年度末になると、子どもが自分で作った作品や絵を大量に持って帰ってきますよね。成長が垣間見えるのはうれしいですが、年々増えていく作品の保管に頭を悩ませている家庭も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、整理収納アドバイザーでルームスタイリストの今村亜弥子さんに、上手な作品の保管方法や整理の仕方を聞きました。
収納方法には種類がある!? それぞれの特徴とメリット・デメリットを紹介

子どもが持ち帰った作品は「捨てるに捨てられない」と思う人は多いはず。ですが、そのままにしておくと、どんどん溜まっていき、家の中がゴチャゴチャになってしまいます。何かいい収納方法はあるのでしょうか。
「主な収納方法としては、『現物をそのまま収納』、『データ化して収納』、『見せる収納』の3つが挙げられます。作品の種類や大きさによって使い分けたり、ご家庭のスペースに合わせて選んだりするとよいでしょう」
それぞれの収納方法にはメリットとデメリットもあるということなので、収納方法ごとに紹介します。
現物をそのまま収納
文字通り、作品を箱などに入れてそのまま保存する方法です。作品そのものを処分したくない時にはこの方法が良いですね。
<メリット>
・いつでも取り出して見ることができる
・実際の作品がそのままの形で残る
<デメリット>
・大きさによっては場所をとる
・フタつきの箱でない場合、ほこりがかぶったり汚れたりする
・掃除がしにくい
・箱によっては中身が見えない
<ここがポイント>
きょうだいがいる場合は、子どもごとに箱を用意します。バンカーズボックスのようなフタつきのものを選ぶと、ほこりなどで汚れることもなく、積み重ねることもできるので便利です。また、軽い素材のものや側面に取っ手がついているものだと出し入れが簡単になります。
幼稚園以上の年齢なら、子どもに自分の箱があると認識させることも大事です。親の判断だけで残しておくのもいいですが、「箱に入る分だけとっておく」という決まりを作り、子どもに選ばせるとよりいいですね。とっておきたい作品を選ばせることで、管理することを少しずつ学んでいきます。
データ化して収納
作品を写真に撮って保存する方法です。現物を残さなくてもいい場合や、収納スペースがない場合にぴったりです。
<メリット>
・場所をとらない
・多くの作品を保存でき、子ども別、年齢別などに分けて管理しやすい
<デメリット>
・バックアップを取っていないと、データが消えてしまった場合にすべてなくなってしまう
・保存に慣れていないと、ただただデータが溜まるだけになってしまう
・実際の作品が存在しなくなる
<ここがポイント>
作品の写真だけを撮るのではなく、子どもに持たせて写真を撮るのがおすすめです。作ったときの子どもの年齢もわかり、見返したときも楽しいですよ。
見せる収納
家族の目に見えるところに飾ります。いつでも作品を眺めることができ、季節感のある作品などをインテリアの一部として楽しみたい家庭に向いています。
<メリット>
・子どもが喜ぶ
・インテリアに合わせておしゃれに飾るとアートのように楽しめる
<デメリット>
・飾りすぎると散らかって見える
・部屋にうまく溶け込めない可能性がある
・実質的には収納していない
<ここがポイント>
飾る場所は、小さなスペースでいいので、テレビの横など家族みんなが目を向ける方向や玄関、壁などにコーナーを作りましょう。新しい作品ができたら、子どもが自分で飾れるような場所にするのもおすすめです。
新しい作品を飾るときには、古い作品は処分するか、写真に撮ったり思い出ボックスに保管したりします。飾る範囲を広げすぎないことで散らかりを防止できます。そして子どもにどれを飾りたいかを選ばせることが大事です。そのときには、子どもが選んだものに決して文句はつけないこと。文句をつけてしまうと、子どもはがっかりして選ばなくなってしまいます。
このほかにも、絵や作品を期限付きで保管してくれるサービスや、まとめて本やCDにしてくれるサービスなどもあるそうです。それぞれにメリット・デメリットもあるので、各家庭に合ったやりやすい収納方法を選ぶといいですね。
作品別のおすすめ収納アイデア
子どもの作品といっても、その種類はさまざまですよね。絵や立体工作、賞状など、作品ごとにおすすめの収納アイデアを教えてもらいました。
絵などの紙作品の場合

