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災害時に覚えておきたい即席ベビー用品の作り方

掲載日: 2015年8月18日更新日: 2017年5月16日井上マサキ
9月1日は「防災の日」。1923年9月1日に発生した関東大震災にちなんで制定されました。地震などの自然災害に対する備えを見直すタイミングですね。赤ちゃんがいるご家庭なら、なおさら備蓄品には気を使うもの。どれくらい備蓄をしたらいいのか、もしオムツなどが足りなくなったらどうしたらいいのか、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんに伺いました。

ベビー用品を備蓄する量の目安は「2週間から1か月」

災害時に不足することが考えられるベビー用品。いったいどれくらいの量を備蓄したらいいのでしょう? 高荷さんによると「2週間から1か月」とのこと。思っていたより多い気がしますが…。

「以前は3日分の備蓄が目安とされていました。しかし東日本大震災以降、政府の中央防災会議にてこの基準が1週間に拡大され、いま行政などでは『1週間の備蓄』を目安にしはじめています。南海トラフ大地震などの巨大地震が起きた場合、救援物資が行き届くまで自活できる量を想定しています。」

流通が回復して物資が行き渡るようになっても、最初に配られるのは水や食料など大人向けの物が中心です。赤ちゃん向けの物資はさらに遅れると考えておいたほうがいいとか。そのため、地震の場合は1週間分の量が目安でも、倍の2週間分用意しておくと安心だそうです。

常に必要な量をストックしておけるローリングストック法

オムツやミルクなど、普段の買い置きとは別に備蓄するとなると大変そうです。また、一度備蓄分を買い揃えても、オムツはサイズが変わってしまったり、ミルクの種類も変わってしまうもの。これを解決するのが「ローリングストック法」。1カ月分のオムツやミルクを買いだめしておき、使った分だけ補充します。これを繰り返せば、常に今必要なものが1カ月分備蓄されることになるそうです。

「赤ちゃん用品に限らず、防災のための備蓄品を揃える際、長期間保存可能な食料など、防災用のグッズを揃えようとすると高価になってしまいます。それによってハードルが上がり、また今度にしよう、と後回しになってしまっては元も子もありません。いつも買いだめする量をちょっと増やすくらいなら、防災のハードルが下がり、すぐにでもできるのではないでしょうか。」

身の回りのものをベビー用品の代わりに

日頃の備えはもちろん大切。しかし、災害時に手元にベビー用品がない場合は、なにか別のもので代用できないでしょうか。

ミルクは代用できる?

赤ちゃんのミルクについて「砂糖水や重湯で代用できる」とも言われます。脱水症状などの緊急時は代用品でも仕方ないのですが、高荷さんによると「赤ちゃんの命に関わるものなので、ミルクを多めに備蓄することを再優先に考えてください」とのこと。

防災用に長期間保存できるミルクとして『液体ミルク』を備蓄する方法もあります。海外ではポピュラーに使われており、湯冷ましなどが不要ですぐに飲ませることができるため、防災用品の中に1つ入れておくと安心です。日本では商品化されていませんが、輸入されたものが販売されているケースもあります。粉ミルクを飲ませる場合は、お湯を作る必要があるため、カセットコンロ・水・鍋も忘れないようにしてください。」

ビニール袋とタオルで簡易オムツ

紙オムツがない場合、繰り返し使える布オムツで代用することができます。布オムツがない場合は、スーパーなどの買い物の時にもらえるビニール袋とタオルで代用が可能です。

  1. ビニール袋を縦に切り裂き、赤ちゃんのお尻を置く部分にタオルを敷きます。タオルの代わりに女性用の生理用品などを入れると吸水性が高くなります。
  2. 写真提供:備える.jp
  3. ビニール袋の端をクルクル巻いて、大きさを調節します。
  4. 持ち手の前後を結べば簡易オムツのできあがりです。

写真提供:備える.jp
ビニール袋は耐水性は高いですが、同時に通気性は悪くなります。適度にお尻を外気に当てるなどして、ムレやカブレを防ぐようにしましょう。

お風呂はペットボトルとダンボールで

赤ちゃんをお風呂に入れるのが難しい場合、水タイプのお尻拭きがあれば全身を拭くことができます。お尻拭きは大人の体を拭くのにも使えるため、オムツやミルクと同様に多めに備蓄しておくといいでしょう。

どうしても体を洗い流したい場合は、ベットボトルのフタに穴を開ければ簡単なシャワーとして使えます。

写真提供:備える.jp
また、ダンボールに大きめのビニール袋を入れてお湯を貯めれば、簡単なバスタブとして使えます

写真提供:備える.jp
ダンボール+ビニール袋の組み合わせはポリタンクとしても使えるので、給水所から水を運ぶときも役立ちます。

使い道いろいろなビニール袋&ラップ

大きなビニール袋に穴をあけてかぶると、カッパとして使えます。熱を通さないので、冬場は防寒着としても役立ちます。中に丸めた新聞紙を入れると、空気の層ができて熱を蓄えますので、より暖かくなります。

ラップも災害時はとても有用です。食器に巻いて料理を盛れば、ラップを捨てるだけで食器洗いが不要になります。怪我をしたときは包帯の代わりにもなるそうです。

同時に家の中の安全も見直そう

しかし、せっかく備蓄品を用意しても、地震と同時に家が倒壊しては意味がありません。高荷さんは「『死なない環境』を作るのが先」と言います。

「1981年6月に建築基準法が見直され、耐震基準が大幅に見直されました。これより後の時期に設計・建築された建物なら安心ですが、これ以前の建物の場合は耐震補強工事が必要になるケースも多いです。また、部屋の中では、背の高い家具を壁に固定するなどの対策が必要です。災害時に避難所に行かなくても済むように、家の中で安全に過ごせる環境を作ってください。」

環境を作る、備蓄をする、どうしても困ったら身の回りのもので工夫する、という順番なのを忘れないようにしましょう。普段生活していると忘れがちな防災の意識。防災の日というタイミングで、見なおしてみてはいかがでしょうか。

お話を聞いたのは…

  • 高荷智也さん

    備え・防災アドバイザー/危機管理コンサルタント。「自分と家族が死なないための防災対策」と「経営改善にもつながる緊急時に役立つBCP」のポイントを解説するフリーの専門家。分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、テレビ・新聞・メディアなどへの出演多数。

  • 非常時に使える!ベビー用品の手作りレシピ集
  • 備える.jp

ライター紹介

井上マサキ

1975年生まれ。小学生の娘と保育園の息子を持つ二児の父です。SE時代に会社で男性初の育児休暇を取得。フリーライターに転身後も家事育児を続け「ほぼ主夫」状態に。IT、ネット、スマホが得意分野。路線図が好きで、額縁に入れて飾るほど。

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