昔は、「頭の形がよくなる」とも言われ、多くのママが実践していたうつぶせ寝。しかし今は、SIDS(乳幼児突然死症候群)につながる要因として、避ける傾向にあるようです。そこで、うつぶせ寝とSIDSの関係について、専門家に聞きました。
「SIDS」とは、英語名の「Sudden Infant Death Syndrome」の頭文字をとったもので、日本語では「乳幼児突然死症候群」と言われます。何の前ぶれもなく、それまで元気だった1歳未満の赤ちゃんが突然死亡する病気で、死亡状況調査や解剖検査でも、はっきりとした原因がわからないのが特徴です。
ただ、最近ではSIDSにつながる3つのリスクがあることがわかってきました。
「SIDSは3つのリスクが重なったときに初めて起こると考えられています。3つのリスクとは 、体質、発達が不安定な時期、外因です。うつぶせ寝は、この中の“外因”に当たります」こう話すのは、京都第二赤十字病院小児科部長の長村敏生さん。
1歳未満の赤ちゃんは、20秒以下の生理的な無呼吸をしばしば起こしているのだそうです。しかし、無呼吸になっている状態を察知して呼吸を再開する“覚醒反応”を起こすことで呼吸を取り戻します。この覚醒反応が正常であれば、たとえうつぶせ状態で鼻と口がふさがれても、顔の位置を自分でズラし、呼吸を確保できるのです。
しかし、この覚醒反応が起こりにくく、なおかつ無呼吸になりやすい子どももいます。これが一つ目のリスク“体質”です。
一般的に、覚醒反応の遅さは、成長とともに正常になっていくものですが、生後半年未満は、二つ目のリスクである“発達が不安定な時期”のため、この体質の影響を受けやすくなります。
SIDSは、この2つのリスクに、人工乳やタバコの煙といった三つ目のリスク“外因”が加わることで起こると考えられていて、この外因の一つに挙げられるのがうつぶせ寝なのです。
「うつぶせ寝は、確かにSIDSのきっかけの一つと言われています。ただし、知っておいていただきたいのは、決してSIDSの“原因”ではないということです。」
「残念ながら、覚醒反応が起こりにくい体質かどうかは、調べることができません。ですから、他のリスクを減らすという意味で、特に生後半年までの赤ちゃんは、うつぶせ寝をできるだけ控えたほうが安心かと思います。」
直接的な原因ではないにせよ、SIDSにつながるリスクをなるべく減らすために、外因の1つであるうつぶせ寝を避けよう、ということなのですね。ほかにも、喫煙やアルコールの摂取も、SIDSの外因の一つ。できるだけ避けたほうがリスクを下げられます。
では、生後半年を過ぎたら、うつぶせで寝かせても大丈夫なのでしょうか?
「発達には個人差もあるので、寝返りができるかどうかが一つの目安です。そのころには覚醒反応も発達してきていますし、そもそも同じ姿勢で寝かせ続けるのも難しくなってきます。SIDSは、2カ月〜5カ月をピークとして6カ月以内の赤ちゃんに多く発生する病気。生後半年以降は発生件数が下がっていきます。」
「しかし、仰向けに寝かせていても、寝返りによるうつぶせ寝で突然死しているケースも報告されているので、生後半年以降も1歳になるまでは、気づいたらうつぶせ寝にするくらいの注意はしてもよいと思われます。」
「一方で、うつぶせ寝には、熟睡しやすい、呼吸がしやすい、嘔吐しにくいという側面もありますので、生後1歳を過ぎたら、あまり神経質になりすぎないよう見守ってもらえたらと思います。」
さらに長村さんは、赤ちゃんを寝かせるときの体勢だけではなく、寝かせるときの環境にも注意してほしいと話します。SIDSを防ぐための注意点には、以下のようなことがあります。
厚着は、胸の動きを抑制する上、体温が上がりやすくなるため、呼吸がしにくくなる恐れがあるそう。また、やわらかい寝具や枕、ぬいぐるみは、赤ちゃんの鼻や口をふさいでしまう可能性があります。
「SIDSは、およそ6,000人に一人という、決して低くない発生率です。他人事と思わず、リスクを減らすためにも、特に生後半年までは、できるだけうつぶせ寝を避け、こうした周りの環境にも注意してほしいと思います。」
SIDS(乳幼児突然死症候群)につながる3つのリスク

