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【スポーツの秋】1等賞は誰だ!動物たちの大運動会

掲載日: 2015年9月24日更新日: 2017年5月16日千谷 文子
かけっこが速いのは? 泳ぎが得意なのは? ジャンプ力No.1は? 動物たちが一堂に集まる秋の大運動会は、ワールドレコード連発でエキサイティング! 解説者には、世界中の動物を取材してきたテレビ番組『どうぶつ奇想天外!』の元ディレクター・佐藤栄記さんをお迎えしました。


*動物の走る速度などを正確に計測し調べることは困難なため、
ご紹介するデータが“絶対に正しい”とは限りません。
記事は現在の定説に基づいています。

動物たちの大運動会 種目1:かけっこ

1等賞☆時速120kmで走るチーター!

陸上の動物でもっとも速く走れるのは、おそらくチーターでしょう。全身がバネのようなしなやかさで、最高時速は約120km出すといわれています。先日行われた世界陸上のウサイン・ボルト選手、速かったですよね。でも人類史上最速のボルト選手でさえも、時速37〜38km。それを考えるとチーターのすごさがわかるでしょう!」

そんなチーターにも実は弱点が…。猛スピードで疾走し、狙った獲物は絶対に逃さない!…かと思いきや、持久力がないので、長距離を走るとスタミナ切れになってしまうのだとか。その結果、チーターは狩りによく失敗しているそうです。

「自然界というのは本当にうまい具合にできていて、全ての動物にいろんなチャンスがあるんです。えさを獲るチャンスも、そして逃げるチャンスもね。」

動物たちの大運動会 種目2:水泳

1等賞☆時速100kmで泳ぐバショウカジキ!

もっとも早く泳ぐ魚は、最高時速100km以上出すと推測されるバショウカジキといわれています。」

時速100kmといえば、草野球のお父さんピッチャーが投げるボールと同じぐらい。プロ野球選手ほどとはいかないまでも、かなりのスピードですよね!

バショウカジキの特徴はとても大きな背びれ。そのため、英語ではセールフィッシュ、“船の帆(セール)のような魚”と呼ばれます。それにしてもコレ、泳ぐときに邪魔なようにも思えますが…。

「実は速く泳ぐ時は背びれを体側面にある溝にピッタリしまって水の抵抗を少なくして、方向転換する時などには背びれを出してコントロールしているんです!」

なるほど。この背びれは収納可能で、舵取りの役割まで果たすのですね。まるで超合金のロボットみたい!

「動物たちがそれぞれに持ちあわせた特徴は、それぞれの動物にとって便利なものなのです。そして海の中のことはまだまだ解明されていないことがたくさん。魚の泳ぐスピードの計測も非常に難しいので、実はバショウカジキを抜く強者が、密かに海の中を泳いでいるかもしれませんよ。」

海は、まさに神秘の世界なんですね。バショウカジキにも勝る強者がまだまだいるかも!?なんて想像しただけでワクワクします。

動物たちの大運動会 種目3:滑空

1等賞☆時速300km超えのハヤブサ!

ハヤブサは上空から獲物を見つけ、捕まえようと急降下するときに時速300kmを超えるといわれています。翼を少し折りたたむことで、空気抵抗を減らし、速度を上げているようです。」

300kmといえば山陽新幹線の最高速度。新幹線のホームにいるとき、目の前を通過する新幹線のスピードに驚かされることがありますよね。風圧で吹き飛ばされそうになるほど!

「そうなんです。私は以前に、鷹匠がハヤブサを上空に放し、餌を見せておびきよせる瞬間を撮影しようと何度もトライしたことがありましたが、ビデオカメラが追いつかない速さで、失敗に終わりました(苦笑)。」

「しかし、ハヤブサのこのスピードはあくまで急降下の話であり、自ら翼を動かして飛ぶということであれば、アマツバメのほうが速いといわれています。ハリオアマツバメを始めとするアマツバメの仲間は、飛行に適した身体で、細身のボディに長い翼を持っています。」

アマツバメは高山や海岸の岸壁などで暮らし、夏には日本にも飛来するそう。300km以上の高速飛行とは一体どんな世界が見えているのでしょう! 1度飛行しているところを見てみたいですね。

動物たちの大運動会 種目4:潜水

1等賞☆3000m潜るマッコウクジラ!

