いよいよ2019年10月から消費税が10%にアップします。「軽減税率」や「ポイント還元制度」など、今回の増税には難しい言葉が多数存在していて、わかりにくいのも事実。
そこで、家計にかかる負担を少しでも抑えるために、増税対策の基礎知識や、これまでとの違いについて、ファイナンシャル・プランナーの豊田眞弓さんに4つのポイントに絞ってお話を聞きました。
※情報はすべて2019年4月25日時点です。
消費税の増税前に買うべきものは? お得な買い方を種類別に解説【ポイント1】生活に欠かせないものは「8%据え置き」
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今回の消費増税でよく耳にする「軽減税率」。軽減税率とは、具体的にどういったことなのでしょうか。
「消費税が10%にアップされたあとも、生活に欠かせない商品については税率が8%に据え置かれる制度のことです。特定のものを購入する場合に限って、税率が軽減されることから『軽減税率』と言われます。日本では初めて適用される制度です」
具体的にはどのようなものが対象になるのでしょうか。
「お酒や医薬部外品、外食、ケータリングを除く飲食料品が対象です。そのほか、定期購読契約している新聞(週2回以上発行のもの)も軽減税率8%になります」
「なかには、対象商品なのかどうかの判断がつきにくいものもあります。まずは、対象外のものについて一例を紹介します」
みりん
「調味料のみりんや料理酒は、アルコール分が1%以上であれば、酒類に分類されます。そのため、軽減税率の対象外です。ただし、アルコール分が1%以下のみりん風調味料やノンアルコールビールは8%に据え置かれます」
医薬部外品
「商品に『医薬部外品』の記載があれば10%ですが、炭酸飲料や清涼飲料水であれば8%です。ただし、栄養ドリンクのように医薬部外品と飲料が混ざっている商品は注意が必要です」
「わかりやすいところでいうと、『オロナミンC』は8%ですが、『リポビタンD』は10%です。ややこしいため、おそらく小売店側で棚を分けて陳列するなどの工夫がされると予想されています」
水道水
「水に関しては、ミネラルウォーターなどの飲料水は『食品』に該当するので8%ですが、水道水は生活用水としても使われるので10%です」
ペットフード
「生活必需品ではないため、ペットフードも10%です」
軽減税率は、わりと細かな線引きがあって複雑ですね…。
「正直、複雑な仕組みではあります。とはいえ、飲食料品など生活に欠かせない商品に関してはそれほど大きな影響は出ないと思いますから、あまり気にしすぎないでいても大丈夫だと思われます」
【ポイント2】店内飲食は10%、テイクアウトは8%
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外食とケータリングについてはどうでしょう。
「外食は、原則的にはレストランやフードコートなど、店内で食べる場合は10%です。テイクアウトの場合は8%になります。出前もテイクアウトに含まれるため、基本的には8%です」
コンビニのイートインスペースで食べる場合はどうなるのでしょうか。
「最近の発表では、レジで自己申告する形に落ち着きそうです。イートイン利用は10%課税です」
「なお、ケータリングは、パーティー会場などで調理・配膳を含めて、飲食料品を提供するので、外食と同じく10%になります」
まだ、完全に決まっていない部分も多くありそうですね。
【ポイント3】キャッシュレス決済なら最大5%が還元!?
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今回の増税で、ほかに注目ポイントはありますか?
「目玉の対策として、『キャッシュレス決済によるポイント還元制度』があります。期間は、消費税がアップする2019年10月〜2020年6月までの9カ月間の予定です」
「支払い時にキャッシュレス決済を利用すると、中・小規模の小売店や飲食店などでは5%、大手系列のスーパーやコンビニなどでは2%のポイントが、国の税金を使って消費者に還元されます。大企業には国からのポイント還元はありませんが、独自に行うところもあるかもしれません」
「ポイント還元の対象は、クレジットカードやデビットカード、『Suica』などの電子マネー、『PayPay』に代表されるQRコード決済などです。ただし、コンビニのようなフランチャイズチェーンの店舗は、母体が大手なので還元率が2%に下がります」
2%とはいえ、還元されれば実質8%の消費税で購入できるということですね。
「軽減税率対象の商品でもポイント還元を受けられますから、中・小規模の店舗で対象商品を買えば、8%の消費税のまま5%が還元されます。つまり、実質3%程度の消費税で買い物ができます」
「ただし、中・小規模の店舗では、そもそもの販売価格が大手スーパーなどに比べて高い場合もあります。そのため、どこで買えばお得になるのかは、細かな計算が必要になるケースもあります」
とはいえ、せっかくの制度なので2020年6月までは、うまく活用していきたいですね。
家計管理が苦手な人はクレジットカードの多用に注意
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キャッシュレス決済を使う際に、気をつけるべき点はありますか?
「自分の生活圏の中で使うお店が、どんなキャッシュレス決済に対応しているのか確認しておきましょう。電子マナーなら何が使えるのか、QRコード決済ならどの会社のものを導入しているのか調べてから、使うものを選びましょう」
豊田さんによると、キャッシュレス決済の中でもQRコード決済は、店舗側の導入の負担が軽いので、個人商店や地方でも対応するところが増えているそうです。
「また、そもそも家計管理が苦手という人は、チャージにクレジットカードを紐付けない方法が良いと思います。クレジットカードによるチャージだと、実際の引き落とし日がズレてしまうため、管理が少しややこしくなります。現金チャージや、銀行口座からの資金移動にすれば、家計管理がわかりやすくなると思います」
ポイントが付くからとクレジットカードを多用すると、家計管理が混乱するケースもありそうです。家計管理が苦手な人は、できるだけわかりやすい方法を取り入れましょう。
「また、覚えておいてほしい点としては、『詳細がまだ決まっていない部分もある』ということです。これから決定していくはずなので、ニュースをマメにチェックしてください」
キャッシュレス決済のポイント還元制度については、国側でもこれから詳細を詰めていく段階。経済ニュースなどをチェックして、うまく対応できるようにしたいですね。
【ポイント4】消費税がかからないものもある!?
今回の増税ポイントは、軽減税率とキャッシュレス決済でしたが、ほかにも増税対策で知っておくべきことはありますか?
「そもそも、消費税がかからないものもあります。代表的なのが、保険料や家賃、土地、個人間で売買するものなどです。たとえば、不動産だと建物には消費税がかかりますが、土地にはかかりません。さらに、不動産業者から購入するのではなく、個人の売主から購入すれば建物でも消費税はかかりません」
個人間の売買とは、ネットオークションなども含まれるのでしょうか。
「ネットオークションやネットフリマなども含まれます。質の問題はありますが、こちらも上手に使えば家計の負担を軽減できるはずです」
「増税は家計が苦しくなるイメージがつきものですが、キャシュレス決済や、こうした個人間売買も活用できるので、あまり構えすぎずにいる方がいいと思います」
すべてのものが10%にアップするわけではない今回の消費増税。なかでも、飲食料品に関しては軽減税率が広く適用されるので、キャッシュレス決済などをうまく使いながら、家計管理を上手にやっていきたいですね。