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子供のアレルギー性鼻炎は完治できる? 原因・症状・対策も紹介

2018年10月18日宇都宮 薫

花粉が飛び交う春や秋だけでなく、頻繁に鼻をズルズル、グズグズさせている子どもも少なくありません。親であれば、アレルギー性鼻炎なのか心配になりますよね?

そこで今回は、日本医科大学耳鼻咽喉科教授の後藤穣先生に「子どものアレルギー性鼻炎」についてのお話を聞きました。

アレルギー性鼻炎とは?

まず、アレルギー性鼻炎とはどのようなものなのでしょうか。

「アレルギー物質である『アレルゲン』が原因となって起こるのがアレルギー性鼻炎です。アレルギー性鼻炎は、花粉などによる季節性のものと、ダニやペットのフケなどが原因となる通年性のものにわけることもできます

「もちろん、アレルギー性鼻炎のほかにも鼻炎はあります。いわゆる『鼻かぜ』といわれるウイルスや細菌を原因とした鼻炎。急激な温度変化やストレス、自律神経の働きの異常から起こるとされる血管運動神経性鼻炎です」

アレルギー性鼻炎や血管運動神経性鼻炎はサラサラとした透明な鼻水ですが、ウイルスや細菌による鼻炎はネバネバとした黄色い鼻水になるのが特徴です。こうした特徴を把握しておけば、いざ診療という時もスムーズに進められますね。

アレルギー性鼻炎にかかる子どもは多い? 少ない?

では、実際のところアレルギー性鼻炎にかかる子どもは増えているのでしょうか?

「たとえば、ハウスダストアレルギーを起こすダニアレルゲンは、通年吸い込んでしまうことが普通であるため、特に発症が早く、小学生ぐらいの年齢から見受けられるようになります。そして、これらが原因でアレルギー性鼻炎にかかる子どもは、確実に増えているのが現状です

「症状に出ない、目立たないこともあるのでわかりにくい場合もありますが、アレルギー体質の人は子どもの頃から発症しているもので、大人になって初めてアレルギー体質になるケースは、意外なほど少ないのです」

大人になって急に花粉症になったという話をよく聞きますが、それも少ないのでしょうか。

「花粉症は例外的で、大人になってから発症したという人も多くいます。これは、アレルギー物質である花粉が1年のうちでも限られた時期、期間しか吸うことがないという特性によるものです」

「ただ、ここ10年単位でスギやヒノキ花粉の増加が続いているせいか、花粉症についても低年齢化は進んでいます

ちなみに、副鼻腔炎や蓄膿症など細菌による鼻の疾患については、子どもでは減っている傾向にあるのだそう。後藤先生も断定は避けていましたが、これは衛生状態が向上したことが要因として考えられるそうです。


親から子に遺伝する? ポイントはアレルギーの「素因」にあり

アレルギーは遺伝するとよく聞きますが、実際はそう言えるのでしょうか。

今のところ『確実に遺伝する』と言い切れる証拠になるような遺伝子は見つかっていません。たとえば、花粉症については10年で10%も増加していることもあり、これが遺伝子だけのせいであるとは考えにくいです」

ですが、親がアレルギー体質である場合、子どももアレルギー体質であることも実際に多く、遺伝を全く無視することもできません。おそらくは、アレルギーを発症する『素因』は親から子に受け継がれることが多く、あとは環境次第ということなのでしょう」

「素因」とはあまり聞きなれない言葉かもしれません。

これは「親から誰よりも早く球を投げられる素質を受け継いでも、実際に早い球を投げられるようになるかはその後の練習次第である」…。こうした例における「素質」にあたるものと考えてもあながち間違いではないとのこと。

であれば、その素質をなるべく開花させない、遅らせるために親が良い監督になってあげる必要がありそうです。

子どものアレルギー性鼻炎は治るの?

子どもがアレルギー性鼻炎になってしまった場合、どうしたら治るかが親としては一番の気がかりです。ずばりアレルギー性鼻炎は治るものなのでしょうか?

