日々家事や育児に追われる子育てママたち。そんな忙しいママたちからの「家事援助サービス」の依頼が増加傾向にあるという「シルバー人材センター」。今回は公益財団法人東京しごと財団 シルバー人材センター課長の板谷さんに、利用の仕方や注意点などを伺いました。
「シルバー人材センター」ってどういうところ?

そもそも「シルバー人材センター」とはどんな組織なのでしょうか?
「シルバー人材センターは『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律』に基づき、区市町村ごとに設置されている公益法人(社団法人)です」と板谷さん。
もともとは昭和49年に東京都が創設した「高齢者事業団事業」からスタートした歴史ある事業です。都内では62区市町村のうち58カ所に設置され、登録しているシルバー会員(60歳以上)は約8万2千人もいるそう。「生きがい就業」という言葉を掲げ、多くのシルバー会員の社会貢献機会を生んでいます。
「シルバー人材センターは、社会の役に立ちたい、社会とつながりたい、という高齢者たちの希望をかなえることを目的とした事業です。会員同士が仲間となり高めあえる場ともなっています。」
これまでのキャリアや経験はもちろん、シルバー人材センター連合主催の講習で新たな技術や知識を学んだシルバー会員さんたちが活躍しているそう。
そんなシルバー人材センターで、近年増加傾向にある依頼が、家事援助サービス。「共働きで育児に手がかかるご家庭からの家事援助サービスの相談問い合わせや依頼が増えています」と板谷さん。
では、どんな作業がお願いできるのでしょうか。詳しく聞いてみました。
どんな家事援助サービスがお願いできるの?

シルバー人材センターでは、掃除や片づけをはじめ、毎日の家事の中で困ったことや助けて欲しいことなど、ちょっとした家庭での手伝ってもらうことができます。
シルバー人材センターで発注できる家事援助サービスの一例
- 部屋の掃除
- 浴室やトイレの掃除
- 網戸洗い、ガラス拭き
- エアコンの掃除
- 洗濯やふとん干し
- 買い物
- 食事の支度
(※各区町村によって請け負える仕事は異なります。詳細は各シルバー人材センターにお問い合わせください。)
このような家事援助サービス以外にも、ふすま張りや植木の手入れ、和・洋服のリフォームといった、特定の技能を必要とする分野を請け負う事もあるそうです。入園時に必要なグッズの準備や、子どもの発表会の衣裳作りなどでも利用できる機会がありそうですね。
民間サービスとは違うという点を心得て!
ただ、シルバー人材センターはあくまでも、60歳以上の方の就業による社会参加を促進する事業。専門の業者にお願いするのとはもちろん違って、なんでもできるわけではありません。
シルバー人材センターで請け負えるのは、下記3つに限られます。
- 臨時的な業務
- 短期的な業務
- 軽易な業務(危険ではない業務)
そのため、民間のお掃除専門サービスに依頼するように「お金を払うのだから新品同様になるまで掃除して欲しい」といった要望に100%応えることはできないそう。あくまでお手伝いの範囲でお願いすることが前提になります。(プロの業者が用いるような薬品などは使用しません。)
シルバー人材センターにお願いする際の流れと注意点

シルバー人材センターには、相談者の要望を聞いて、最適な会員さんをマッチングするコーディネーターがいます。
「作業依頼を受けると、コーディネーターが依頼者のご自宅まで下見に伺います。そして、センターが受注できる“臨時的・短期的・軽易な業務”なのかどうかを判断し、その仕事にかかる時間と労力を予測します。」
このときに、しっかりと自分の要望を伝えることが最も重要なポイントだと板谷さんは強調します。
どの範囲をどのくらいキレイにしたいのか、時間の制限はあるのかなど、コーディネーターからの細かい質問にもしっかりと答えることで、相談者の要望と会員さんのお仕事の内容がズレないようにしてくれるそう。
その後に提案される時間や人数を考慮した金額に納得ができれば契約となり、後は依頼日にシルバー会員さんが訪問されるのを待つ…という仕組みです。
まずは近くのセンターに電話で相談してみよう
依頼者としては金額も気になるところですが、作業環境や内容によるところが大きいので、定額での金額設定はないそう。ただ、利益を出すことを目的とした事業ではないので、企業が提供する一般的な家事援助サービスと比べると、格安でお願いできるケースが多いようです。
シルバー人材センターよってはホームページ上で「エアコンの掃除 ○○○円〜」といった金額例を表示しているところもありますが、「まずは、お近くのセンターに相談して欲しい」と板谷さん。
臨時的・短期的・軽易な業務であるということ、シルバー人材センターによって請け負えるサービスが違うことを十分に理解し、コーディネーターにきちんと相談してサービスを活用しましょう。
利用者からは、「人柄に好感が持てた」「主婦歴の長い年配の方だから主婦の気持ちをわかってくれる」「掃除のやり方が参考になった」といった喜びの声も多いそう。
家事援助が頼めて、それが高齢者の方の生きがいにもつながるなんて、素敵ですよね。気になった方はお近くの「シルバー人材センター」に相談してみてはいかがでしょうか。