昔から「読書の秋」と言われるように、涼しい秋は読書しやすい季節ですね。読書といえば、よく「読書をすると頭がよくなる」と聞きますが、本当なのでしょうか? 「将来の学力は10歳までの『読書量』で決まる!」の著書である、松永暢史さんにその理由や読書習慣について話を伺いました。
本が子どもの学力を伸ばしてくれる理由は何なのでしょうか?
「当たり前ですが、日本では日本語で教育が行われています」と松永さん。
「授業や教科書、試験にいたるまで、すべて日本語です。 日本語を用いて、ものごとを理解・表現する力を、私は『日本語了解能力』と読んでいます。『国語力』とも言い換えることもでき、これこそが学力の土台。頭が良い子は国語力を身に付けています。」
それでは、どうしたら国語力を高めることができるのでしょうか。
「 国語力は、国語の勉強だけでは身に付きません。言葉とは生きているもの。実際の文章の中でどう使われ、どう使いこなせばいいかは、感覚的なものです。それを磨くためには、生きた言葉が詰まっている本を読まなければなりません。読み聞かせをスタートとして、本の世界に入っていくことで、語彙力から文章理解力、思考力、集中力、表現力など、学力向上に欠かせない力が養われていくのです。」
まだ言葉がわからない赤ちゃんの頃でも読み聞かせをすることで、脳にたくさんの刺激が与えられ、自然と日本語の音になじんでいくそう。特別なことをしなくても、自然と国語力が高められるのですね。
何歳までにどれくらい本を読めば効果的なのでしょうか?
「 とにかく『量』を積むことが大切。それは1冊を何回でもいいですし、飽きっぽい子どもならたくさんの本を読むのもいいでしょう。仕事や家事が忙しいとなかなかまとまった時間が取れないかもしれませんが、1日の中ですき間時間をうまく見つけて継続していけば、トータルの読書量は確かなものになります。」
「一般的に 子どもが本を読まなくなる境目は10歳といえます。この年齢は子どもの社会性がぐっと高まる時期。テレビやゲーム、スマホ、漫画などに触れ、自由に使えるようになると、読書が生活習慣として根づいている子ども以外は本を読まなくなります。そうならないためにも、10歳までに読書をする習慣をつけましょう。」
幼いうちから絵本の読み聞かせを通じて、毎日の生活の中に、子どもが本に集中する機会を可能な限り作りたいですね。
「 読み聞かせは音を聞かせるためのものなので、もっとも大事なのは、すべての音が子どもに聞こえるように読むこと。口をしっかり開け、意識して文字を一音一音ハッキリ読むことで、助詞の『て・に・を・は』や助動詞の『〜です』『〜だ』などの文法を体感的に覚えることができます。私はこれを『一音一音ハッキリ読み』と呼んでいます。」
一音一音ハッキリ読みをすると、音にリズムが出て、聞いているほうも楽しくなります。まずは3カ月間続けてみましょう。
・ 「おやおや、おやさい」(作/石津ちひろ、絵/山村浩二、福音館書店)
今日は野菜たちのマラソン大会。「かぼちゃのぼっちゃん かわにぼちゃん」など、韻を踏んだ言葉遊びが楽しい。

・ 「すっぽんぽんのすけ」(作/もとしたいづみ、絵/荒井良二、鈴木出版)
お風呂上がりは裸が一番。「すっぽんぽんのすけ」が登場だ。「ござんす」など、時代劇的な言い回しがおもしろい。


・ 「へんしんトンネル」(作・絵/あきやまただし、金の星社)
かっぱが「かっぱかっぱ…」とつぶやきながらトンネルをくぐると、「…ぱっかぱっか」と馬になって登場。1歳児も小学生も、みんなはまる楽しい絵本。


・ 「あいうえおうさま」(文/寺村輝夫、絵/和歌山静子、デザイン/杉浦範茂、理論社)
50音にすべてゴロの良い文章が。おうさまの脱力してしまうお話がたくさん。ひらがなを覚えるのにも最適。


・ 「わがままいもうと」(作/ねじめ正一、絵/村上康成、教育画劇)
妹のために、お兄ちゃんは汗をかきかき大暴走。がんばれ!と応援してしまう楽しい1冊。


・ 「こんとあき」(作・絵/林明子、福音館書店)
おばあちゃんが作ったきつねのぬいぐるみのこん。仲良しのあきと2人でおばあちゃんに会いに行くことに…。幼い子の心をすくい取る瑞々しい文章と絵。

「 他に好きなことや興味があるものがあれば、それに関する絵本を選ぶと良いでしょう。毎月家族で10冊本を買う、食事の話題を本にする、など本や読書を身近に感じさせることが重要です。」
また、毎日同じ時間に読書する習慣付けをするのも大切だとか。
「 1日の中で本を読む時間を決めてしまいましょう。この時間にこれをやる、というルールがベースにあると、子どもに良い習慣が身に付きやすくなります。一番良いのは寝る前。寝る直前に入った情報を、脳が睡眠中に処理し、知識が定着すると言われています。子どもの国語力を高め、頭を良くするうえでとても有効です。」
子どもを本好きにするには、親が本を読んでいる姿を見せることが大切だそう。家族で読書習慣を身に付けたいですね。
「日本語了解能力(国語力)」がすべての土台