答えは『治る』をどう捉えるかによります。アレルギーというのは一時的にかかる病気ではなく体質の問題です。完治することを『治る』とするなら、それは基本的にはできないことだと思ってください

「ですが、再び症状が出る可能性を残してしまうものの、体質改善によって軽い状態のままにコントロールして安定させること、医学的に『寛解』という状態にもっていける可能性は十分にあります」

「完治」とまでは言えないまでも、症状を抑えたままにできるというのは心強い話ですね。

アレルギー治療はしっかりとした検査が重要

親御さんから答えを急いだ相談を受けることも多いそうですが、「アレルギー治療はしっかりとした検査ありき」とのことです。

専門医としては、治療の前に、まずアレルギー検査を受けてもらいます。サラサラした透明な鼻水でも必ずしもアレルギー性のものとは限りませんし、アレルギー性のものであった場合もアレルゲンが特定できない限り、適切な治療、対処のアドバイスができないからです

複数の抗体の有無を同時かつ高精度で調べるには、採血検査が最適とのこと。特に症例の多いハウスダスト、花粉、ペット、ダニを含む13種類の抗体を検査してみるとよいでしょう。保険適用なので、大人でも6,000円程度、自治体によりますが、子どもであれば無料になることもあります。


根気よく治療することで「寛解」の期待が高まる

アレルギー検査を経てから医師にかかった場合、アレルギー性鼻炎はどのような治療を受けることになるのでしょうか?

即効性があるのは投薬による治療ですが、対症療法でしかないので根本的な治療にはなりません。そこで、ダニや花粉の場合では、アレルゲン免疫療法も平行して行うことをおすすめしています

「アレルゲン免疫療法とは、対応するアレルギー物質のエキスを体内に取り入れることで、アレルギー反応が出ない体質に変える治療です。アレルゲンを含む治療薬を皮下に注射する『皮下免疫療法』、治療薬を舌の下に投与する『舌下免疫療法』などがあります」

「これらを実施することで、先ほど出てきた『寛解』状態に持っていけることが期待できます。ただ、効果が見られるまで2年〜3年と長い時間がかかり、また特別な登録を済ませている医師でしかできないので、どこの病院でもできるわけではありません。ですが、ネットで検索すれば対応できる病院はすぐわかると思います

家庭でできる取り組みは?

アレルギー検査をしてみると、花粉、ハウスダスト、ペット、カビを原因としたアレルギーが最も多く見られるそうです。この結果から、親ができる家庭でのアレルギー性鼻炎対策は、原因を取り除くための丁寧な掃除や布団干しに尽きるといえそうです。

「たかが子どもの鼻水ぐらい」と侮っていませんか? 鼻水をすする習慣があると、鼻の中の菌が耳に入って中耳炎を起こしやすくなったり、気管支喘息を起こすリスクが高まったりするそう。そんな事態にならないためにも、怪しいなと思った場合は、まず検査を受けてみてくださいね。

お話を聞いたのは…

  • 日本医科大学 耳鼻咽喉科学教室准教授・医学博士 後藤穣先生

    1991年日本医科大学卒業。日本耳鼻咽喉科学会認定、耳鼻咽喉科専門医・専門研修指導医。日本アレルギー学会認定アレルギー指導医・代議員。日本医科大学附属病院 耳鼻咽喉化・頭頸部外科にてアレルギー性鼻炎、花粉症を専門に治療を行う。

  • 日本医科大学附属病院
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ライター紹介

宇都宮 薫

1980年生まれ。フリーランスの編集者・ライターとして活動中。4歳、1歳の娘と同業者の夫との4人家族。過去にバイク雑誌編集部やライター事務所に所属し、出産を機にフリーランスへ転向。独身時代から大の旅好きで、バイクや原付に乗って日本中を巡る。子持ちとなった今は、家族揃ってのおでかけに情熱を燃やしている。

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