2016年12月、「いこーよ」と「ばうむ合同会社」が共同運営する学習机作りプロジェクト「6歳になったら机を作ろう!」が、環境省主催の「グッドライフアワード」実行委員会特別賞を受賞しました。
「グッドライフアワード」って?
「グッドライフアワード(Good Life Award)」とは、環境に優しい社会の実現を目指し、日本各地で実践されている「環境と社会によい暮らし」に関わる活動や取り組みを募集。優秀な取り組みを表彰する環境省のプロジェクトです。
「グッドライフアワード」公式サイト今回「6歳になったら机を作ろう!」が、実行委員会特別賞(「環境と学び」部門)に選ばれ、先日行われた授賞式には「いこーよ」代表の下元が出席しました。
「6歳になったら机を作ろう!」が評価されたポイント
- 材料に間伐材を使うことで、山を守る仕組みを作り、環境への意識も高められる
- 長期間使用する学習机を子供自身が作ることで、物を大事にする心を育める
- 親からの愛情や机を一緒に作った思い出を形に残せる
- 100%国産の木材を使用しており、子供たちの体にも安全
受賞に際しては、審査員やほかの受賞団体の皆さんからも応援の言葉をかけていただき、スタッフ一同「さらに多くの親子に、自分の手で学習机を作る体験を届けたい」と感じました。
その他のグッドライフアワード受賞プロジェクトの発案者は、高校生からシニアまで、幅広い世代に及んでいました。里山再生などの環境問題、過疎地域の活性化、農業と福祉の連携など、テーマもさまざま。どの団体も自分たちの活動によって「環境や暮らし、社会を変えていきたい」という強い想いで取り組んでいる様子が伝わってきました。
「6歳になったら机を作ろう!」プロジェクトの始まり
「6歳になったら机を作ろう!」プロジェクトは、子供とお出かけ情報サイト「いこーよ」と、高知県の木材加工会社である「ばうむ合同会社」が共同で企画・運営を始めたところからスタートしました。
次世代を担う子供たちに、人や自然とふれあい、さまざまな経験を通して学んでほしいと考える「いこーよ」と、次世代に元気な山を残して豊かな生活をつなぐため、山の本当の価値を多くの人に知ってもらいたい、と考える「ばうむ合同会社」。
それぞれの強みを生かし、高知の山での木こり体験や、机作りのイベントを開催してきました。
開始当時は高知県のみで開催していましたが、ご要望に応える形で、2015年7月からは東京でも学習机作りのイベントを開催。さらに2017年には滋賀県や東京八王子、2018年には埼玉県飯能市開催と、つながりがどんどん広がっています。
「6歳になったら机を作ろう!」イベント情報はこちら
「6歳になったら学習机を作ろう!」特集ページ先達が守ってきた山の恵みを次世代に残すために…
「6歳になったら机を作ろう!」イベントでは、日本の間伐材を使って学習机を作ります。この間伐材を材料にしているという点が、最大のポイントです。
山は雨水を蓄え、浄化し、川へと戻す役割を担っています。私たちが田畑を耕して米や野菜を収穫し、川や海の幸をいただきながら、今の豊かな生活が送れるのは、山が生きているからです。先達が代々山を守ってきたからこそ、今の私たちの暮らしは成り立っています。
しかし今、その山が危機的な状態に陥っています。人の手で植林された常緑の杉や檜などが生い茂った結果、落葉が減り下草も生えなくなり、山が本来持つ保水力や浄水力が失われてしまいました。間伐という形で人の手を加えることなく、今のまま山を放置すると、将来子供たちが大きくなった時、山はどうなってしまうのでしょうか…?
イベントでは、これらの山の役割と間伐の必要性を親子に伝えてから、机作り体験を始めます。自分たちの暮らしが山(自然)からの恵みを受けていることを伝え、少しでも山について気にかけてもらうことを大切にしています。
親子で学習机を一から作り上げる、その魅力を感じて
手作りで机を作り上げていく過程も、子供たちにとっては大きな学びになります。また親も、子どもが一生懸命がんばる姿や完成して喜ぶ姿など、さまざまな表情を目にすることができます。協力して机を作り上げる作業は親子の絆を深める経験になります。
学習机を手作りすることのメリット
- 山から材料を調達し、学習机が完成するまでを、自分で見て、触って、体感できる。
- 机製作の過程で多くの人の助けを借り、たくさんの「おかげさま」にふれられる。
- 机を完成させるという同じ目標を追いかけて、親子で協力し、喜びを分かち合える。
イベント参加後にいただいた感想
ひとつひとつの作業を、小さな手で仕上げていくことは大変でしたが、「できた!」という達成感や満足感が見てとれ、わが子のイキイキとした表情が印象的でした。
こどもや素人の大人ができる作業をうまく切り出していただいて、できる限り全般的な作業工程に関われたことがよかった。
お家に来るお友達にも自分で作ったと自慢しています。毎晩寝る前に机をとても綺麗に整頓してから寝ています。
おじいちゃん、おばあちゃんに自慢していました。椅子、袖机も自分で作りたいと思ったようです。
「いこーよ」では、この活動を全国に広め、各地域の山の間伐材を有効活用するとともに、「自宅の学習机は買うものではなく親子で作るもの」という文化を作っていきたいと思います。自然の恵みや人の助けを知り、多くの「おかげさま」にふれた子供達が、次世代にいい形でバトンをつなげるようになれば、と願ってやみません。