「当たり前ですが、日本では日本語で教育が行われています」と松永さん。
「授業や教科書、試験にいたるまで、すべて日本語です。 日本語を用いて、ものごとを理解・表現する力を、私は『日本語了解能力』と読んでいます。『国語力』とも言い換えることもでき、これこそが学力の土台。頭が良い子は国語力を身に付けています。」
それでは、どうしたら国語力を高めることができるのでしょうか。
「 国語力は、国語の勉強だけでは身に付きません。言葉とは生きているもの。実際の文章の中でどう使われ、どう使いこなせばいいかは、感覚的なものです。それを磨くためには、生きた言葉が詰まっている本を読まなければなりません。読み聞かせをスタートとして、本の世界に入っていくことで、語彙力から文章理解力、思考力、集中力、表現力など、学力向上に欠かせない力が養われていくのです。」
まだ言葉がわからない赤ちゃんの頃でも読み聞かせをすることで、脳にたくさんの刺激が与えられ、自然と日本語の音になじんでいくそう。特別なことをしなくても、自然と国語力が高められるのですね。
10歳までが、子どもを本好きにするチャンス

「 とにかく『量』を積むことが大切。それは1冊を何回でもいいですし、飽きっぽい子どもならたくさんの本を読むのもいいでしょう。仕事や家事が忙しいとなかなかまとまった時間が取れないかもしれませんが、1日の中ですき間時間をうまく見つけて継続していけば、トータルの読書量は確かなものになります。」
「一般的に 子どもが本を読まなくなる境目は10歳といえます。この年齢は子どもの社会性がぐっと高まる時期。テレビやゲーム、スマホ、漫画などに触れ、自由に使えるようになると、読書が生活習慣として根づいている子ども以外は本を読まなくなります。そうならないためにも、10歳までに読書をする習慣をつけましょう。」
幼いうちから絵本の読み聞かせを通じて、毎日の生活の中に、子どもが本に集中する機会を可能な限り作りたいですね。
読み聞かせは、音を聞かせるのが目的
絵本を読み聞かせる時は、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか?「 読み聞かせは音を聞かせるためのものなので、もっとも大事なのは、すべての音が子どもに聞こえるように読むこと。口をしっかり開け、意識して文字を一音一音ハッキリ読むことで、助詞の『て・に・を・は』や助動詞の『〜です』『〜だ』などの文法を体感的に覚えることができます。私はこれを『一音一音ハッキリ読み』と呼んでいます。」
一音一音ハッキリ読みをすると、音にリズムが出て、聞いているほうも楽しくなります。まずは3カ月間続けてみましょう。
年齢別・読み聞かせに適した「音の良い」オススメ絵本
では、松永さんに伺った年齢別に子どもに読み聞かせたい「音の良い」絵本を紹介します。お子さんに読み聞かせる絵本選びの参考にしてください。1歳・2歳の読み聞かせにおすすめの絵本
赤ちゃんの頃から読み聞かせできる絵本。同じ本を繰り返し読んであげましょう。・ 「おやおや、おやさい」(作/石津ちひろ、絵/山村浩二、福音館書店)
今日は野菜たちのマラソン大会。「かぼちゃのぼっちゃん かわにぼちゃん」など、韻を踏んだ言葉遊びが楽しい。


・ 「すっぽんぽんのすけ」(作/もとしたいづみ、絵/荒井良二、鈴木出版)
お風呂上がりは裸が一番。「すっぽんぽんのすけ」が登場だ。「ござんす」など、時代劇的な言い回しがおもしろい。


3歳・4歳の読み聞かせにおすすめの絵本
ページも文字も少なめで、ストーリーもシンプルなので、音に集中できます。自分で読むスタートにも。・ 「へんしんトンネル」(作・絵/あきやまただし、金の星社)
かっぱが「かっぱかっぱ…」とつぶやきながらトンネルをくぐると、「…ぱっかぱっか」と馬になって登場。1歳児も小学生も、みんなはまる楽しい絵本。


・ 「あいうえおうさま」(文/寺村輝夫、絵/和歌山静子、デザイン/杉浦範茂、理論社)
50音にすべてゴロの良い文章が。おうさまの脱力してしまうお話がたくさん。ひらがなを覚えるのにも最適。


5歳・6歳の読み聞かせにおすすめの絵本
文章が長く、話の内容も小学生が主人公など、大きい子向けの絵本。読み聞かせで集中力が鍛えられます。・ 「わがままいもうと」(作/ねじめ正一、絵/村上康成、教育画劇)
妹のために、お兄ちゃんは汗をかきかき大暴走。がんばれ!と応援してしまう楽しい1冊。


・ 「こんとあき」(作・絵/林明子、福音館書店)
おばあちゃんが作ったきつねのぬいぐるみのこん。仲良しのあきと2人でおばあちゃんに会いに行くことに…。幼い子の心をすくい取る瑞々しい文章と絵。


読書嫌いな子に本を好きになってもらうには
読み聞かせをしようと思っても、なかなか興味を示してくれない場合、どうすればいいのでしょう?「 他に好きなことや興味があるものがあれば、それに関する絵本を選ぶと良いでしょう。毎月家族で10冊本を買う、食事の話題を本にする、など本や読書を身近に感じさせることが重要です。」
また、毎日同じ時間に読書する習慣付けをするのも大切だとか。
「 1日の中で本を読む時間を決めてしまいましょう。この時間にこれをやる、というルールがベースにあると、子どもに良い習慣が身に付きやすくなります。一番良いのは寝る前。寝る直前に入った情報を、脳が睡眠中に処理し、知識が定着すると言われています。子どもの国語力を高め、頭を良くするうえでとても有効です。」
子どもを本好きにするには、親が本を読んでいる姿を見せることが大切だそう。家族で読書習慣を身に付けたいですね。