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サバイバルスキルを身に付ける、防災ピクニックとは

掲載日: 2015年6月2日更新日: 2017年5月16日平野 友紀子
震災はいつ来るかわからないからこそ、日頃の備えが重要です。防災グッズを購入しただけで、安心していませんか? 災害時に何が本当に必要なのかは、使ってみて初めてわかるもの。そこで、災害時に役立つサバイバル術を楽しく学べる「防災ピクニック」について、防災講座や防災ピクニックを企画しているNPO法人ママプラグの冨川万美さんに伺いました。

防災の視点で行うピクニックを通じて、防災力をアップ!

画像提供:NPO法人ママプラグ
防災ピクニックとは、家族や友人とのピクニックを、防災仕様にアレンジした防災術のこと。

ピクニックのコースとして避難ルートを歩いて避難所の場所を確認したり、河原などでお弁当の代わりに非常食を食べたりして、自分の備えが自分や家族に合ったものかどうかを検証します。トライ&エラーを楽しみ、失敗を学ぶことで、より防災力を高めることができます」と冨川さん。

防災ピクニックを企画したきっかけは、東日本大震災で被災したママの声を聞いたことからだそう。

「『小さな子どもにとって乾パンは食べにくいかもよ』と言われて驚き、家族や子どもの目線で防災を考えることが重要だと教えてもらいました。防災に対してきちんと備えよう思ってはいるものの、使わなかったらもったいない、備えるのが面倒など、なかなか自分ごとにならない人も多いはず。そこで、楽しい要素を加え、取り組みのハードルを下げるために『ピクニック』という形をとることにしました。」

一番シンプルな防災ピクニックは、お弁当の代わりに非常食を持ってピクニックに行くこと。これなら家族や友達と、公園にお散歩がてらできそうですね。

防災ピクニックに必要なもの

画像提供:NPO法人ママプラグ
冨川さんに防災ピクニックを行う際の持ち物を伺いました。

防災ピクニック時の持ち物

  • 避難用のバッグ
  • 防災グッズ(携帯ラジオ、非常用ホイッスル、簡易トイレなど)
  • 非常食
  • 避難所までの地図
  • 筆記用具
「自宅に少しでも備えているものがあれば、それを持って行きます。非常食がない場合は、コンビニエンスストアでレトルト食品や缶詰を買って行くといいでしょう。」

「『今あるもので1日過ごせと言われたらどうする?』という視点で防災ピクニックを行うことで、自分たちには何が必要で、何が不要なのかが分かります。 最初から色々な種類の防災グッズを揃えるのではなく、足りないものをチェックすると良いですね。」

例えば、避難バッグが想像以上に重かった、離乳食を持って行ったのにスプーンを忘れてしまった、など 実際にやってみることで、本当に必要なものに気付くそう。自分の家族に必要なものを備えることが重要です。

非常食を食べる、防災グッズを使う…防災ピクニックの過ごし方

それでは、当日の過ごし方を紹介します。

オリジナルの防災マップを作る

ハザードマップと住宅地図を用意。住宅地図に、自宅、一次避難場所、家族の最終集合場所をチェックし、避難ルートを確認します。次にハザードマップを見ながら、避難ルートが安全か確認しましょう。

「オリジナルの防災マップの基本となる地図は、手書きの地図など、簡単なものでも構いません。 公衆電話の場所やコンビニエンスストアやガソリンスタンドなど助けになってくれる場所に子どもと一緒にシールを貼ると良いでしょう。」

ハザードマップは、市区町村の役所で配布されているほか、全国のハザードマップを検索・閲覧することができる「 国土交通省 ハザードマップポータルサイト」なども参考にしてください。

防災ウォークで危険箇所をチェック

オリジナルの防災マップを手に、避難ルートを歩き、避難所までの道のりを子どもと一緒に覚えます。崩れそうなブロックの壁、落ちてきそうな看板などがないかも合わせてチェックします。危険な場所があったら迂回ルートを検討し、気を付ける場所をマップに書き込みましょう。

「実際に歩いてみると地図では分からない危険が見えてきます。 子どもに『どこが危ないと思う?』とクイズ形式で質問しながら一緒にチェックすることで、危険を回避する視点を育てることができます。後で振り返れるように、危険な場所に気付いたらその場で地図に書き込みましょう。」

避難場所で非常食を試食

避難場所に到着したら、お弁当の代わりに非常食を試してみましょう。子どもが食べにくいもの、作りにくいものを確認しましょう。

「10年持つ非常食は保存料が多く、味がしょっぱくて子どもが嫌がることも。また、少量の水でお米が炊けて便利な ハイゼックス炊飯袋をゴミ袋と勘違いしていたママもいます。いざという時に慌てないよう、事前にチェックすることが重要です。」

防災グッズを使用

手巻きラジオを子どもに巻いてもらう、肺活量の少ない子どもにホイッスルが吹けるかどうかなど、楽しみながら実践しましょう。

「特に袋形の簡易トイレは使いにくく、女の子は目隠しも必要だったり、手が汚れてしまったりと気付くことが多いです。場合によっては、ダンボールとビニールで簡易トイレを作るなど、防災グッズに頼らない方法を考えるのも良いですね。」

自然の中で遊ぶことも防災訓練

普段走り回っている子どもでも、河川敷や砂利道では足を取られて歩きにくいもの。何度か出かけることで、上手に歩けるようになります。また、子どもが夢中になって遊べるものがあると、避難生活のストレスを緩和できます。紙風船など外で遊べるおもちゃを試してみましょう。

「裸足にサンダルでは砂利が足に入ってしまいます。夏でも靴下を持ち歩きましょう。また、避難する時に子どもを抱っこする場合でも、靴をはかせることを忘れずに。」

以上の工程を全部行うのが大変な場合は、どれか1つでもOK。それだけでも気付きや発見がありそうです。

楽しみながら防災目線を身に付ける

「子どもと訓練をする時は、必要以上に怖がらせないようにしましょう」と冨川さん。
「子どもは楽しくないと身に付きません。『絶対ダメ!』など厳しい言葉で教えるのではなく、ワイワイ楽しみながら教えましょう。」

特に子どもの場合、日頃から楽しみながら防災目線を身に付けることが重要のよう。よく遊びに行く公園への道のりや通学路などでも、親子で危険な場所がないかチェックしながら歩くこともできます。いざという時に落ち着いて行動できるように、防災を楽しく学びましょう。

※参考書籍

お話を聞いたのは…

  • NPO法人ママプラグ

    社会問題について、クリエイティブな視点での解決に取り組むNPO法人。ママを中心とした、すべての女性と社会を「PLUG (つなげる)」しながら、ハッピーライフを応援するプロジェクトを展開。防災力を楽しく身につける「ACTIVE防災」や、女性の生き方としてのキャリアを豊かにする「キャリア事業」、被災母子支援のなどを中心に活動中。

ライター紹介

平野 友紀子

ライター/エディター。温泉ソムリエの資格を持つ、大の旅好き、温泉好き。結婚をきっかけに、オーガニックアドバイザーを取得。0歳と2歳の年子育児をしながら、旅、ライフスタイル、オーガニック、女性の生き方、子育てをテーマに活動中。

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