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ラップで応急処置!? 子どものうっかり日焼け対処法

掲載日: 2015年7月24日更新日: 2016年11月14日衣山 泉

屋外で水遊びをしている間に、塗ったはずの日焼け止めが流れて子どもがうっかり日焼けをしてしまうことありますよね。肌が赤くはれて痛がるわが子を見るのはつらいもの。そこで日焼け後の対処法を「わかばひふ科クリニック」の野崎誠院長に伺いました。

日焼け=やけど。まずは冷やすこと!

太陽が容赦なく照りつける昼間でも、子どもは外遊びが大好きですよね。短時間でも、夢中で遊んでいるうちに肌が真っ赤に日焼け! なんてことは珍しくありません。でも肌がヒリヒリと痛むのは子どもには耐えがたいもの。こんな時、どのように処置をしたらいいのでしょうか?

日焼けは熱傷(やけど)を起こしているわけですから、熱傷の初期対応と同様の処置が有効です。まずは冷やすこと。とにかく長く! が鉄則です。水道水(流水)で構いませんから長く冷やしましょう。」

「物理的に肌の温度を下げればいいので、保冷剤でもいいです。その場合はしっかりと当てて冷やします。ただし、冷却ジェルシートの使用はおすすめできません。冷却ジェルシートはただひんやり感じるだけで、皮膚温度を物理的に下げているわけではなく、むしろ肌に刺激になり逆効果です。」


痛みが強いときにはラップで保護する閉鎖療法も

冷やしてもひりつくような時にはラップを巻くことも有効ですよ。」

ラップ!? 台所にある、あの食品用ラップでいいんでしょうか?

「問題ありません。これは傷を樹脂で覆って露出させないことで痛みが少なくより早く治る『閉鎖療法』という治療法なんです。」

閉鎖療法(湿潤療法)とは、ケガをした時など、患部を消毒せず湿った状態のまま維持することで皮膚細胞が増殖する仕組みを利用した治療法で、近年主流になりつつあります。やけどの治療にももちろん有効で、特にやけどによるひりひりとした痛みは空気に触れることで発生するため、空気を遮断するのにラップが役立つというわけですね。ワセリンやオリーブオイルなどを塗ると、より密着するので効果的です。

「ただ、部位や熱傷(やけど)の深さ、治療時のトラブルなどによって傷跡が残ってしまうこともありますので、水ぶくれができていたり日焼けの範囲が広い場合には、できるだけ早く医療機関を受診してください。」

軽度の日焼け(やけど)であれば自宅でのケアで問題ありませんが、膿が出てじゅくじゅくしたり、水ぶくれができたり、背中一面が赤くなるなど広範囲の日焼けだと、やや重症。軽く考えず、すぐに受診しましょう。また高熱が出たり、数日経ってから水ぶくれができるケースも。子どもの体に異変を感じたら、自己判断せずに医師の判断を仰ぐよう心がけましょう。


冷やした後は保湿剤でしっかりケア

日焼けのケアは「しっかり冷やしてから保湿」が定石ですが、保湿はどのタイミングで行ったらいいのでしょうか? 痛みがなくなってから?

保湿はどのタイミングでも効果はありますので、特に注意することはありません。赤くなった時も、保湿剤が物理的な保護膜になるので有効なこともあります。ただヒリヒリ痛みがある場合は、化粧水などの伸びのよい保湿剤だと刺激が強く出る可能性があり、あまりおすすめできません。刺激が少なく、軟膏のようにべったりとした質感の保湿剤を使用しましょう。水ぶくれになった時にも、専門的な治療開始までの一時的なものであれば問題はないと考えます。」

保湿アイテムは低刺激でしっとりするタイプのものであれば何でも構わないそう。ちなみにわが家では、軽度のやけどにはタイガーバームを使用しています。野崎先生に聞いたところ「OKですが、いろいろな成分が入ったものだとかぶれのリスクが高くなりますのでご注意を」とのこと。

日焼け後の肌はデリケートなので、どうやら子どもにはメントール入りのローションや、ママの美白ローションなどを使うのは避けた方がよさそうです。かぶれが心配なら、ベビーや子ども用ローション、ワセリンなどを用意しておくといいですね。


日焼け後はお風呂OK?

日焼け後のお風呂はいつから入って大丈夫ですか? 夏はよく汗をかくし、ほこりや土で体が汚れているのに、子どもは「痛いからお風呂は嫌!」と嫌がることが多いんですよね…。

水ぶくれで皮がむけてさえいなければ、お風呂に入っても大丈夫です。でも痛みやひりつきがあるなら、ぬるま湯位にとどめておいたほうがいいでしょう。皮膚の温度が上がると痛みやひりつきが強くなりますから、シャワーで済ませたほうが刺激は少なくて済ますよ。日焼けした部分が汚れているのなら流水で洗い、汚れた部分には石けんを使ってくださいね。」

しかしゴシゴシこするのは厳禁! 日焼けした肌を傷めてしまわないよう、優しく流すだけで十分です。

日焼けでめくれた皮…自分でめくってもOK? 

触らずそっとしておくように言っても、痛みや治り具合が気になるのか、子どもは患部をいじりがち。めくれてきた皮を自分でメリメリッとはがしたりしますが、大丈夫なんでしょうか?

「触ってもいいかどうかは、いつ皮がめくれたのかによります。受傷(日焼け)後にすぐに皮がめくれ、その下に皮膚がなくジクジクしているようであれば、触ってはいけません。細菌感染を起こすおそれがあるので、皮膚科を受診してください。数日経ってめくれた皮の下に皮膚がしっかりと張っているようであれば心配いりません。自分で皮をめくっても出血がなければ問題はないですよ。」

「ただし、新しい皮は見た目が普通であったとしても、バリア機能は以前よりも少し落ちている可能性があり、カサカサしやすい傾向がありますので、いつもよりもしっかりと保湿・保護する必要があります。」

まれに光線過敏症でかゆくなる人もいるようですが、かゆみが出るのは乾燥のサイン。日焼けした部分は特に乾燥しやすいので念入りに保湿をしましょう。

まだまだ皮膚が薄い子どもにとって、日焼けは大きなダメージ。思いのほか重症化することもあります。日焼け後のケアはもちろん大切ですが、まずは日焼けをしないための対策に気をつけたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 野崎誠先生

    山形大学医学部卒業後、国立成育医療研究センター皮膚科勤務などを経て、2013年に東京都武蔵野市吉祥寺にわかばひふ科クリニックを開業。専門は小児皮膚科で、アトピー性皮膚炎とあざの診断・治療に力を入れている。院内Websiteのブログにて、今、この時に気をつけるべき皮膚の病気について、情報を発信している。

  • わかばひふ科クリニック

ライター紹介

衣山 泉

幼稚園児の娘、フリーライターの夫、2匹の愛猫と福岡在住。旅行も外出も大好きだが、平日は娘のお迎え以外はほぼ家にこもりっぱなしのインドア派なので、体力が追いつきません。ほしいものは、タフな体。余力のある週末には日帰り温泉や蚤の市、焼き物の里めぐりに出かけています。

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