子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」は親子の成長、夢の育みを応援します!

スマホが母子手帳に!?今、話題の「電子母子手帳」に注目!

掲載日: 2016年7月26日更新日: 2017年5月16日高柳涼子

妊娠したことを届け出ると自治体から交付される冊子「母子手帳」。大切な記念にもなる「母の証」である一方、紙ゆえの不便さを感じているママも多いとか。そこで今、注目されているのがスマホで簡単に入力や情報管理などができる「電子母子手帳」。開発元と実際に導入している自治体の担当者にお話を伺いました。

「母子手帳」ってどんなもの?

「母子手帳」の正式な名称は「母子健康手帳」。1940年代はじめに日本で生まれた「妊産婦手帳」が改良を重ねて現在の形になったもので、長年、多くの赤ちゃんの成長やママをサポートしてきました。今では世界30カ国以上で取り入れられているんだとか。

母子手帳は市区町村ごとに作成・交付されますが、基本的な内容は全国共通。妊娠中から出産までのママの健康状況、出産時の重要事項(出産の経過や出生日、出生時間・出生した施設の名称など)・出産後のママの健康状態や子どもの予防接種、成長の状況などを医療・保健機関や保護者が記入して使います。

大切な情報がコンパクトに凝縮された母子手帳ですが、「持ち歩くのが大変」「記入が面倒」「情報共有がむずかしい」といった紙ゆえの不便さも。また、東日本大震災の際には津波で母子手帳そのものが流されてしまうという事態もあり、パソコンやスマートフォンで活用できる電子化の動きが進んできました。


母子手帳がスマホで電子化されると何が変わる?

電子母子手帳のスマホアプリ

母子手帳が電子化されることで、どんなメリットがあるのでしょうか。電子母子手帳サービスの開発元の一つ「株式会社エムティーアイ」の広報室にお聞きしました。

紙の母子手帳をそのまま電子化したものではないため、記録内容をすべて網羅しているわけではありません。Webサイトの開発にあたってアンケートを実施し、紙の母子手帳の中から要望が高いもの電子化するメリットの高いものを機能として取り入れました。また、従来の母子手帳にはない記録項目や、妊娠週数や子どもの月齢に応じた読み物など、より充実した育児情報もプラスして提供しています。」

電子化で解消した「母子手帳」のおもなデメリット

手元にないと情報が見られない
→いつも持ち歩くスマートフォンで情報にアクセスできるように。子供が成長して母子手帳をあまり使わない年齢になっても過去の記録をすぐに確認できる

情報を共有できない
→健診の記録や育児日誌などはWebサイトに入力。写真や動画も記録してパパや祖父母などと共有できる

成長記録のグラフを手書きするのが面倒
→健診情報や日々の身長体重の記録から、自動でグラフを描画。発育状況をチェックできる

予防接種の管理が大変
→複雑な予防接種のスケジューリングを自動化。接種忘れ防止のプッシュ通知機能も。

災害などで手帳が失われた場合に内容の復旧がむずかしい
→データはすべて、クラウドサーバに保存。災害時や紛失した際にも安心

制度変更した場合に対応できない
→インターネットを介して情報を配信するため、常に最新の内容を確認。予防接種の制度変更などにもすばやく対応できる

また、住んでいる市区町村が電子母子手帳を導入している場合には、自治体からのお知らせ地域のイベント情報、入力した情報に基づき、妊娠週数や子どもの年齢に合わせたアドバイスなども受け取ることができます。

電子母子手帳サービスやアプリは複数の会社が提供し、誰でも使えますが、いずれも自治体から配布された紙の母子手帳と併用して使うものです。電子母子手帳を使えば、最新の育児情報がいつでもどこでも見られるので心強いですね。また、写真や動画をシェアできるようになったことは大きな進化。寝返りやつかまり立ち、歩けるようになったといった成長をそのつど撮影していくだけで、家族や遠くに住む祖父母などと一緒にアルバムを見るように成長を楽しめます。


実際に使っているママや自治体の声は?

2016年7月時点で全国8つの自治体が導入しているという同社のサービス。実際のユーザーの声を、千葉県柏市にある柏市保健所・地域健康づくり課の方にお聞きしました。

「現在、3歳未満のお子さんを持つ30代を中心に1120人が登録しています。市内でもお住まいのエリア別に地域密着の情報を届けやすくなりましたし、働くママには参加が難しい平日開催の講座や離乳食の作り方なども動画でアップし、多くの人に見てもらえるようになりました。」

ユーザーであるママの声も1つご紹介いただきました。

『成長の度合いがひと目でわかり、年齢に合わせた育児情報や地域の情報が見られて便利ですね。いまは電子親子手帳で見つけた子育てサークルに参加。夫と3人暮らしで実家も遠方ですが、育児日記や写真を保存して親族とも共有しています(40歳・3歳男の子のママ)』

電子母子手帳のこれからの展望は?

同社のサービスだけでも導入予定の自治体が約50あり、2年後には1000自治体への導入を目指しているそう。さらなる進化が期待できそうですね。

将来的には医療機関と連携した予防接種の予約や、災害時に備えたマイナンバー制度との連携なども可能性として捉えています(柏市保健所地域健康づくり課)。」

「すでに提供しているヘルスケア系サービスとも連携し、健康管理サービスへの発展も目指しています(株式会社エムティーアイ)。」

単体としての機能充実だけでなく、さまざまな連携から可能性が広がるのはWebサービスならでは。日本生まれの優秀なツールである母子手帳が電子化という新たな進化に期待が膨らみます。これまで以上に多くの赤ちゃんやパパママの笑顔を守ってくれることを願ってやみません。

お話を聞いたのは…

  • 千葉県柏市

    2015年度に試験的に電子母子手帳を導入。2016年度から『電子親子手帳』として正式に運用している。妊娠週数や子どもの月齢に合わせた情報を配信したり、母親学級を動画で受講できるようにするなど、積極的に活用している。

  • 柏市電子親子手帳サービス事業(すくすく柏)
  • 株式会社エムティーアイ

    スマートフォンを始めとするコンテンツ配信を中心に事業を展開。「音楽」「健康」「電子書籍」「生活情報」「エンターテインメント」など、モバイルサイトやアプリを通じて便利で楽しいサービスを提供。国内最大級の有料会員数を誇り、幅広い世代・多くの人々に親しまれている。

  • 株式会社エムティーアイの電子母子手帳サービス(アプリ版もあり)

ライター紹介

高柳涼子

雑誌編集部勤務を経てフリーランスに。ライティングと校正を中心に、ときどき編集もやる3児の母です。これまでに関わった分野は、求人、進学、ウェディング、アート、手芸、田舎暮らし、食育、仏教、料理など。

ライターの最新記事

あなたにオススメの記事