ただ、最近ではSIDSにつながる3つのリスクがあることがわかってきました。
「SIDSは3つのリスクが重なったときに初めて起こると考えられています。3つのリスクとは 、体質、発達が不安定な時期、外因です。うつぶせ寝は、この中の“外因”に当たります」こう話すのは、京都第二赤十字病院小児科部長の長村敏生さん。
1歳未満の赤ちゃんは、20秒以下の生理的な無呼吸をしばしば起こしているのだそうです。しかし、無呼吸になっている状態を察知して呼吸を再開する“覚醒反応”を起こすことで呼吸を取り戻します。この覚醒反応が正常であれば、たとえうつぶせ状態で鼻と口がふさがれても、顔の位置を自分でズラし、呼吸を確保できるのです。
しかし、この覚醒反応が起こりにくく、なおかつ無呼吸になりやすい子どももいます。これが一つ目のリスク“体質”です。
一般的に、覚醒反応の遅さは、成長とともに正常になっていくものですが、生後半年未満は、二つ目のリスクである“発達が不安定な時期”のため、この体質の影響を受けやすくなります。
SIDSは、この2つのリスクに、人工乳やタバコの煙といった三つ目のリスク“外因”が加わることで起こると考えられていて、この外因の一つに挙げられるのがうつぶせ寝なのです。
うつぶせ寝はSIDSの“原因”ではなく“きっかけ”の一つ
勘違いしてはいけないのが、うつぶせ寝をしたからと言って必ずしもSIDSになるわけではない、ということ。「うつぶせ寝は、確かにSIDSのきっかけの一つと言われています。ただし、知っておいていただきたいのは、決してSIDSの“原因”ではないということです。」
「残念ながら、覚醒反応が起こりにくい体質かどうかは、調べることができません。ですから、他のリスクを減らすという意味で、特に生後半年までの赤ちゃんは、うつぶせ寝をできるだけ控えたほうが安心かと思います。」
直接的な原因ではないにせよ、SIDSにつながるリスクをなるべく減らすために、外因の1つであるうつぶせ寝を避けよう、ということなのですね。ほかにも、喫煙やアルコールの摂取も、SIDSの外因の一つ。できるだけ避けたほうがリスクを下げられます。
うつぶせ寝の目安は“寝返りがうてたら”

「発達には個人差もあるので、寝返りができるかどうかが一つの目安です。そのころには覚醒反応も発達してきていますし、そもそも同じ姿勢で寝かせ続けるのも難しくなってきます。SIDSは、2カ月〜5カ月をピークとして6カ月以内の赤ちゃんに多く発生する病気。生後半年以降は発生件数が下がっていきます。」
「しかし、仰向けに寝かせていても、寝返りによるうつぶせ寝で突然死しているケースも報告されているので、生後半年以降も1歳になるまでは、気づいたらうつぶせ寝にするくらいの注意はしてもよいと思われます。」
「一方で、うつぶせ寝には、熟睡しやすい、呼吸がしやすい、嘔吐しにくいという側面もありますので、生後1歳を過ぎたら、あまり神経質になりすぎないよう見守ってもらえたらと思います。」
赤ちゃんを安全に寝かせるためにはぬいぐるみもNG!?

- 厚着をさせない
- 赤ちゃんの寝ているまわりに、枕やぬいぐるみを置かない
- 柔らかい寝具は避ける
厚着は、胸の動きを抑制する上、体温が上がりやすくなるため、呼吸がしにくくなる恐れがあるそう。また、やわらかい寝具や枕、ぬいぐるみは、赤ちゃんの鼻や口をふさいでしまう可能性があります。
「SIDSは、およそ6,000人に一人という、決して低くない発生率です。他人事と思わず、リスクを減らすためにも、特に生後半年までは、できるだけうつぶせ寝を避け、こうした周りの環境にも注意してほしいと思います。」