写真のようなケースや、大きなファイルに作品を収納するのがおすすめです。子どもごとにケースやファイルを用意して、そこに入る分だけ保存するようにします。学期ごとや学年進級のタイミングで見直し、保存したいもの以外は処分することで、増えすぎてしまうこともなくなります。
賞状

賞状専用のファイルや100円ショップで売っているようなファイルを活用します。立派な賞状で常に見える場所においておきたいのであれば、部屋の雰囲気に合う額などを用意して飾ってもいいですね。
立体工作
紙、粘土、木など、さまざまな工作を持ち帰ると思いますが、例えば鉛筆立てや小物入れといった実用的なものは保存するのではなく使用しましょう。汚れたり壊れたりするかもしれませんが、使い切ってあげてください。
連絡帳など
子どもの成長が伺える連絡帳は、アルバムと一緒に保管してもいいですね。ママが思い出として取っておくのであれば、子どものものとして収納するのではなく、ママの大切なものをしまう収納スペースで保管する方法もあります。
捨てる? 捨てない? 断捨離のタイミングは…

いくら上手に整理して収納していたとしても、どこかで捨てなければいけないときがきます。どのタイミングで捨てる判断をすればよいのでしょうか。
「いらないものを『捨てる』のではなく、大切なものを『選ぶ』という考え方で進めるといいですよ」
「タイミングとしては、学期末や学年末、年末の大掃除の時、夏休みや春休みなど、節目がいいですね。とくに春休みは、新しい年度に向けての準備もあるので、保存する作品を見直すにはいい機会です」
ポイントは、子どもと一緒に作業をすることだそう。
「親が勝手に捨ててしまうのではなく、必ず子どもに選ばせるようにしましょう。年中くらいになるとだんだん選べるようになります」
このときに気をつけることは声のかけ方とのこと。
「『どれを捨てるか』という聞き方をすると、子どもはなかなか決めることができません。『この中で大切なものを選ぼうね』と声をかけてみてください。あらかじめ収納する箱の大きさを決めておいて、その中に入る分を選ぶようにすると、わかりやすいですね」
最初はなかなか決められず、全部取っておきたいと言うかもしれませんが、そのときは無理をせずに残しておいて良いそうです。今村さんも実際に経験されたようです。
「娘が幼稚園の頃、紙や空き箱などで作った作品を持って帰ってきては、おもちゃ箱に入れておくことがありました。作品はあっと言う間にボロボロになってしまい、もう使わないだろうと聞いてみてもなかなか捨てさせてくれませんでした」
「仕方がないとそのままにしていましたが、ある時まったく興味を持っていないことに気づき『取っておく?』と聞いてみたら『いらない』とあっさり」
「一時的にとても執着していますが、子どもの気持ちの動きは早いです。いつまでもいるだろうと思わず、定期的に取っておくかどうか確認する必要がありますね。子どもの成長は早いですから、自ら選べるようになるまで少し待ってあげてください」
タイミングをみて何度か聞いているうちに、子どもは子どもなりに責任を持って選ぶようになるとのことです。
「小さな頃から『自分で選ぶ』を身につけておくことは、自分の人生を自分の力で生きていくのにも役に立ちます。この機会にいい経験ができるといいですね」
子どもが大切だと一度言ったとしても、いつまでも保管し続けるわけではないので心配はなさそうですね。ママも「自分で選べるようになるまでの少しの間」とゆったり構えた方が、楽しく整理ができそうです。
「各家庭によって収納に使えるスペースも違いますので、自分に合った収納方法を見つけましょう。そして大切なのは『捨てる』のではなく『選ぶ』ということ。子どもの成長に合わせて、こまめに思い出を見直してみてください」
子どもは成長するにつれて次々に新しいものに挑戦して、新しい思い出もどんどん増えていきます。ママもこの機会に自分自身の心の整理も兼ねて、楽しみながら収納にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。