親子でも楽しめる人気急上昇中のマリンアクティビティ「スタンドアップパドル」をご存知でしょうか。浮力の強いサーフボードの上に立って、パドルで水をかきながら海の上を進むマリンスポーツです。常にバランスを取りながら遊ぶため、自然とフィットネス効果も得られると言われています。
今回は、サーフィンよりも気軽で、親子でも簡単に楽しめるスタンドアップパドルの魅力を紹介します。
愛称は「SUP」 気になる楽しみ方は?
スタンドアップパドルは、頭文字を取り「SUP(サップ)」という愛称でも親しまれています。その魅力について、「SUP SHOP 海楽 千葉」でスクールなどのインストラクターを行う小糸泰子さんに伺いました。
「海風を体に感じ、大きな空を眺めながら海をクルージングすると、心と体が解放されていきます。透明度が高ければ足元を泳ぐ魚が見えますし、入り江などがある海なら、より冒険心を刺激されます」
「波が穏やかで風のない日は、1kmくらい沖に出ることもあり、陸から見るときとはまったく違う海を見ることができます。海上に小さな自分が立っている感覚に、これまでに経験したことのない感動を味わえるはずです」
親子でも簡単! ほとんどが1日で立てるように!
天気のいい日に、おだやかな海の上をのんびりと散歩。想像しただけでワクワクしてきますが、誰でもすぐに乗りこなせるものなのでしょうか。
「SUP用のボードは、サーフボードよりもずっと大きく、厚みもしっかりあります。もちろん、最初は海に落ちることもありますが、ライフジャケットを着用し、ボードと体はリーシュコードでつながれているので安全です。初心者や子どもでも、ほとんどが1日で立って進めるようになりますよ」
「海楽 千葉」の場合、スクールに参加する人の3割くらいが家族連れだといいます。SUPに挑戦できるのは、何歳くらいからでしょうか?
「3歳〜4歳くらいのお子さまであれば、大人と2人乗りで楽しめます。ひとりで乗れるのは、小学校3年生くらいからですね。大人と同じサイズのボードに乗りますので、ある程度の体力と状況を判断する力が必要です」
パパママと一緒に、海の上から同じ景色を眺める。その経験は格別らしく、海嫌いな子どもが、海を好きになって帰っていくケースも多いとか。
ペットの犬と一緒に楽しむ人もいるそうですよ。
バランスを取ることでフィットネス効果も得られる!
不安定なボードの上に立つSUPは、自然とフィットネス効果が得られるといいます。
「常にバランスを取っているため、体幹を引き締める効果があります。足はもちろん、パドルを漕ぐために腕や背中、腰の筋肉も使います。ジムのマシーンよりも、ずっと楽しく、効果的に鍛えられますよ」
夢中でボートに立ち、パドルを漕ぐうちに、自然と全身が鍛えられる。これも人気の理由ではないでしょうか。
乗るコツは?
年齢や性別を問わず、誰でも気軽に体験できるSUP。とはいえ、最初から道具を全て準備するのは大変ですし、上手に乗りこなすためにはコツを教わることも重要です。初めて挑戦するなら、道具も揃っているショップの体験スクールに参加するのがおすすめだと小糸さん。
「スクールでは、インストラクターが基本から教えてくれます。最初に陸上でボードに乗る位置や、足を広げる幅、パドルの漕ぎ方などのレクチャーを受けてから海に出るというステップを踏むのがほとんどです」
「実は、立つことよりも難しいのがパドルの操作です。たとえば、水中でパドルが斜めになってしまうと前に進めず、クルクルと回ってしまいます。そういったポイントも、スクールなら一つひとつ指摘できます」
技術的な指導以外に、ほかの参加者と交流できるもスクールのメリットです。
「とくに家族連れの場合は、子ども同士が仲よくなりますね。一緒に参加している子の姿を見て、頑張れることもあります。すると、自然と親同士も会話を交わすようになります。初めて経験する感動を誰かと共有できるのは、スクールならではの楽しさでしょう」
なお、「海楽 千葉」では、1スクールにつき2人以上のインストラクターが担当するため、レベルに合わせた指導ができるそうです。
「お子さまは足のつく浅いところで練習し、ご両親は沖に出てクルージングを楽しんでいただくなど、2グループに分かれて指導することもあります。上手に乗れるようになった子どもと沖で合流するときは、その成長に感動間違いなしです!」
スクールでは、ボード、パドル、リーシュコード、ライフジャケットなど、必要なものはすべて用意されています。持ち物は、水着やタオル、日焼け止めなど、普段海へ出かける際に持っていくものだけなので、手軽ですね。
「スクール料金は、約2時間半で3,000円です。お財布的にも気軽なスクールからはじめて、慣れたらレンタルボードにし、本格的に楽しむならマイボードの購入という流れがおすすめです」
ほかのショップでも、スクール料金は6,000円くらいまでのところが多いようです。ぜひ近くの海で開催しているショップを探してみてください。
安全面でもスクールがおすすめ
海は、ときには危険をともなうため、海で遊ぶときに最も大切なのが安全性です。どれだけおだやかに見えても、相手は自然。何が起こるかわかりません。
「SUPは風や波の影響を非常に受けやすく、インストラクターもその日のコンディションを見てクルージングのコースを決めます。ときにはスクールを中止にすることもあります。陸はおだやかなのに、海上では風が強いこともあります」
自分の力量と海のコンディションを把握できるようになるまでは、インストラクターと行動したほうが安心ですし、心から楽しめるのではないでしょうか。
ヨガや釣りとの合わせ技も! 遊びが広がるSUPの世界
SUPの楽しみ方は、クルージングだけではありません。ヨガや釣り、サーフィンなど違うアクティビティと組み合わせることで、楽しさがグンと広がります。
SUP×ヨガ
多くのショップではSUPのフィットネス効果に注目しており、ボードの上でヨガをする「SUPヨガ」を取り入れています。
「SUPヨガは、バランスを取りながらポーズを取るため、スタジオヨガよりも効果的てきめん。こちらでもヨガインストラクターによる『サップヨガ&クルージング』のスクールを開設しています。みなさん、海に落ちてキャーキャーと大笑いしながら、楽しんでいますよ」
アウトドアでヨガをするのは気持ちがいいものですが、波に揺られ、海風を感じながらのSUPヨガは、さらに特別な体験になるでしょう。
SUP×釣り
「釣り道具を持参して、レンタルボードでSUPフィッシングをされる方も多いですね。陸からは絶対に狙えないようなポイントにいけるので、釣れ具合も良いようです。SUPフィッシングの大会に参加してもいいですね」
SUP×サーフィン
サーフィンのポイントでは、波待ちしているサーファーに混じって、SUPをしている人をよく見ます。そして、波がくるとパドルを漕いでスーッと乗っていく。そんな「SUPサーフィン」を楽しむ人も、ここ数年で非常に増えているようです。
「浮力のあるSUPボードは、サーフボードでは難しい小さな波にも乗ることができます。また、うねりの状態から波をキャッチできるため、より長く乗っていられます。コンスタントに波がある、湘南や千葉の外房でSUPサーファーをよく見かけますよ」
SUPは、海だけでなく、湖や川など、水がある場所ならどこでも手軽に楽しめる新感覚のアクティビティです。この夏の思い出に、家族や友人と一緒に挑戦してみてはいかがでしょうか。