「数週間にわたり知床半島沖でマッコウクジラの取材をしたとき、数十頭のマッコウクジラを観察しましたが、本当に1時間ぐらい、潜ったまま姿を見せないことがざらでした。」

マッコウクジラの推定潜水距離は3000mだとか。

日本一高い富士山は3776m。続いて高いのは北岳3193m、穂高岳3190mなので、山の高さと同じくらいの深さまで、マッコウクジラは潜ってしまうんですね。

「よくクジラが尾を上げている写真を見かけますよね。あれは水に潜る瞬間です。頭部にある穴(噴気孔)から空気中の酸素を取り込んでから潜るので、1時間も潜っていられるのです。」

「深海でイカなどの餌を獲って水面に浮上したマッコウクジラは、噴気孔で空気中の酸素を取り込み、また潜っていきます。その際に、噴気孔からは海水が霧のように吹かれます。クジラの潮吹きと呼ばれるものですね。」

人間も水中に潜って浮上し、再び潜ろうとするとき「スーハースーハー」息をすったり吐いたりしますものね。それと同じようです。

「太陽の角度によって、噴気に虹がかかることもあります。豊かな自然あふれる知床の海にマッコウクジラが現れ、そこに虹がかかった光景は、私の動物観察人生の中でも生涯忘れることのない素晴らしい思い出です。」

野生の動物を観察するチャンスがあったら、ぜひトライしてみて。きっと、想像以上の感動に出会えるでしょう。

佐藤さんら取材クルーが、知床でマッコウクジラを観察している様子。
撮影:佐藤栄記

動物たちの大運動会〈番外編〉 種目:高飛び

動物が皆同じ体格なら1等賞☆自分の身体の長さの100倍飛ぶノミ!

ジャンプ力のある身近な動物で思いつくのは、ネコですよね。高い塀に軽々ピョンと飛び乗る姿は、見たことがあるでしょう。

「ネコ科の動物は高い跳躍力を持っていて、特にからだが細いサーバルという種類は、飛んでいる鳥をジャンプして捕まえたりします。またアフリカに棲むウシ科の動物であるインパラも、ライオンなどに追われたときは信じられないような跳躍力を見せ、高さ3mほど、距離にして10mぐらいジャンプするようです。」

ジャンプ力といえば、小さな昆虫も気になります。

「そうそう、バッタの仲間もものすごい跳躍力を持っています。トノサマバッタが川の土手でジャンプし、川を飛び越え、向こう岸まで飛んでいったのを見たことがあります。距離にして100mほどありました。でもバッタがこのように長距離飛行する時は、後ろ足の跳躍力と共に、翅(はね)を利用しているのです。」

では、単純に後ろ足の跳躍力だけだと、ナンバー1は誰なんでしょう?

「ノミかもしれません。ノミは数ミリの体ですが、30〜80cmほどジャンプできます。『その程度ならバッタやカエルのほうが上では?』と思うかもしれませんが、もし動物たちの体の大きさをそろえることができたなら、きっとノミがチャンピオンです。ノミは自分の体の長さの100倍ぐらいはジャンプできますからね。」


動物運動会はいかがでしたか? 「なぜチャンピオンなのか」調べて見ると、身体の特徴や生態がよく分かります。親子で自分のデータを記録して、動物たちと比較すると、そのすごさは一層実感できるかもしれませんよ。スポーツの秋に、親子でぜひやってみてくださいね。

お話を聞いたのは…

  • 佐藤栄記(さとう・えいき)さん

    『どうぶつ奇想天外!』などの番組を手掛けた元ディレクター。現在は、個人で動物の生態を記録に残し、今夏には世界初といわれる東京の動物ドキュメント映画『東京2020』を公開。地球温暖化や乱獲などにより動物たちが絶滅に追いやられる中、「まずは知ることが、動物たちの命を救う第一歩」と精力的に活動中。

  • 佐藤栄記の自然観察日記

ライター紹介

千谷 文子

1969年生まれ。フリーの編集・ライター。ニッチな温泉エリアのご近所温泉を案内する、『さいたま湯めぐり』シリーズ3冊を出版。それを機にケーブルテレビの番組に温浴ナビゲーターとして出演。インコが頭に飛んできたり、愛犬の寝言に耳を傾けたり。そんな瞬間が幸せな日々。

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