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2019年10月開始「幼児教育無償化」を簡単解説 対象&金額も紹介

掲載日: 2018年10月26日更新日: 2018年10月26日水谷 映美

子どもを持つ家庭にとって、毎月かかる保育園や幼稚園の保育料は負担が大きいもの。その負担がなくなるのが、政府が審議を重ねてきた「幼児教育無償化」です。いよいよ来年2019年の10月からスタートします。

そこで今回は、現役の看護師であり、ファイナンシャルプランナーとしても活躍する高梨子あやのさんに、「幼児教育無償化」について詳しく教えてもらいました。

「幼児教育無償化」で家計はいくら助かる? わかりやすい実例を紹介!

「幼児教育無償化」ってどんな制度? 

ママたちの間でも話題になっている同制度ですが、今ひとつ具体的な内容がわかりません。まずは、どのような制度なのかを教えてください。

「幼児期(就学前)の教育はとても重要だと言われています。知識やIQなどの認知能力だけでなく、自制心や忍耐力など社会で必要とされる非認知能力が高くなるので、将来の学歴や年収などに影響すると考えられているようです。そうした背景を受け、『家庭の経済状況にかかわらず、子どもたちの未来のために、すべての子どもが平等に質の高い教育を受けられるように』というねらいで2019年10月からスタートする制度が『幼児教育無償化』です

「現在日本では、教育費がかかりすぎるという理由から、複数人の子どもを持つことを諦めている家庭が少なくありません。希望する子どもの数と、実際に育てられる子どもの数に差が生じている状態です

子どもにかかる教育費を減らす同制度は、この状況を打開するために有効だといえそうですね。

「じつは世界の国の中には、3歳〜5歳の幼児教育の無償化が進んでいるところがいくつもあります。政府は、これまでにも多子世帯軽減(きょうだいがいる場合、2人目の保育料が半額、3人目は無料になるなど)など、さまざまな政策を行ってきましたが、先進国の中でも日本は遅れをとっている状況なのです

すでに保育料無償化を開始している自治体もあると聞きました。

「大阪市では、2年前から5歳児、去年から4歳児の無償化が始まっています。このように、これまで自治体によって大きく異なっていた保育料の軽減に関して、来年10月から国全体で幼児教育無償化が開始されるということで、注目を集めています

所得制限などの条件は?

保育料はどの世帯でも無料になるのでしょうか。具体的な所得制限などを教えてください。

「3歳以上の児童に関しては、所得制限なしで適用されます。ただし、1号認定(幼稚園)は25,700円(預かり保育を併用する場合は37,000円)の助成を上限とし、超える分は負担しなくてはいけません。2号認定(認可保育園・認定こども園)の場合は、すべての世帯において無償化となります

「なお、預かり保育は『保育の要件』を満たした場合のみ無償化の対象となり、個人の都合による利用は自己負担となるため、注意が必要です

世帯所得にかかわらず、保育園の保育料は無料になるということですね! これは家計が大きく助かります。

2歳以下の児童に関しては、まだ全面的な無償化とはなりません。住民税非課税世帯は無償、ひとり親・障害などは所得制限ありなど、現行の制度が基本となります

「ただし、新たに加わった助成内容もあります。非課税世帯の場合、現在は第2子以降のみが無償化の対象ですが、第1子から対象に。また、障害児の発達支援(障害児通園施設)と保育園・幼稚園を併用している場合、両方が無償化の対象となります」

認可外保育施設に関しては、どうなりますか。

一般的な認可外保育施設や地方自治体独自の認証保育施設、ベビーホテル、ベビーシッター及び認可外の事業所内保育等のうち、国の指導監督の基準を満たすものに関しては、補助が用意されています。2歳以下の児童は月に42,000円、3歳以上の児童は月に37,000円を上限に補助が受けられます。この金額は、認可外保育所における月額保育料の全国平均額から決定されました」

無償ではないですが、認可外保育施設でも助成が受けられるということですね。待機児童問題で悩んでいる家庭においては負担額が減りますし、これから仕事を始めようと思っている人にとっても朗報です。


油断禁物!? 「実費徴収」を要チェック!

認可保育園や認定こども園の場合、3歳以上はすべての世帯において保育料が無料になるということですが、完全にお金がかからなくなるわけではないので注意が必要とのこと

「保育料は無償になりますが、実費徴収分(施設の利用において必要とされる費用)は保護者が支払う必要があります。たとえば、給食費や制服代、教材費などがその例です

「保育料は国が定める基準額を超えてはいけないという規則があるのですが、実費徴収に関しては、園の利益になってはいけないという条件下であれば各園で独自に定めて良いとされています。そのため、園によって大きな差があります」

「また、保育料が無償化になる分、これまで払う必要がなかったさまざまな実費徴収が今後増える可能性もあります。保育園や幼稚園を選ぶ際は、実費徴収についても確認しておきたいですね」

認定こども園の場合は、幼稚園部と保育園部で制服が同じ場合が多いため、保育園でも制服を購入するケースがあるそう。園指定の体操服や通園バッグなどがある園は、実費徴収がその分かかってくるということになりますね。

「そのほか、自治体独自の補助制度がある場合もあり、実際の負担金額が変わってくるので、詳しくはお住まいの自治体に問い合わせてみてくださいね

実費徴収がアップしたり、自治体独自の現行補助制度が変更になったりする場合もありますが、いずれにしても幼児教育無償化がスタートすれば、現在の保育料より負担額が増えることはなさそうです。現在、年中以下の子どもがいる家庭は、ぜひ今後の動きに注目しておきましょう。

(本文中の制度内容は、2018年10月現在のものです。今後変更になる可能性があります)

お話を聞いたのは…

  • 高梨子あやのさん

    現役看護師でファイナンシャルプランナー。2児のシングルマザーで産休後の復職や、出産前の離婚・退職など仕事とお金の事に振り回された経験をきっかけにお金の勉強を始める。育児と仕事の両立や家計のことに悩む女性の相談や「かんたん家計管理」「ママのお働き方」などマネー講座で活動中。

  • 子育てと仕事の両立に悩むママのためのお金の相談窓口HaMaLife
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ライター紹介

水谷 映美

1979年生まれ。出版社勤務、受付嬢、社長秘書を経て、現在はwebを中心にライターとして活動中。男・女・女の3児の母。気になることは何でも試してみないと気が済まない典型的B型女子。子育て世代のリアルな声を反映した記事を得意としている。

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