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親の無関心や厳しすぎるしつけが招く「愛着障害」とは?

2016年11月14日宇都宮 薫

今、幼稚園や保育園などの教育現場で「かんしゃくが止まらない子」「感情のコントロールができない子」が増えていると言われています。その背景のひとつに「愛着障害」があるのだとか。『スマホ依存の親が子どもを壊す』の著者で明治大学教授の諸富祥彦先生に、愛着障害とは何なのか、お話を聞きました。

心の安全基地がないまま成長する、愛着障害の子どもたち

最近、急増しているといわれる「愛着障害」の子ども。愛着障害とはどういうものなのでしょうか?

幼少期に親との安定した心のつながりを持てなかった子どもが、抑うつ状態になったり、人間不信で自信が持てない状態のことです。子どもの健全な心の成長には、親との安定した心のつながり(愛着関係)が必要です。しっかりした愛着関係があることで、初めて自己肯定感が育まれ、子どもは『自分には存在価値があるんだ』という感覚を持つことができます。」

「ところが、親が子どもに対して無関心だったり、厳しすぎると、このような心の安全基地が得られません。3歳くらいまでの間に愛着関係を得られず自己肯定感が育たないと『愛着障害』に陥りやすいのです。3歳までは根源的な自己肯定感が育つ重要な時期。逆に言うと、4歳以降に起きた問題はあとからでも取り返しがつきやすいのです。」

「愛着障害」と「発達障害」は何が違う?

愛着障害を抱えた子どもは、不快な気持ちをうまく処理できないため、かんしゃくを起こして大暴れしたり、自分の中に閉じこもってしまいがちだそう。

「『発達障害』の子どもにも同じように自閉的な傾向が見られるのですが、発達障害が先天的であるのに対して、愛着障害は後天的なものです。愛着障害は親との関係性が原因となって、後天的に生じるものなので、親の心がけ次第で防ぐことも、状況を改善することもできます。」


愛着障害の原因になる親の行動は?

家庭環境によって後天的に生じる、愛着障害。では、その原因になる親の行動とは、どんなものなのでしょうか?

スマホネグレクト

「今、親のスマホ依存が問題になっています。LINEやSNS、ゲームなどに熱中するあまり、自分でも気づかないうちに子どもを無視し、放置してしまう。これを『スマホネグレクト』と呼んでいます。子どもが親を求めて泣いても、その応答を十分に得られず、愛着関係が築けないまま育ってしまうのです。」

「もちろん、泣いているときだけ対応すれば解決するものではありません。小さな赤ちゃんがお母さんのことをずっと見ているのに、お母さんの方はそれに気づかずにスマホばかり見ている…そんな状態から、すでにスマホネグレクトは始まっているのです。」

このような状態を諸富先生は「プチ虐待」と呼んでいるそう。その怖さは、親自身も気づかないうちに進行して、子どもの心にジワジワとダメージを与えてしまうところなのだとか。

過剰な怒鳴りつけ

さらに、必要以上に子どもを怒鳴りつけることも、「プチ虐待」の1つだと言います。

「気まぐれに子どもをかまったかと思えば、いうことを聞かないときには大声で怒鳴りつけ、延々と説教が止まらなくなるという親も多い。親から怒鳴られ続けた子どもは、自分の感情をコントロールできなくなり、今度は自分が他の子どもに暴言を吐くようになります。」

「スマホネグレクト」や「過剰な怒鳴りつけ」。そういった「プチ虐待」が、愛着障害を生み出すのですね。


子どもの「愛着障害」症状チェックリスト

プチ虐待を受け、愛着障害に陥っている子どもによく見られる5つの行動をチェックしてみましょう。

かんしゃくを起こして止まらない

寝転んでバタバタして、「イヤだ!イヤだ!」などと叫び止まらない。

ちょっとしたことで落ち込む

自己肯定感が十分に育っていないため、ちょっとしたことでも落ち込みやすい。

よくケンカをする

他人への警戒心が強いため、友達とのトラブルが絶えず、よくケンカをする。

モノをよく壊す

自分の中に攻撃性が溜まっているので、モノを投げつけたり乱暴に扱ったりしてよく壊す。

モノを盗んだり隠したりする

特に欲しいわけではないのに、友達のモノを盗んだりする。他人を欺くことが習癖になってしまっている。

これだけで診断が確定できるものではありませんが、気になる症状があれば、カウンセラーや専門医に相談してみましょう。もし愛着障害の傾向があったとしても、親がしっかり向き合っていくことで改善することができます


プチ虐待していないか、自分の子育てを振り返ってみよう

メールに夢中になって子どもからの呼びかけに気づかなかったり、子どもが悪いことをしたときに怒鳴ったり…自分の育児を振り返ってみても、そういうことが全くない親は少ないのでは?

「もちろん、誰にでもそういった経験は少なからずあるはずです。ただ、『それが度を過ぎていないか』というのは、案外自分では気づきにくいもの。まずはいったん立ち止まって、自分のふるまいが子どもに悪影響を与えていないか考えてみましょう。リスクに『気づく』ことが親子関係を見直すためのスタートです。」

「子どもと一緒にいてスマホをいじりたくなったら、その気持ちにちょっとストップをかけてみてください。子どもにイラっとしたら、感情的に怒鳴りつける前に、トイレなど子どもから離れた場所に行き、深呼吸をして、気持ちを鎮めるのもおすすめです。」

親も気づかないうちに行う可能性がある「プチ虐待」と、それによって発生する「愛着障害」。親としての自分の行動を一度振り返って考えてみたいですね。

★この記事のポイント★

  1. 健全な成長には、親との安定した心のつながり(愛着関係)が必要
  2. 3歳頃までに愛着関係を得られないと「愛着障害」になりやすい
  3. 愛着障害を招くのは親のスマホネグレクトや厳しいしつけなどの「プチ虐待」
  4. 愛着障害の子どもは、かんしゃくを起こしたり、自閉傾向が強い
  5. もし愛着障害の傾向があっても、親が向き合うことで改善できる

お話を聞いたのは…

  • 諸富祥彦先生

    明治大学文学部教授。教育カウンセラー。教育学博士。著書に『プチ虐待の心理』(青春出版社)、『スマホ依存の親が子どもを壊す』(宝島社)、『男の子の育て方』『女の子の育て方』『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版)、『10歳までの子育てのルールブック』(宝島社)、『「子どもにどう言えばいいか」わからない時に読む本』(青春出版社)などがある。

  • 諸富先生の公式ページ
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ライター紹介

宇都宮 薫

1980年生まれ。フリーランスの編集者・ライターとして活動中。4歳、1歳の娘と同業者の夫との4人家族。過去にバイク雑誌編集部やライター事務所に所属し、出産を機にフリーランスへ転向。独身時代から大の旅好きで、バイクや原付に乗って日本中を巡る。子持ちとなった今は、家族揃ってのおでかけに情熱を燃やしている。

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