肌や髪だけではなく、目にも影響を与える紫外線。そのため、欧米ではサングラスの着用を義務づけている国もあるそうです。でも、そもそも紫外線って、目にどんな影響を与えるのでしょうか。「子どもにもサングラスをかけさせたほうがいいの?」「紫外線のピークは?」そんな紫外線について気になる疑問を専門家に聞いてみました!
「目の病気には、実は紫外線が原因となっているものが多くあります」
そう話すのは、金沢医科大学・眼科学講座主任教授の佐々木洋さん。
まずは、紫外線が原因とされる目の病気には、どんなものがあるのか教えてもらいました。
紫外線の影響を強く受ける赤道直下の国では、紫外線が原因とされる瞼裂斑(けんれつはん)にかかっている子どもが、なんと日本の約4倍もいるそうです。日本でも、紫外線量の多い南方の地域では、こうした眼病を患っている人の比率がとても高いそう。
また、子どもは大人よりも紫外線の影響を受けやすいそうです。
「目の水晶体は、15歳ごろまで紫外線を通しやすいという特徴があります。おまけに子どもは、外にいる時間が長い分、紫外線にさらされる時間も長い。子どもこそ、目の紫外線対策を大切にしてほしいですね。」
では、子どもにもできる紫外線対策には、どんなものがあるのでしょう。
「子どもが嫌がらないのであれば、サングラスが効果的です。選び方のポイントは、サングラスに書かれた『UV400』という表記です。」
「UV400」とは、波長が400nmより短い紫外線のほとんどを不透過にする処理(UVカット400加工)がなされている、という意味。紫外線にはUVA、UVB、UVCの3種類があり、このうち波長の短いUVCはオゾン層で吸収されますが、UVA、UVBは地上まで届いています。
普通のプラスチックレンズでもUVBの一部はカットできますが、UVカット400加工がされたレンズでは、さらに長い波長であるUVA領域の紫外線までも全てカットできるのです。UVAは長い年月の間に水晶体に吸収され蓄積し白内障の原因のひとつになるといわれているので、目を守るにはすべての紫外線をカットできる「UV400」と書かれたサングラスを選ぶことが大切なんですね。
「紫外線は目に見えないものなので、濃いレンズでまぶしさを防いでも、紫外線まで防げているとは限りません。逆に濃いレンズでは瞳孔が大きくなるため、レンズと顔の隙間から開いた瞳を通して水晶体まで入る紫外線が増えます。つまり、白内障にかかりやすくなるのです。大切なのは、レンズの濃さではなく紫外線カットの数字です。」
屋外でスポーツをするときや、プールや海で泳ぐときも、UVカットのスポーツサングラスやゴーグルをかけたほうが良いそうです。
でも、恥ずかしがってサングラスを嫌がる子どももいますよね。そんな場合は、どんな対策があるのでしょうか。
「つばが7センチ以上ある帽子も、深めにかぶれば紫外線を50%ほどカットしてくれます。木陰など日の当たらない場所も、紫外線の影響を半分くらい軽減してくれるので、日差しの強い日中はそうした場所に移動するだけでも違ってきます。」
まだサングラスをかけられない赤ちゃんも、ベビーカーの日よけを広げたり、UVカット機能のあるカバーをかけるなど、直接日光が目に入らないように気をつけたいですね。
また、眼鏡をかけている子どもであれば、授業中だけでなく、外でもかけるようにするだけで予防につながるそうです。
「視力を矯正する目的で作られた眼鏡にもサングラス同様のUVカット効果があります。コンタクトレンズもUVカットの製品があるので、特に屋外でのスポーツをする子供ではそうしたものを上手に活用してみては?」
紫外線対策!と肩肘張らず、おしゃれを楽しむように帽子や眼鏡、サングラスを選んでみてはいかがでしょうか。
「太陽の高度が上がる5月〜8月が、紫外線量の最も多い時期。この時期に目が浴びる紫外線は冬場の2倍以上になるので特に注意が必要です。」
10時〜14時が最も紫外線が強い時間帯だといいます。また、うっすら曇っている日でも、紫外線の量はほとんど変わらないそうなので、油断は禁物です。
外遊びがますます増える季節。子どもの目を病気から守るためにも、目の紫外線対策、始めてみませんか?
紫外線が原因で視力が低下? 子どもへの影響は?

