎ目が曲がっている
  • 腎臓や尿管に結石や血栓がある
  • 血管が異常な位置にある
  • 腫瘍などで尿管が圧迫されている

ただし、これらの原因があっても、経過観察を続けているうちに何の症状も現れず自然に治るケースから、生まれてすぐに手術などの治療が必要なケースまであり、必要な対応もさまざまだそうです。

水腎症と言われたらどんな治療が必要?

水腎症と診断された場合、どのように治療するのでしょうか。

「子どもに多い先天性の水腎症の場合、経過観察や予防的な投薬、手術がおもな対策となります

腎機能が正常なら定期的にエコーの検査を

「症状がなくて腎臓の機能が保たれている場合は、3カ月〜6カ月ごとにエコーで経過をチェック。経過中の状態を見ながらその都度方針を決めていきますが、経過中に自然に改善する例も多くあります。乳児期には尿路感染を予防するため、少量の抗生物質を毎日飲むケースもあります」

腎機能や尿の流れの状態によって手術をすることも

では、手術が必要になるのはどんなケースでしょうか。

尿路感染症を繰り返したり、腎臓の機能が低下した場合は手術を検討します。手術をするかどうかは年齢と腎臓や尿路の拡張の程度、腎機能、尿の流れの状態や痛みなどのさまざまな症状の有無を合わせて判断しますが、手術をする場合は全身麻酔のもとで行われ、尿の通過障害の原因となっている尿管の一部を切除し、健常な腎盂と尿管を細い糸でつなぎ合わせる方法が取られます」

感染や出血など一般的な術後の合併症や、尿の通りがよくならないなど多少のリスクはあるものの、ほとんどは問題なく終了する手術だそうです。


どんな症状が出たら受診すべき?

最近では胎児や新生児の時に、エコーで発見されることが多くなっているとのことですが、乳幼児の頃に尿路感染を起こして発見されるケースもあります。また、幼稚園や小学生くらいになってからは腹痛を訴えて発見されるケースもあるそうです。

「水腎症が進むと腸が圧迫されたり、狭くなっている場所に尿路結石が詰まったりして腹痛を訴えるケースがありますので、その場合には受診したほうがいいでしょう」と池田先生。

受診が必要な症状を以下にまとめたので、覚えておくと良いでしょう。

すぐに受診したほうがよい症状

わき腹から腰部、下腹部にかけて激しい間欠的な痛みがある場合。痛い側に急激な閉塞が発生している可能性があります。腎臓結石によって一時的に尿管がふさがれている場合も。

緊急ではないが受診したほうがよい症状

わき腹のうずくような痛み、吐き気、嘔吐、腹痛などがある場合。ゆっくりと水腎症が進行している可能性があります。腸の症状を引き起こすこともあるため、原因のはっきりしない吐き気、嘔吐、腹痛などには注意しておきましょう

風邪の症状はないのに急に39度以上の高熱が出る

尿の流れが悪いことが原因で尿路感染症を起こしやすくなっています。これを繰り返すと、腎機能が低下し、腎臓が機能しなくなってしまうことも。原因不明の発熱が繰り返し起こすような場合には注意が必要です。

気になる症状があった場合は、小児の腎臓専門医や小児の泌尿器科医がいる、エコー設備などが整った病院の受診を

胎児や新生児の時期に指摘された場合や、別の病気の診察中、定期健診などで見つかった場合には、担当医のアドバイスに従いましょう。

もし水腎症と診断されたら…日常で気をつけることは?

もし水腎症と診断されたら、生活していく上で注意すべきことはなんでしょうか。

「腎臓は左右に二つあるため、両方を合わせた腎臓の働きに問題がなければ普通の人と変わりなく生活できます。ただし、発熱した時には尿路感染症かどうかをよく見極めるようにしましょう。また、手術をした場合には、頻度は高くないものの、術後に尿路感染症や尿路結石を起こしたり、血圧が高くなったりする場合も。発熱や背中の痛み、尿のにごり、血圧が高くなると起こることがある頭痛や目の奥の痛みなどに注意してあげましょう」

また、水腎症と指摘されてからの経過をノートなどに記しておくと、万が一のときにも安心だそうです。

水腎症は自然に治ることも多い病気。万が一診断されてもあまり心配しすぎず、ドクターと一緒に経過を見守っていきましょう。

お話を聞いたのは…

  • 池田裕一先生

    昭和大学藤が丘病院小児科勤務、夜尿症や小児の排尿障害・腎臓病が専門分野。同病院小児科の「腎臓外来」「尿トラブル外来」で診察にあたるほか、さまざまな相談にも応じて親子をサポートしている。

  • 昭和大学藤が丘病院
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ライター紹介

高柳涼子

雑誌編集部勤務を経てフリーランスに。ライティングと校正を中心に、ときどき編集もやる3児の母です。これまでに関わった分野は、求人、進学、ウェディング、アート、手芸、田舎暮らし、食育、仏教、料理など。

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