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意外に多い色覚異常。正しい理解や接し方は?

2016年6月10日堀内優子

「うちの子、また人の顔を変な色で塗っている。なぜだろう…」と思うことありませんか? もしかしたら、生まれつき色を識別しにくい「色覚異常」かもしれません。じつは、男子の20人に1人、女子の500人に1人は、先天性の色覚異常だと言われています。日本眼科医会理事の宮浦徹先生にお話を聞きました。

そもそも子どもの目は、どんなふうに成長するの?

生まれたての赤ちゃんは、目がよく見えていないと言いますよね。たぶん、色も判断できていないと思いますが、いつごろから色や形が見えるようになるのでしょうか?

「生まれたばかりのころは、ものの輪郭がぼんやりとして、色も区別できず、動くものを認識する程度だと言われています。毎日、人やおもちゃなど、いろんなものを見続けることで訓練になり、少しずつ視力や色覚が発達します。視力は6歳頃には、すでに大人と同じ程度の1.0に達しています。でも、色覚は視力よりももっと発達が早い、と考えられています。」

なるほど。赤ちゃん用のベッドメリーに、しま模様やカラフルな色が使われているのは、視機能を発達させる働きがある、と言えそうですね。

色覚異常の場合、どんな見え方になるの?

幼稚園や保育園に入園するころになると、色覚は十分発達しています。何も問題なければ、赤いものは赤く、緑のものは緑に見えますが、色覚異常だと、違った見え方になります。一体どんなふうに見えるのでしょうか?

「個人差はありますが、色覚異常の場合は赤と緑、橙と黄緑、赤と黒などを間違えやすくなります。中でも多いのが『赤緑色覚異常』。赤と緑を見間違えてしまうのが、このケースです。」

例えば、黄緑とうすい橙が良く似た色に感じるため、顔の色がうすい橙と認識できない園児は、お絵かきで人の顔を黄緑に塗ったりすることがあるそうです。

「しかし、いつも見間違うわけではなく、暗い場所や見るものが小さい場合、急いでいるとき、ちらっと見ただけのときなどに、間違うことが多いようです。」

ちなみに、どんな見え方なのか疑似体験できるアプリもあります。画面の種類や明るさなどによって色の差がありますが、目安として参考にしてみましょう。

「色のシミュレータ」

「色のシミュレータ」は、様々な色覚特性を持つ人の色の見え方を体験するための色覚シミュレーションツール。スマートデバイスの内蔵カメラまたは画像ファイルから得た画像をリアルタイムに変換し、それぞれの色覚タイプ(2色覚)ではどのように色が見えるのか、シミュレーションをしてくれます。

アプリ「色のシュミレーター」
『色のシュミレータ』

「色のめがね」

「色のめがね」は、色覚異常などが原因で、色が見えにくい、色を見分けにくい人のための色覚補助ツール。スマートデバイスのカメラとスクリーンを使用し、科学的な理論に基づいた手法により、見えにくい色の一部をリアルタイムに見えやすい色に変更した上で、オリジナル画像と交互に表示することによって、色をわかりやすくします。

アプリ「色のめがね」
『色のめがね』

検査では、どんなことが分かるの?

(右上の黒い機器は眼底をみる機械で 色覚とは関係ありません)

普段の生活の中では、なかなか発見しにくい色覚異常。でも、検査をするとすぐに分かるといいます。

「検査には2種類あり、学校で行うものと眼科で行うものがあります。学校の検査は、カラフルな色で数字が書かれた検査表を見てもらう簡単なもの。色覚異常の疑いがあるかどうか、すぐに判断できます。でも、正確な診断をするには、眼科での検査が必要。さまざまな色覚検査表や専用の機器を用いて、色覚異常の有無、異常のタイプや程度などを診断します。タイプが分かると、どんな色が間違えやすいかのおおよそを把握できます。

最近、学校の中には、色覚異常の検査を実施しないところも多いのだとか。以前は小学4年生を対象にすべての学校で検査が行われていましたが、現在は任意の検査となっているためです。

これによって困ったことも起きているのだそう。美容学校に進学したのにヘアカラーの区別ができなかったり、工業高校の色覚検査で初めて異常が判明し、本人たちが戸惑ったりするケースもあるそうです。

「色覚異常は、主に遺伝によるものですが、両親が色覚異常でなくても子どもが発症する可能性はあります。できれば、進路を決めてからではなく、お子様が小学生、中学生のうちに検査を受けることをおすすめします。


色覚異常と診断されたら…どんなことに気をつければいい?

色覚異常だと分かった場合、一体どうすればよいのでしょうか。

色覚異常は、有効な治療法はないものの、悪化することもありません。通常は生活に支障をきたすことはほとんどないと言っていいでしょう。強度の場合は、間違えやすい色を把握しておくのが大切です。

では、日常生活で気をつけることは?

「赤と緑が見分けにくい場合、注意してほしいのが信号機。特にLEDだと色の判断が難しく、逆光の場合や霧が立ち込める場合は、さらに間違えやすくなります。そのため、幼児などでは注意が必要で、右が赤(止まれ)、左が緑(進んでよし)と位置関係で覚えましょう。そのほか、赤と黒を間違えやすいために、お肉の焼き具合が分からず、生のまま食べてしまう可能性があります。その場合、家族の助けが必要になりますね。」

ちなみに、周りはどんなことに配慮すればいいのでしょうか。

一番やってはいけないのが『これ何色に見える?』と聞くこと。人と違うことに落ち込んだり、傷ついたりすることがあります。また、『これはピンク』『これは紫』など、むやみに指摘すると混乱する場合があるので、控えてください。色を教えるときは、『赤いバラがきれいね』とさりげなく伝えるようにしましょう。そのうち、『りんごは赤』など、一般常識的な色を覚えるようになります。」

黒板の赤いチョークは見えにくいなど、学校生活の中にもちょっとした注意が必要に。家族だけでなく、学校の先生にも色覚異常を理解してもらい、子どもを支えることが大切だと言えそう。本人がのびのびと育つように、周囲が寄り添い、優しくサポートしていくのがいいですね。

お話を聞いたのは…

  • 宮浦徹さん

    宮浦眼科 院長。日本眼科医会理事、大阪府眼科医会理事、大阪府医師会学校医部会常任委員を兼任。1977年、日本医科大学卒業後、大阪大学医学部眼科学教室に入局。1986年、大阪府吹田市に宮浦眼科を開業。長年、学校保健で目の健康に力を入れている。

  • 公益財団法人 日本学校保健会
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ライター紹介

堀内優子

大阪生まれ、大阪育ちのフリーライター。大学卒業後、丸の内OLとして約2年間勤務。しかし「自分ならではのクリエイティブなことがしたい!」という思いから大阪に戻り、ライターの世界に入る。話題のお店に行くのが好きで、グルメ系のライティングが得意。海外ドラマ(特に英国ドラマ)にハマっている。

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