そう話すのは、金沢医科大学・眼科学講座主任教授の佐々木洋さん。
まずは、紫外線が原因とされる目の病気には、どんなものがあるのか教えてもらいました。
- 瞼裂斑(けんれつはん)
黒目の両脇が黄色くなって盛り上がる病気。炎症を伴う場合は充血の症状が見られる。日本人では小学3年生ごろから症状が出はじめ、中学生の3割、高校生の4割が患っている。充血などの症状がある場合は、ステロイド系の点眼薬で治療。失明の心配はないが、いったん発症した瞼裂班が消えることは少なく、進行すると手術が必要な翼状片(よくじょうへん)になるケースも。
- 翼状片(よくじょうへん)
白目の膜が黒目の中心に向かって伸びてくる病気。乱視や視力の低下を招き、進行すると手術が必要。強い紫外線を慢性的に浴びるとかかりやすく、0〜5歳に浴びた紫外線量が多い場合もなりやすいとされる。
- 白内障(はくないしょう)
ピント合わせの機能を持つ水晶体が硬くなり、混濁する病気。目がかすんだり、ぼやけて見えにくくなり、進行すると失明に至る。
- 紫外線性角結膜炎(しがいせんせいかくけつまくえん)
目が日焼けをした状態。痛みや充血といった症状が出る。自然治癒することが多いが、症状強い場合はステロイド系の目薬で治療する。
紫外線の影響を強く受ける赤道直下の国では、紫外線が原因とされる瞼裂斑(けんれつはん)にかかっている子どもが、なんと日本の約4倍もいるそうです。日本でも、紫外線量の多い南方の地域では、こうした眼病を患っている人の比率がとても高いそう。
また、子どもは大人よりも紫外線の影響を受けやすいそうです。
「目の水晶体は、15歳ごろまで紫外線を通しやすいという特徴があります。おまけに子どもは、外にいる時間が長い分、紫外線にさらされる時間も長い。子どもこそ、目の紫外線対策を大切にしてほしいですね。」
サングラス選びのポイントは「UV400」

「子どもが嫌がらないのであれば、サングラスが効果的です。選び方のポイントは、サングラスに書かれた『UV400』という表記です。」
「UV400」とは、波長が400nmより短い紫外線のほとんどを不透過にする処理(UVカット400加工)がなされている、という意味。紫外線にはUVA、UVB、UVCの3種類があり、このうち波長の短いUVCはオゾン層で吸収されますが、UVA、UVBは地上まで届いています。
普通のプラスチックレンズでもUVBの一部はカットできますが、UVカット400加工がされたレンズでは、さらに長い波長であるUVA領域の紫外線までも全てカットできるのです。UVAは長い年月の間に水晶体に吸収され蓄積し白内障の原因のひとつになるといわれているので、目を守るにはすべての紫外線をカットできる「UV400」と書かれたサングラスを選ぶことが大切なんですね。
「紫外線は目に見えないものなので、濃いレンズでまぶしさを防いでも、紫外線まで防げているとは限りません。逆に濃いレンズでは瞳孔が大きくなるため、レンズと顔の隙間から開いた瞳を通して水晶体まで入る紫外線が増えます。つまり、白内障にかかりやすくなるのです。大切なのは、レンズの濃さではなく紫外線カットの数字です。」
屋外でスポーツをするときや、プールや海で泳ぐときも、UVカットのスポーツサングラスやゴーグルをかけたほうが良いそうです。
サングラスを嫌がる子どもは、つばつきの帽子でも!

「つばが7センチ以上ある帽子も、深めにかぶれば紫外線を50%ほどカットしてくれます。木陰など日の当たらない場所も、紫外線の影響を半分くらい軽減してくれるので、日差しの強い日中はそうした場所に移動するだけでも違ってきます。」
まだサングラスをかけられない赤ちゃんも、ベビーカーの日よけを広げたり、UVカット機能のあるカバーをかけるなど、直接日光が目に入らないように気をつけたいですね。
また、眼鏡をかけている子どもであれば、授業中だけでなく、外でもかけるようにするだけで予防につながるそうです。
「視力を矯正する目的で作られた眼鏡にもサングラス同様のUVカット効果があります。コンタクトレンズもUVカットの製品があるので、特に屋外でのスポーツをする子供ではそうしたものを上手に活用してみては?」
紫外線対策!と肩肘張らず、おしゃれを楽しむように帽子や眼鏡、サングラスを選んでみてはいかがでしょうか。
5〜8月が紫外線のピーク!
本格的な紫外線対策は、いつごろから始めればよいのでしょうか。「太陽の高度が上がる5月〜8月が、紫外線量の最も多い時期。この時期に目が浴びる紫外線は冬場の2倍以上になるので特に注意が必要です。」
10時〜14時が最も紫外線が強い時間帯だといいます。また、うっすら曇っている日でも、紫外線の量はほとんど変わらないそうなので、油断は禁物です。
外遊びがますます増える季節。子どもの目を病気から守るためにも、目の紫外線対策、始めてみませんか?