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口をつけて直飲みしたペットボトル、何日後まで飲んで大丈夫?

掲載日: 2015年4月17日更新日: 2016年11月18日水谷 映美

これからの季節、水分補給はとても大切。ペットボトル飲料を持ち歩く機会も増えますよね。でも、「口をつけて飲んだペットボトルの中で菌が増殖する」なんて話を聞いたことはありませんか?「飲みかけのペットボトル飲料は常温でどのくらい持ち歩いても安心なの? 」「口をつけても冷蔵庫に入れておけばOK?」など、誰もが気になる疑問について、株式会社エフシージー総合研究所の橋本一浩さんに教えていただきました。

飲みかけのペットボトルに潜む細菌の恐ろしさ!

ペットボトル飲料はコップと違って、一度で飲みきることは少なく、何回かに分けて飲む人が多いと思います。

しかし、実は1度口を付けたペットボトル飲料には、口の中の食べかすなどが入り込み、細菌が増殖するのに必要な、水分・湿度・栄養の3要素がすべて揃った状態になるため、常温下で長時間放置したペットボトル飲料の中には驚くほど多くの細菌が存在しているのだとか…!

では実際、口をつけたペットボトル飲料内の細菌は、時間経過とともにどのように増殖していくのでしょうか。エフシージー総合研究所の実験データを見てみましょう。


口をつけた場合とコップに移した場合でどれくらい違う?

実験対象は、500mlペットボトル飲料の「保存料無添加の麦茶」と「糖分の入ったスポーツ飲料」の2種類。一度ふたを開けたペットボトル飲料で、「直に口をつけて飲んだ場合」と「コップに移し替えて飲んだ場合」、それぞれの細菌の量を比較します。

【実験条件】
・室温27℃、湿度85%の部屋に置き、5歳の女児に2時間おきに計5回、10時間後まで30〜50mlずつ飲んでもらいました。
・食事は途中一回、おやつは数回とってもらい、歯は磨いていません。
・2時間ごとの一般細菌数を検査し、さらにそのまま24時間置いた状態も検査しました。

実験のデータがこちらです!

(株式会社エフシージー総合研究所 環境科学研究室 実験データより)

「麦茶、スポーツ飲料共に、直飲みした方は、時間が経過するごとに細菌がかなり増殖しています。特に4時間後から一気に細菌数が上昇していることがわかると思います。一方、コップに移し替えた場合は、いずれの場合も、24時間経っても細菌は検出されませんでした。また、保存料無添加という条件のせいでしょう、スポーツ飲料よりも麦茶の方が極端に細菌が増えています。また、スポーツ飲料はpH(水素イオン指数)が酸性のため、細菌の増殖速度がやや遅くなったとも考えられます。」と橋本さん。

確かに! 直に飲んだ場合とコップに移し替えて飲んだ場合でこれほどまでにハッキリと差が出るとは…。しかも、糖分が多く含まれているスポーツ飲料の方が細菌数も多いのかと思っていましたが、実際は麦茶の方が格段に多く、24時間後の結果に至っては、実に90倍の細菌数とは驚きです!


細菌の増殖による健康への影響は?

口をつけて飲んだペットボトル飲料を常温のまま持ち歩いていると、細菌がどんどん増殖していくことが実験結果からわかりました。しかし、これだけ細菌がいると、気になるのが健康への影響。

橋本さんいわく「食品に細菌が増殖することによって腐敗し、食中毒の原因となる細菌数の目安は1gあたり100万以上とされています。その点では、口をつけて飲んだペットボトル飲料をそのまま数時間持ち歩いて飲み続けたからといって、食中毒の原因になる可能性は少ないといえます。しかしながら、不衛生な飲料を口にして、必ずしも大丈夫とは言い切れませんね。」とのこと。

やはり、細菌が多くいる飲料を長く持ち歩いて飲み続けるのは少し不安です。小さなお子さんが相手なら、なおさら気をつけてあげたいですね。


細菌の増殖を抑える方法は?

では、細菌の増殖を抑えるにはどうしたらいいのでしょうか。

「細菌の増殖率は、気温によって大きく異なります。同じ常温といっても、真夏と真冬ではまったく条件が変わってくるので注意が必要です。気温が高いほど細菌は速く増殖しますので、冷蔵庫で保存すると細菌の増殖スピードは遅くなります。よって、一度開封したペットボトル飲料は、季節を問わず冷蔵庫で保管することがとてもオススメです。」

よく食品や飲料のパッケージに「開封後は冷蔵庫で保管してください」と注意書きがあるのは、このためだったんですね。

最も安全なのは、コップに移し替えて飲み、冷蔵庫に保管すること

「基本的には、『コップに移し替えて飲む』こと、さらに飲みきれなかった場合は冷蔵庫で保管するのが最も細菌の混入、増殖を防げるのでオススメです」と橋本さん。

とはいえ、外出先でコップに移して飲むことは、なかなか大変です。そのまま口をつけて飲むケースがほとんどでしょう。

「その場合は、開けたその日のうちに飲みきることを推奨します。もしも飲みきれなかった場合は、冷蔵庫に入れて保存し、翌日には飲みきってください。」

ついつい飲みかけのペットボトル飲料を鞄の中に入れっぱなしにしてしまったり、車の中に置いたままにしてしまいがち。でも、特に気温の高い場所に放置することで、細菌はどんどん増殖してしまうのですね! 体のためにも、飲みかけのものは帰宅したらすぐに冷蔵庫保存。そしてなるべく早く(遅くとも翌日中には)飲みきりましょう!

子どもの場合は、小さめのサイズを選ぶのも◎

さらに、子どもの場合には、一度で飲んでしまえるサイズの物を購入する事が大切なんだとか。

「小さなお子さんの場合、一度に多くの量を飲みきるのは難しいと思います。そこで、例えば500mlではなく350mlサイズなど、少ない量のペットボトルを選ぶことも一つの手だと思いますよ。」

せっかくのお出かけで体調を崩すことがないように、ペットボトル飲料の保管には十分気をつけて、これからの行楽シーズンを楽しみましょう!

お話を聞いたのは…

  • 橋本一浩さん

    株式会社エフシージー総合研究所 暮らしの科学部 環境科学研究室所属。信頼のおける商品情報を伝えるために、常に消費者の視点での商品の研究や評価を心がけている。テレビ番組の商品解説や、学会などでの研究発表も多数行い、いずれも高い評価を得ている。

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ライター紹介

水谷 映美

1979年生まれ。出版社勤務、受付嬢、社長秘書を経て、現在はwebを中心にライターとして活動中。男・女・女の3児の母。気になることは何でも試してみないと気が済まない典型的B型女子。子育て世代のリアルな声を反映した記事を得意としている。

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