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本の読み聞かせは本当に大事? 効果的な方法&飽きた時の対処法

子供の成長にいいと言われる絵本の「読み聞かせ」。とはいえ、「なぜした方がいいのか?」「誰が読んでも同じなのか?」など、具体的な理由がわからないママパパも多いはず。

そこで今回は、鳴門教育大学大学院教授で発達心理学が専門の浜崎隆司先生に、「読み聞かせ」の効果やメリットについて教えてもらいました。

絵本の読み聞かせはした方がいいの?

そもそも、絵本の読み聞かせは、なぜした方がよいのでしょうか?

「『選択理論心理学』という言葉をご存じでしょうか。人間には5つの基本的欲求があり、そのうちの1つ以上を満たすために、行動や思考を選択するという考え方です

<人間の5つの基本的欲求>
・愛・所属の欲求…他者と愛し合いたい、大好きな人と一緒にいたい
・力(承認)の欲求…何かを成し遂げたい、人から認められたい、自分の思いを実現したい
・楽しみの欲求…楽しい思いをしたい、好奇心を満たしたい、学びたい
・自由の欲求…自分の考え、感情、思いに基づいて自由に行動したい
・生存の欲求…食欲や睡眠欲、性欲、排泄欲、健康を求める欲求など、生きていくために必要とするものがほしい

「絵本を読んでもらったり、自分で読んだりすることは、子供の基本的欲求を複数満たせると言われています。さらに、子供だけでなく、読み聞かせをする親の欲求を満たす効果もあります

具体的にはどの欲求を満たしているのでしょうか?

「それぞれの効果を親と子供に当てはめると、次のようになります」

(1)親と子が一緒にいる時間が持てて心が満たされることで、「愛・所属の欲求」が満たされます。
(2)子供は文字が読めることを褒めてもらえる、親は子供が喜ぶことで自分の役割を果たしている満足感を得られるので、「力(承認)の欲求」を満たせます。
(3)親子でストーリーを楽しんで登場人物と一体化したり、子供が文字を覚えることで「楽しみの欲求」を満たせます。
(4)子供が一人で好きなように読むことで「自由の欲求」を満たせます。
(5)子供の心地よい眠りにつながる儀式となることで、大きな意味で「生存の欲求」を満たせます。

読み聞かせで得たものが自分の欲求を満たした場合に、満足感や幸福感が得られます

子どもにとっては、5つのどの欲求も満たせるものなのですね。

「5つの欲求の強さには個人差があり、親子やきょうだいであっても、バランスは一人ひとり異なります。親子の関わりを通して、子供や自分がどんな欲求を持っているかを知ることができるのも読み聞かせの魅力です

この5つの欲求の強弱は生まれつきのもので個人差があります。ただし、欲求の満たし方は年齢の変化によって違っていきます。テレビを見るのが好きでも、好みの番組は年齢とともに変わっていくようなものです。


「読み聞かせ」はすべての子供に万能?

一方で、親が必死に読み聞かせをしても、子供の反応がイマイチなこともありますよね。こんな場合でも「読み聞かせ」は、効果的なのでしょうか?

「すべての子供が絵本の読み聞かせを好むわけではありません。自分で読みたい子供もいれば、そもそも絵本自体にあまり関心がない子供もいます。それを理解せずに『本を好きになってほしい』『子供のために』と無理に読み聞かせをしても、期待外れになることが多いです

読み聞かせが必ずしもすべての子供にいいとは限らないということですね。

読み聞かせの目的は子供の欲求を満たすことですから、もし子供があまり望まないようであれば、一緒に散歩をするとか、お絵かきをするなど、絵本の読み聞かせ以外のかかわりも考えてみましょう」

無理に読み聞かせを続けようと努力をするより、自分たち親子にベストな方法を大切にしたいですね。

効果的な「読み聞かせ」とは?

読み聞かせを行う際に、効果的な方法はあるのでしょうか?

「読み聞かせによって満たしたい欲求は子供によって異なるので、子供の欲求にあわせたアプローチをすることが大切です

「たとえば、子供が『お母さんと一緒にいたい』という欲求がある場合、お母さんが読み聞かせてあげることが何より重要です。一方で、物語の内容や絵本そのものの面白さを求める場合は、誰が絵本を読んでも構いません。保育者や祖父母、読み聞かせアプリであっても、子供の欲求は満たされます」

「『文字を覚えたい』などの欲求がある子供は、自分で絵本を読んだり、親に読んでほしいときは自ら求めてくるので、そのときに対応できる環境を用意するだけでOK。反対に、親が無理に読み聞かせを続けようとすると、子供が絵本嫌いになるきっかけを作ってしまうかもしれません

また、読み聞かせをする場合には、位置関係がとても大切だそう。

「お母さんと一緒に寝転がって、絵本を読んでもらった経験がある人も多いと思います。大好きなお母さんが自分の真横で、同じ場面を楽しんでいるのを想像するだけでもうれしいですよね。絵本を読み聞かせる際は、親子で向かい合うよりも横に並ぶ方がおすすめです

「理由は、“共有している”という感覚は、向かい合うよりもすぐ近くで、同じ方向を向く方が伝わりやすいからです。この感覚が親子の絆を深め、子供が親からの愛情を感じて“自分は価値のある存在だ”という自己肯定感を育む助けとなります


読み聞かせが嫌いな子供はどうする? 飽きてしまったら?

では、読み聞かせを喜ばない子供にはどう接したらよいでしょうか。

「自由の欲求が高い子供は、一人で満足するまで読むことが大切です。親は寂しいかもしれませんが、『面白そうだね。お母さんも読んでみたいからあとで貸してね』などと、子どもの行為を認めて見守ってあげることで良好な関係が築けます


途中で飽きてしまうときはやめていいのでしょうか。

「飽きてきていると感じたら、無理に続けずに『一人で読んでみる?』とか『お歌うたってみようか』などと提案するのもいいと思います。逆に、読み聞かせてもらうのが好きな子どもは、大きくなっても大好きです。子供が求める限り読んであげれば良いと思います

いずれにしても、子供をよく見て欲求を判断してあげることが大切なのですね。

「絵本の読み聞かせは、親子のコミュニケーションの一つですが、目指すべきは子供との良好な関係づくり。子供が持つ欲求や考えをベースにすればいいので、とてもシンプルです」

読み聞かせをする場合もしない場合も、その基本を忘れずに接していきたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 浜崎隆司(はまざきたかし)先生

    鳴門教育大学大学院学校教育学研究科・子ども発達支援コース教授。幼児心理学、社会心理学、発達心理学、選択理論心理学を専門とし、幼児・児童期の社会性や対人関係の発達などに関する実践的研究を進めている。著書に『やさしく学ぶ保育の心理学I・II』『やさしく学ぶ発達心理学』『新・はじめて学ぶこころの世界』など。

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ライター紹介

高柳涼子

雑誌編集部勤務を経てフリーランスに。ライティングと校正を中心に、ときどき編集もやる3児の母です。これまでに関わった分野は、求人、進学、ウェディング、アート、手芸、田舎暮らし、食育、仏教、料理など。

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