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子供にVRは危険? 3Dメガネとの違い&対象年齢&正しい遊び方も

遊園地やテーマパークのアトラクションだけではなく、最近は家庭用でも登場しているVR機器。バーチャル・リアリティの略称で、臨場感溢れる立体的な映像が楽しめます。

最新技術で話題性も高いですが、まだまだ馴染みも薄く、目や体への悪影響を心配する親も少なくありません。そこで、大阪大学医学部付属病院で小児眼科、神経眼科を専門とする不二門尚教授に子どもへの影響や対象年齢、正しい遊び方などを聞きました。

3DメガネもVRになるの?

VRと言えば、ゴーグルを装着するものや、頭にかぶるHMD(ヘッドマウントディスプレイ)と呼ばれる機器が主流です。遊園地などのアトラクションでは、3Dメガネなどを付けて、映像と乗り物の動きを組み合わせて立体映像を楽しむタイプもあります。

そもそもVRとは、どういったものを指すのでしょうか。3Dメガネを使用したものはVRではないのでしょうか。

VRとはバーチャル・リアリティの略で、日本語に訳すと『仮想現実』です。仮想現実とは、本物の映像ではないけれど、まるで本物の世界のような映像を提示し、そこに自分がいるような感じを視聴者に与えるもの。こうした仮想的な空間を体験できるシステムをVRシステムと呼びます

VRには大きく分けて2種類あるのだそう。

(1)VRゴーグルやHMDを使ったタイプ

顔を右に動かすと右側の景色が見えるといった、頭の動きに合わせて映像が変わるタイプです。視野が360度と広範囲なのが特徴で、メーカーなどで推奨している対象年齢は13歳以上がほとんどです」

(2)3Dメガネを着用するタイプ

「遊園地などにある映画館タイプのアトラクションに多く見られるものです。これは、3Dメガネをかけることで立体的な映像を楽しめますが、頭の動きに伴って映像は変わりません。この点がVRゴーグルなどとの違いです。メーカー推奨の対象年齢は7歳以上が多いです」

「とはいえ、両方とも『仮想だけれども、よりリアルに、立体的に映像が見える』という意味では、VRと言えるでしょう。ただ、対象年齢はそれぞれで異なり、3D映像は7歳から、VR映像は13歳からにする方がいいでしょう


3Dメガネは7歳から!

対象年齢がそれぞれ異なるとのことですが、どういった理由からでしょうか。

まず知っておいてもらいたいのが、両目で立体的に映像を見るという『目の発達』は、小学校入学前くらいの年齢でピークを迎えるということです。この時期に飛び出し型の3D映像を見ると、目に大きな負担がかかる可能性があります

「6歳以下の子どもが3Dの立体映像を見たことで、目が内側に寄る内斜視になったという症例が報告されています。さらに、その子の目は結局元には戻らなかったので、現状では6歳以下の子どもにとって3D映像は、医学的に見ても目に大きな負担がかかるのだろうという見解になっています」

発達段階の目に負担をかけないためにも、6歳以下の子どもには、3D映像を見せないほうがよさそうです。

HMDなどのVR映像は13歳以上から!

頭の動きと映像がリンクするVR映像についてですが、これは乗り物酔いに似た症状が出る『映像酔い』をしてしまう危険性があります。VRでも裸眼でも、頭を動かすと映像が付いてくるわけですが、裸眼の場合とHMDを装着した場合とでは、映像が付いてくる時間に少し差があります」

「そもそも人間は、頭を動かした方向に対して、目が逆方向に動きます。これは映像を停止した状態で見ようとする反射的な動きです。ですが、HMDでは、その目の動きまで考慮して映像が表示されるわけではないので、本来の見え方とは少し異なりますし、時間差が生じてしまいます」

「そのため、頭をゆっくり動かした場合は、目と体の動きが合いやすいので、映像酔いの可能性が下がりますが、反対に素早く動かした場合は、映像酔いの可能性が高まります。こうした症状は、子どもだけではなく大人も同様に起こる可能性があります」

では、13歳以上からが推奨されている理由はなぜでしょうか?

人間の脳には『視覚領』という立体感に関係する部位があるのですが、これは12歳くらいで成熟すると言われています。この考えは、現在のところあくまで仮説ですが、生理学的にも臨床的にも、今はこの説が有力。ですから、こうした機能が成熟しきっていない年齢で、より立体的な映像を見るということはおすすめできません

ちなみに映像酔いは、乗り物酔いと同じく「めまい」「気分が悪くなる」という2つの症状が代表的。

「大人はしばらく休めば大丈夫なケースが多いですが、子どもの場合は治るのに時間がかかったり、症状が強く出る可能性があります。」

目や脳が発達段階にある子どもは、症状が強く出てしまう可能性が大人よりも高い。ですから、できれば3D映像は7歳未満、VR映像は13歳未満の子どもには避けてあげてほしいですね」


遊園地のアトラクションの年齢は?

では、遊園地などにある3DやVRを使ったアトラクションも、3Dは6歳未満、VRは13歳未満の子どもは避けたほうがよいのでしょうか。

大人用のアトラクションは、それぞれの年齢に達していない場合は避けたほうが無難です。そもそも遊園地などにあるアトラクションは、年齢ではなく身長で制限していることが多いはず。ですから、そこは親がしっかり判断してあげてほしいですね

「また、そもそも子どもは大人に比べて、目と目の間隔が狭いものです。ですから、無理に大人用の3DメガネやHMDを装着させても、器具と目のサイズが合わないので、大人が見ているような立体的な映像は見えていない可能性が高いです」

大人と同じ臨場感が味わえない可能性が高いだけでなく、目への負担も大きい3DやVR映像。子どもが対象年齢に達していないのに、無理に体験させるメリットはないのですね。

家庭用のVRは目の負担が少ない?

それでは、最近登場している家庭用の子ども向けVR機器はどうでしょうか。

「子ども向けのものは、おそらく複眼ではなく単眼で見るタイプがほとんどだと思います。単眼の場合は、メーカー側の工夫で臨場感などはすごく出ていても、立体感はさほど出ていないはず。ですから、目への負担は、大人用に比べて確かに少ないと思います」

「とはいえ、HMDを使って頭の動きと映像がリンクするタイプだと、子どもによっては多少の映像酔いをすることもあるかもしれません。リスクを減らすためには、できるだけゆったりとした映像のものを選ぶなどしてあげてほしいですね」

時間はどのくらいが目安でしょうか。

まず5分程度見せてみて、子どもがつらそうにしていないか様子を見てあげてください。そこで大丈夫そうであれば、1回15分程度を目安に適時目を休ませながら、長時間負担がかからないように配慮すること。親の監督のもと、あまり頻繁にならない程度に楽しんでもらえればと思います

臨場感のある映像は子どももつい夢中になってしまいそうですが、子ども向け商品でも、あまり長時間にならないように、様子を見ながら適度に楽しむようにしたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 不二門 尚先生

    大阪大学医学部付属病院で小児眼科、神経眼科を専門とする。3Dコンソーシアムでも、3Dテレビなどのレギュレーションにも関わる。

  • PANORA VIRTUAL REALITY JAPAN
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ライター紹介

近藤 浩己

1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

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